今回のメルマガは、季節的に「4月の新入社員」です。 弊社にも新入社員が入社して、はや、1ヶ月近くが経とうとしています。 4月1日に揃って真新しい背広やスーツに身を包んで、緊張した面持ちで、入社 式に臨んでいた彼等、彼女等も、既に、3週間近くたって、緊張感が解け、リ ラックスと疲れが混ざった複雑な状況のように見えます。 そんななかで、社内報の編集部から、成岡が社会人になった時を振り返って、 新入社員に送る言葉を書いて欲しいと依頼がありました。 時代背景が違うので、まずは、そこを共通認識することから始めないといけま せん。このメルマガを読んでいただいている読者の方は、比較的年配の方や 同世代の方も多いと思いますので、多少、加筆して転載しました。 ********************************************************** 成岡の新入社員時代を語るには、少し時代背景を共有する必要があるでしょう (と言っても、いまいまの方にはぴんと来るでしょうか?)。 昭和49年、1974年の大学卒業でした。就職活動は、ほんと、やらなかった。い や、やらなくても良かったというか。昭和39年が東京オリンピック、昭和45年 が大阪の万博、という時代の延長線上でした。成岡が社会人になる直前の 昭和48年のボーナスは史上最高という金額だったと聞いています。 ところが、どっこい、昭和48年後半から、中東で勃発した第4次中東戦争の影 響で、石油の値段が一挙に4倍になりました。ガソリンがリッター46円が、130 円くらいになり、スタンドは日曜日は閉店。休みの日には高速道路のサービス エリアのスタンドに長蛇の列が出来るという、悲惨な状況でした。 卒業の学部が工学部の化学で、就職先は化学繊維メーカーの開発部門。愛知県 の東の端、浜名湖の西に位置する「豊橋」という人口30万人の地方都市に、 2000人の事業所があり、そこに結局10年間いたことになります。 入社早々、そんなオイルショックがあったので、原料代が高騰した繊維メー カーは大不況。50%以上が対米輸出に依存していたわけで、とても採算が取れ ず、操業を50%くらいに落として、3分の1の従業員は、交替で休みを取るとい う状況でした。 志を持って入社した会社が、一転、どの業界も真っ暗闇の世界でした。ボーナ スはない、希望退職は募る、給料は上がらない、残業代すら出ない。なんで、 こんな会社に就職したのかな? でも、去年の夏ごろは、最高のボーナスと 言っていた業界なのに・・・・。 自分の力ではどうにもならないことが、こんなに身近に起こるんだ、それも、 中東のイスラエルとアラブの戦争の影響で。信じられない世界の出来事が、簡 単にわが身に関わってくることが信じられませんでした。 ただ、今では、有難いと思っているのは、入社、即、どん底を経験したことで す。これ以上のボトムはないと、腹をくくって、それからは、いいことしかな いからと、自分に言い聞かせて、頑張れたことでしょう。 環境に逆らうことは出来ませんが、環境の激しい変化を身を持って体験し、そ れ以降の考え方を自分なりに形成できたことは、ある意味、良かったと思って います。 それからは、何でもプラス志向に転換できるようになりました。何でもやって みる、引き受けてみる、首を突っ込んでみる。組合活動も、テニスクラブの幹 事も、職場の世話役も、運動会の応援団長も、独身寮の委員長も、同窓会 の世話役も。とうとう、高卒の職場の先輩の昇進時の数学の家庭教師まで やりました。 新しいプロジェクトが始まるときには、出来るだけ手を挙げるようにしまし た。そうこうしていると、チャンスは勝手に向こうからやってくるものです。 すべて、陽転志向がいいとは思えませんが、ポジティブシンキングは、ビジネ スの世界には必要なことだなあ、というのが、若い時代の実感でした。この、 蓄積は、将来、必ず生きてくると、未来を信じてやり切ることが、神様が公平 に味方してくれるのではないでしょうか。 チャンスは準備のあるところに神様が公平に配分されるものです。 **************************************************************** このように、一見、格好よく書いてはいますが、当時は相当惨めな状態だった と記憶しています。 でも、この原体験は確かに、相当強烈なものがありました。いろんな意味で、 それからのライフスタイル、ライフワーク、ライフプランに影響を与えまし た。 いま、振り返って10年ごとにキャリアをチェンジして来れたのも、この最初の 強烈な原体験があったから、こそかも知れません。 先日、この時代の上司に東京でお目にかかることが出来ました。70歳を超え ても、まだ、なお、志高く、陽転志向で、毎日を非常に積極的に過ごしていら っしゃいました。衛星放送で大学の医学関係の講義を聞き、書道の段を取り、 外為の大きな金額の運用をし、センター試験の問題を解き、不動産鑑定士 の資格試験にチャレンジすると言っていました。 チャレンジする目標があること、それが、モティベーションを維持する大きな 要因です。 また、それを全員に与え続けること、それが、経営者の大きなミッションで しょうか。 =======================================================