□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場からのヒント・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第34回配信分2004年12月20日発行 「振り返ること」の重要さを認識しよう 〜必ず実行する振り返りの5原則〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ もう、今年も、残すところ、あと2週間を切りました。1ヶ月ならどうというこ ともなかった慌しさも、2週間を切るとさすがに、あれも、これも出来てない ことばかりで、落ち着きません。今回は、年末ということで、1年を振り返る ことの大事さを。 ●今年1年がどうだった、こうだった、などという評論や随筆が新聞に掲載さ れる時期です。評論家がどうこういうのは勝手ですが、会社の経営は数字です から、年末最後まで気が抜けない状態が続きます。12月を計画通り、数字をぴ しっと締めて新しい年を迎えたいものです。 ●この「振り返り」という作業がマネジメントでは非常に重要な意味を持ちま す。表現は「反省」や「総括」、またはそれこそずばり「振り返り」でも、何 でもいいですが、要するに、そのプロジェクトを半年、あるいは1年の結果を きちんと自分なりに客観的に認識し、評価をするということです。 ●これがいろいろな局面で、ちゃんと出来ているか、いい加減かで、次の展開 が全然変わって来ます。「振り返り」が、正常にマネジメントのサイクルに組 み込まれている組織は、自浄作用が働いて、つまづきやトラブル、失敗や見込 み違いといった予期せぬ結果に対しても、それなりに分析をし、評価をし、今 後の対策が練られています。 ●それがきちんと出来ていない組織は、また、同じ過ちを繰り返します。学習 効果がない、次回に活かされないのです。ビジネスは順風満帆などということ は、有り得ないので、失敗の連続です。失敗の無い企業など、有り得ません。 もし、失敗がない組織があるとすれば、それはリスクを全然取っていないので しょう。その失敗の確率を下げてくれるのが「振り返り」なのです。 ●「振り返り」をきちんとやる。確かにやっている組織はあるでしょう。次の 課題は、それを活かすかどうかです。また、活かそうという「マインド」が社 員や経営者にあるかどうかです。もしかして、非常に辛口の振り返りになり、 全面的に自己否定せざるを得なくなり、一種懺悔のようなふりかえりになるこ ともあるでしょう。 ●それでも、真摯に、謙虚に受け止めることが大事です。批判ではなく、前向 きな意見や提案として向き合うことが重要です。最悪は、とりあえず「振り返 り」をやればいいと、半ば目的化することです。担当者は、結果のまずさを言 い訳するために、膨大な資料を作り、何とか言い訳をして、時間が早く過ぎる のを待つような雰囲気になります。 ●あるいは、客観的な事実に基づかず、勝手な推論で結論を導いたりします。 それは、上司がきちんと見破らないといけません。とにかく、事実に基づい て、個人批判でも懺悔でもなく、次に繋がる「振り返り」でなくてはいけませ ん。そのためには、次の5つの項目を念頭において「振り返り」を行いましょ う。簡単なようで、頭ではすぐに理解できますが、いざ、実行するとなると、 意外と難しいものです。 ●その1:客観的な事象や数字に基づく「事実」をきちんと認識する。その2 :「事実」から導かれる「結果」を明確にする。その3:「結果」から導かれ る「仮説」や「理由」を考える。その4:「仮説」や「理由」が起こる「原 因」を推定する。その5:「原因」を解決する「対策」を決定する。 ●簡単に書けばこれで終わりです。いわゆる「P→D→C→A」のサイクルと考え 方は同じです。危険な因子は、「事実」を勝手に都合のいいように判断した り、ある部分しか見なかったりします。どうしても、当事者や担当者の目には フィルターがかかり、正常な判断がしにくい局面が発生します。そこを修正し てあげるのが、上司の上司たる由縁です。 ●大きくは、1年の会社の業績の数字を「振り返って」、何が問題であり、何 が課題なのかを、共通認識しましょう。意外と、というか、ほとんどの中小企 業では、これが経営トップと現場のマネジャーで「ずれて」いたりします。だ から同じ方向を向いていないのです。ロスが大きく、ベクトルが一致しませ ん。 ●会社全体と方向性は、この、きちんとした仕組みに基づいた「振り返り」か ら出発します。必ず、この「振り返り」を日常のマネジメントのサイクルに組 み込んでください。やりっぱなし、いいっぱなしはいけません。そこから、新 たな気付きや発見、マネジメントのヒントが生まれてきます。 ========================================================================