□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場からのヒント・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第28回配信分2004年11月8日発行 初めて参加してみた株主説明会で感じたこと 〜業績見通しを正確に伝える難しさ〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 今回から、成岡マネジメントレターは毎週月曜日の発行にいたします。経営の 現場で気のついたこと、ヒントになることをお伝えしていこうと思います。ご 愛読、よろしくお願いいたします。 なお、バックナンバーは株式会社成岡マネジメントオフィスのホームページに ありますので、ご参照ください。 http://www.nmo.ne.jp/letter.htm です。 今週号では、先日参加してみた「株主説明会」での感じたことを述べてみたい と思います。 ●6日(土) 午後から某証券会社と某IR会社との共催で、個人投資家向けの会 社説明会に参加してみました。某IR会社の方と最近懇意になり、一度京都で開 催するので、後学のために参加させてもらいました。会場は、中京区のホテル で、50名くらいの個人投資家の方が集まっておられました。 ●成岡は株式投資はほとんどしたことがないので、個人投資家といってもぴん ときませんでしたが、ほとんどの方が比較的年配で、定年は過ぎて、もう年金 生活に入っておられる方が大半ではないかと思います。ほんとうにお金が余っ ていて、余剰金を資金運用にまわしているという感じではありませんでした。 だから、虎の子の資金を株式投資にかけているのですから、それは、皆さん真 剣そのもの。 ●今回は3社の代表の方が、それぞれ30分くらい会社の概況や業績の説明、今 後の見通しなどを話されました。きちんと資料をプロジェクターで写し、パン フレットや会社案内、中間決算説明資料などを配り、少しでも理解してもらえ るように、会社側も真剣です。すでに、各社とも数年前に上場は済んでいて、 さらに個人投資家向けに投資を促すという設定です。終了後、二階の別会場で 商品のデモや懇親会と称したお茶とケーキのサービスをしながらの個別説明の 時間が設けられていました。 ●最初は和歌山県のエクステリア(ガーデニングに関連した商材を製造販売) の会社。次が、滋賀県のセンサー関連機器の製造販売。最後が、千葉県の遺伝 子分析関連機器の製造販売会社です。 ●最初の会社の事業展開は、製造している商品が比較的周囲にあるもので、感 覚的にも分かりやすく、かつ、業績も安定していたので、平穏に終わりました が、二番目と最後の会社は、あまり製品に馴染みがなく、特に最後のバイオ関 連ベンチャーの会社の技術関係の説明では、本当にどれくらいの方が理解でき たか、甚だ疑問でした。説明している方は、これでもか、これでもかと、しつ こいくらい一生懸命だったのですが、反って逆効果ではなかったのかなと。 ●みんなが本当に聞きたかったのは、現在の業績の分析と、今後、どういう風 に業績見通しを考えているのか?というところがポイントではなかったかと思 います。というのは、上場後、必ずしも株価は右肩上がりで上昇しているので はないのです。株というものは、色々な要素で上下するでしょうから、自己責 任で投資してるのですから、上下は覚悟の上のはずですが、投資家からすると 、前に聞いた業績見通しが、簡単に下方修正されるのは、納得がいかないとい うことです。 ●確かに、業績の見通しというものには、ある仮説に基づくものですから、完 全にその通りいかないことは、承知の上とはいえ、あまり大きく下方修正があ ったため、投資家の皆さんは納得のいく説明を求めるのは当然。しかし、説明 しているほうは、技術の優位性や市場の占有率の見通しを強調するばかりで、 噛み合っていない感じがしたのは、私一人ではなかったと思います。投資家と 経営側との目線の高さがあっていないというのが率直な感想でした。終了後の 懇親会で、数名の個人投資家の方にお話を伺っても、何か、すっきりしないと いうのが本音だったようです。 ●別に会社側も嘘をついているわけではありませんが、確かに弁解に終始し、 見通しのずれの原因の分析や、それを踏まえた今後の業績予測なども、まだ不 透明な感じがしました。特に、バイオベンチャーなら、なおさら予測も難しい と思いますが。原因は、説明側が投資家の立場に立って話していないというこ とです。まず、立場を置き換えて、目線の高さを合わせて、彼らは一体何を聞 きたいのか、何に疑問を感じているのかに、真正面に向き合って答えていない 、そんな感じを受けました。 ●会社のIRは、なるほど難しいテーマですが、四半期開示などが義務付けられ ている昨今、「正確に」「正直に」「そのままの状態を」「早く」伝えていく というのが正しい姿ではないでしょうか。これは、何も投資家に向けた態度だ けのことではありません。従業員や取引先、金融機関などに対しても、正確に 事実を早くきちんと伝えるということが、経営の重要なテーマだと思います。 一時のドレッシングや誤魔化しは、当座のしのぎにはなりますが、根本的な解 決にはほど遠いものです。真摯な態度と情報開示は、最後には信頼を勝ち得る ものだと思います。 ======================================================================