メンバーのみなさんへ 今日の午前中に京都シティハーフマラソンに出場しました。今年で9回目の出場 です。年々、記録は僅かながら悪くなっていましたが、今日は天気に恵まれ、風 も無く、温かく、絶好のコンディションでした。 おかげで、ここ数年の記録の悪化が止まって、ハッピーでした。来年も、頑張る ぞ! では、本題に移って、 早くも3月になってから、2回目のメルマガです。 今回は、経営の実態を数字で捉えるのにエネルギーを注いで、何とかそのパ ワーで結果に結びつけた、某サービス業の実態レポートです。 ======================================================== この会社は、色々な業種のクライアントに各種の独特のサービスを提供し(サー ビスの内容を細かく書くと社名が分かってしまうかも知れないので割愛しま す)、その対価を得て、経営が運営されています。 サービスの内容は、広告代理店のようなサービスがあったり、印刷会社のよう なサービスがあったり、ホームページ制作のようなサービスがあったり、色々 な種類のサービスが入り混じった複雑な商品構成です。 社員20名、非正規社員15名、年商5億円という規模感です。 経営課題は、どのサービスがどれくらい儲かっていて、どのサービ スがどれくらい赤字が出ているのかが、全然つかめないということでした。 従って、人員の投入も、サービスへの投資も、設備やインフラの整備も、実 態がつかめないので、時期を逸したり、効果がなかったり、あらゆる施策が後 手後手に回っていて、ここ数年は増収ではあるが、減益という規模の拡大に終 始している実態がありました。 経営者は、思いつきのアクションで、色々と現実的な対症療法的な施策は打つ のですが、必ずしも実態に見合わず、効果はほとんどなく、時間だけが経って いるという状態でした。 そのような中、経営の実態を数量的に把握しようとする試みの提案をしまし た。よく使われる手法にABMといった、標準的なパターンの定量化の方法はあ るのですが、何せ規模が小さく資金的に窮屈ですから、ほとんどお金をかけない でやろうということになりました。 まずは、作業を細かく分類し、徹底的に難易度と重要度に応じて数値化すること にしました。作業単価は社員のグレードに応じて変更する可変型にしました。 社内労務費は、「難易度係数」×「重要度係数」×「作業単価」×「作業時 間」で計算します。 この計算された作業時間を全部合計して、労働時間の総和とし、時間配分係数を もとにして社内労務費を全部集計して、直接労務費を計算し、直接原価の一部 とします。 また、「JOB工数」という考え方を導入して、全体の工数を計算し、間接業務の 工数をその割合から算出して間接原価として配賦するようにしました。 最終の合計のコストは、直接製造原価+間接製造原価ですが、その中味は分解す ると、社内原価+外注加工費+直接労務費+その他直接原価+間接原価になりま す。Excelレベルで充分対応できる内容で、かつ、現状は、このレベルでOKで す。 最初は、かなり面倒な作業が加わったので、現場からも非難の声が上がりました が、経営者の真摯な説得で、何とか乗り切り、定着してくると、いままで分から なかった作業ごとの単価が明確になりました。 意外と懸念していた工程にコストがかからず、間接業務の一部に大きなコスト負 担があったり、サービスごとの原価がわかったことにより、利益率に大きな誤解 があったことが分かりました。 それを元に、見積りの内容が大きく変化し、利益率の向上に寄与しています。 対症療法的な施策も、一時的な効果はありますが、抜本的な部分に手をつけない 限り、病巣は除去できません。 問題点の発見と原因の分析には、やはり、経営者の動物的な勘もないがしろには 出来ませんが、最近のITインフラの整備により、「数字で客観的に」すべてを見 えるようにすることが重要です。原因の分析も、問題点がどこにあるのかが分か らないと、スタートで間違います。 とはいえ、まだ、色々な現場的な問題点は山積し、その、ひとつづつを丹念につ ぶしていくという、結構地道で気長な作業が必要です。 しかし、この一種成功体験をもとに、「見えるようになった」ことは大きく、意 識の変革に大きく寄与しました。 ====================================================================