【成岡マネジメントレター配信先の皆様へ】 とうとう?、いや、ようやく?3月の声を聞く季節になりました。 まだ、寒冷地では寒い日もあるでしょうが、確実に季節は春に向かっているよう です。 3月から4月は季節の変わり目でもありますが、多くの法人にとっては年度末、年 度変わりの時期です。卒業、入学、入社、転勤、異動など人生の節目の季節で もあります。 さあ、スタートダッシュが肝心です。環境が変わったからと言って、バスに乗り 遅れてはいけません。しっかり日頃からの準備を怠らないようにしましょう。 さて、今回は、「本当の問題点とは?」という至極ありふれた問題提起です。 ============================================================== 先日、ある知り合いの方から経営上の相談を受けました。 最近、業績が思わしくないとのことで、どうしたらいいんだろうと。 聞いてみると、ここしばらく業績がジリ貧だということです。 直接の原因は、永年最大の顧客としてきた企業からの発注が、次第に減ってき て、特にここ最近経営陣に息子さんが入って、従来の慣習に囚われず、フリー な考えで、新しいことをどんどん始めるので、昔からの馴染みですというだけ では、とても挽回できないところまで来たとのこと。 本人曰く、前から気が付いていたんだけど、何も具体的に手が打てなくて・・ ・・。というのが実情だそうです。 それで、相談に乗ってあげることになったのですが、まず、現状の問題点を整理 しようと思っても、それがなかなかままなりません。 過去の営業経過や得意先との交渉結果、条件や取り決めなどはほとんどドキュメ ント化されておらず、いちいち確認するのに相当な時間を要しました。 加えて、正確な得意先ごとに分類した売上のデータがきちんと整理されておら ず、記憶と感覚に頼るヒアリングとなりました。 このようなレベルの企業が、中小企業には実は結構あるようで、他の診断士の方 のお話しを聞いても同じような内容の報告がよくあります。 よく言われているように、「問題点」とは、「あるべき姿」や「理想の姿」と、 「現在の状態」とのギャップを指す、というのが一般的な説明です。 この説明は、理屈では納得するのですが、体感的には「現在の状態」を冷静に、 かつ、客観的に掌握し、分析することが、実は、相当難儀な仕事なのです。 よく言われているように、「問題点」が分かれば、8割解決したも同然と。「問 題点」がどこにあるのか、分からないことが「問題点」なのです。経営とはそう いうものです。解決の糸口さえも見出せない、長い、暗い、トンネルや迷路に 入ったような状態が続くものです。 組織の上に立ち日頃マネジメントがミッションの人は、以下のポイントを常に反 芻する癖をつけましょう。 あなたは会社や組織における現在の経営状態を正確に数字でつかんでいま すか? 1.商品や在庫は(どこに何がどれくらいあるか分かっていますか?) 2.キャッシュは(お金の出入りがきちんと分かっていますか?) 3.人心は(社員や従業員のメンタルな面がきちんと掌握されていますか?) 4.情報インフラは(システムやハード設備、社員のリテラシーやセキュリティ などポイントを押さえていますか?) 5.マーケットは(製品や商品が流れている市場の動向をきちんとつかんでいま すか?) ・・・・・・・・まだまだ沢山あり過ぎて書ききれませんが、 すべて「正確に」「数字で」がキーワードです。 客観的に掴むには、「正確に」「数字で」が基本です。「不正確な」「感覚的な データ」は意味がありません。 まず、将来の経営戦略を描くには、現状を、客観的に、出来るだけ数字で、正確 に掌握することから始まります。 次に、「問題点」をきちんと把握しましょう。対策はそれからです。「問題点を きちんと把握」するために、「現状を正確に数字で」掌握しましょう。 ITインフラはそのための強力なツールです。問題点を発見するための武器に なります。 そのためには、日頃から「正確な」「数字で」管理できる仕組みを作り上げるこ とが重要です。問題点を、さあ、今から見つけるぞ!、と意気込んでいては 遅いのです。 日常のマネジメントの中で、「問題点が見えてくる」仕組みをどのように作るか ?「正確な」「数字で」管理できる仕組みをどう作るか? 次回は、規模は小さいながら、成功した事例を取り上げます。 ===============================================================