□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場からのヒント・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第30回配信分2004年11月22日発行 東山学園でのキャリア教育の現場を体験して 〜自分が持っているものを教え伝える難しさ〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 京都の秋は、ぼちぼち絶好の紅葉の季節になってきました。紅葉の名所は、ど こも行楽客で溢れかえっています。地元の人間は、こういう時は逆にひっそり と、あまり周囲に出歩かないようにしています。成岡の自宅の修学院周辺は、 大変な人出で、ごったがえしています。 ●先日、11月13日土曜日の午前中、京都の東山南禅寺近くの、「京都東山学園 」(通称東山中学校、高等学校)において、KCA(NPO法人関西キャリアコミュ ニケータ協会)から依頼され、中学校2年生の生徒に「キャリア教育」なる時 間を、2時間講演させていただきました。 ●これは、KCAが東山学園から依頼を受けて、今年度テスト的に行っているも ので、KCA所属のキャリアコミュニケータの人達が、ボランティアに近い条件 で、年間通算合計10回以上にわたって、社会人が中学生や高校生に、その人が 持っている技術やノウハウを分かりやすく伝えるなかで、生徒たちに社会の仕 組みや考え方を学び取ってもらおうという趣旨のものです。 ●成岡はこのNPOの事務局長をされている方とご縁が出来て、先般、講義を一 度やらせていただくことになりました。それまでの、講座の内容を見せていた だくと、技術系の話あり、医学系の話あり、社会学系の話ありで、バラエティ に富んでいます。 ●成岡は、2時間の講座がずっと座学では中学生も退屈するし、集中もしない だろうから、彼らも参加型のワークショップを取り入れて、「学園祭で模擬店 を出店する」というテーマで「プロジェクトマネジメント」のお話しをさせて いただくことにしました。 ●20日(土)、21日(日)の2日間で、準備期間が木曜日と金曜日の半日間、 学校からの貸与の備品と仮払いの50,000円を基に、「うどん屋」を7人で運営 し、もし、利益があればクラスの収入、足が出れば全員の自己負担という想定 で始めました。 ●前半は「プロジェクト」とは?という概論や、「マネジメント」って何だっ け?みたいな理屈の部分でしたので、多少難しい言葉が出てきましたが、後半 のグループに分かれてのワークショップでは、身近なテーマだけに、結構意義 のある内容のディスカッションになりました。 ●感想文を読ませていただいた印象では、まずまず初期の目的は達成できたか と思います。が、やってみてわかったことは、いかに、こちらでは常識や当然 のことが、住んでる世界や年代が違えば、全く通じなかったり、理解してもら えないということです。 ●当日の午後に行った特別記念講演会でも、例月のIT経営塾勉強会でも、おお よそ参加者のレベルは一定の範囲内にあり、もちろん全員が同じ理解は出来な いにしても、なんとか格好はつきます。それが、社会人が中学生にものを伝え るというのは、非常に難しいことが、身をもって分かりました。 ●会社という組織も考えれば同じことで、社員が増えてくれば、当然、生まれ も育ちも、環境も年齢も、学歴も異なる人間が集まって、ひとつの目的に対し て、仕事をし、成果を挙げていくわけです。そこでは、本当に全員が同じ方向 を向いて、その経験や知識の違いはあっても、目的をひとつにして、成果をあ げるということは、ほんとうに難しいことだと感じました。 ●プロジェクトマネジメントのひとつのカテゴリーに「コミュニケーションマ ネジメント」というのがありますが、これも同様で、「同じ言葉を発していて も、人それぞれ意味や受け止め方が違う」ということが、現場では往々にして 、よくあることです。 ●佐山氏の講演に「全員のベクトルを揃える」というのがありましたが、まさ に企業がパワーを発揮するには、その一点が非常に重要です。ベクトルを揃え るには、そう、やはり経営者が目指す方向を明確にし、分かりやすく、受け入 れやすい経営理念を掲げて、全員を情熱を持って引っ張っていくしかないのだ と思います。 ●365日24時間大変な仕事ではありますが、それが出来るか出来ないかで、経 営が「分かる」だけの人と実際に「出来る」人の違いが明確になるのではない でしょうか。 ======================================================================