□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場からのヒント・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第32回配信分2004年12月06日発行 経営改革の第一歩は社員の意識の改革から 〜始業時間から始まる朝礼に思うこと〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 昨日の強風、大雪、季節外れの夏日。どれをとっても、少しどころではない異 常気象の連続です。どうも、地球のどこか軸が狂っているとしか思えない今年 の異常気象です。12月に台風の声を聞くとは思いませんでした。経済的には、 冬は冬らしく、夏は夏らしい気候が一番経済が活性化するといいます。 ■最近、某社に定期的に週のうち半分くらいお邪魔することになりも通常の出 勤時間に出勤することが、また始まりました。この某社では、毎日「朝礼」な るものが行われています。先日来、数回、その「朝礼」に参加してみて、不思 議なことにどうも気分的にしっくりこないものがあるのに気がつきました。な ぜか分からなかったのですが、先日、分かりました。朝礼中に外部から電話が かかってきた時です。 ■もちろん、外部からの電話にはすぐに応対しますが、考えてみれば勤務時間 中=営業時間中に朝礼をしているわけでした。当然、その時間には来客もある し、荷物の配達もあります。外部からの電話もかかってきます。営業の人間に は携帯電話にお客さんから電話もあります。 ■その間は、朝礼は中断するわけではないから続けられるますが、該当者は電 話にかかるか、来客の応対をしていることになります。どうも変だと思ったの は、例えばこれが銀行などの金融機関だったら、9時にシャッターが開いてか ら、カウンターの中で支店長が行員のメンバーを集めて朝礼しているだろうか ?と考えました。 ■そんなことをしていたらお客さんは怒るし、何より他の金融機関に口座を移 すでしょう。この某社は、非常にニッチなマーケットに独特の営業をしている から、あまり社員もそれを深刻に感じていないようです。だから、朝の始業の 時刻から朝礼が始まることになっているのです。 ■朝礼も各人のスケジュールなどの連絡や伝達がありますが、それは、各自が きちんとグループウェアを更新しておけば、いちいちそこで口頭で言わなくて も済むことです。結果的にグループウェアの機能は半分死んでいます。また、 朝礼が終わってから更新しているメンバーも少なくないようです。 ■聞いてみると、ずっとこういう風にやってきたようです。誰もそれがおかし いとか、変だとか思っていません。最近入社した人に聞いてみると、確かに始 めは違和感があったが、そのうちに、みんなそうだから慣れっこになって、い まではなんとも感じないと言っていました。習慣とは恐ろしいものです。 ■以前に東京の赤坂に勤務していた頃、そのビルの隣に、羊羹で有名な「とら や」の東京支店がありましたが、創業から確か400年くらい経つ本当に老舗の 和菓子屋です。400年続くということは、伝統を重んじて同じことをやってき たのではなく、時代時代の経済環境や社会環境の変化に機敏に対応してきたか らこそ、400年会社が続いてきたのです。戦争中の砂糖の配給時代も、戦後の 経済の混乱期も、関東大震災もあったはずです。それをずべてクリアーして現 在があります。 ■「継続は力なり」とは成岡の人生訓ですが、同じことを同じように疑問も抱 かず、百年一日のように繰りかえすのが「継続は力なり」ではありません。環 境の変化に機敏に適応し、その時のニーズに対応し、まして、経営がきちんと 成り立ちながら、ずっと何代も継続するのは、すごいことだと、つくずく最近 自分で会社を設立して感じるようになりました。 ■たかが、朝礼と言うなかれ。全社で多くの人間が、たとえ15分でも全員が手 を止めて、「朝礼」に参加していることは、お客さんへの対応が遅れるという 「機会損失」と「時間の浪費」を足し算でなく、掛け算すると、年間ですごい ロスを生んでいることになります。経費の節減もさることながら、こういう目 に見えない「ロス」をなくすことが、「意識改革」と「効率化」の根本ではな いでしょうか。 ■まず、それには、「昨日とおなじように今日をやっていては進歩がないん だ」と社員全員が自覚することです。そこからが、本当の出発です。15分早く 出勤して、朝礼をすることは物理的には可能ですが、形式的にそれをやって も、本当にみんなの腹と頭にその意義と目的が落としこまれていない限り、 形式的なものになります。 ■それをやれるのは経営者しかいません。それくらい経営者の姿勢は大事なも ので、全員が背中を見ています。そういう意味での責任は重要です。高邁な経 営理論を勉強し、薀蓄を語ることより、実際に全員の意識を本当に変えるま で、「継続する」ことです。そうなれば、社員の顔つきが変わるはずです。顔 つきが変わらないうちは、本物ではありません。 ■本当に、経営のお手伝いをするなら、そこまでやらないと意味が無いので す。表面的な評論とアドバイスはいくらでも出来るが、それでは対症療法にも なりません。実行が伴い、成果を挙げて、初めて評価されるものなのです。そ ういう意味で、経営改革とは意識改革なんだと、最近、また、ひとつ改めて勉 強した次第です。 ========================================================================