つい、この前が立春で、もう、先日が「啓蟄」だそうです。地面の中にいる虫 達が、気温の上昇に伴って、顔をだすという季節を表現した言葉です。なにや ら、ぴったりしています。 先週のメルマガで、「西武の監督をしていた石毛さんが・・・・」と書いた ら、西武ファンの友人から、石毛は西武の監督はしていないよ、と指摘を受け ました。 石毛はオリックスの監督はしたけど、ご指摘の通り、西武の監督はしていませ ん。お詫びして、訂正します。 さて、企業では、時期的に新卒採用のシーズン真っ只中。そこに、大学の非常 勤のお話しがあったということから、今週のテーマは、大学です。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第45回配信分2005年03月07日発行 年代を超えた意思疎通が出来ない若者達 〜急がれる大学という教育機関の改革〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●先日、長年知己を得ている某大学の教授から、非常勤講師をやらないかとの ありがたいお話しをいただいた。そんなに専門的なことが分かっているわけで はないので、少々迷ったが、依頼の趣旨が成岡の今後取組みたいテーマと一致 していることでもあり、不肖お引き受けすることとした。 ●3月に向いて、急な話だったので、返事の翌日に大学の事務局から教員の採 用に関する申請の書類が届いた。メールの添付ファイルを開けてびっくりした のは、何と、細かく、かつ、多くの項目を埋めないといけないのかということ だった。あとで、某教授から連絡があり、もちろん全部埋めなくてもいいとの アドバイスではあったが。 ●学歴、職歴はもちろんのこと、経験した職務の内容、学会活動、講演活動、 他の教育機関での活動、著作、論文、学会での発表、雑誌への投稿など、それ はそれは、分量も大変だし、内容も大変なものだった。もちろん、ほとんどの 項目は我々には書くことの出来る内容など無いものが多い。 ●一般の民間企業にいる我々(厳密には成岡は自分の会社を立ち上げたから経 営者というべきか)にとって、大学とは非常に縁遠い世界なのだが、いま現実 に問題になっているのは、企業の採用関係の仕事をしていたときに、学生がき ちんと大人と向かい合って、まともに話せないことだ。 ●ひとつひとつの会話をきちんと論理的に詰めていくと、付け焼刃で考えてい たことは、すぐに底が見えて、本当にこちらも悲しくなるくらい悲惨な面接も あった。本人が全部問題があるとは思えないが、最近の学生の問題点は、他人 との、しかも年齢を超えてのコミュニケーションが取れないことだ。 ●こういうことは、大学では教えられないのだろう。経営学や経済学がいくら 理解できても、社会に出て他人とのかかわりのなかで、きちんと自分が表現で き、他人の言うことを聞き、それを理解した上で、また、自分の意見をきちん と表現することは、なかなか難しい。でも、それが出来ないと社会では人間関 係が作れない。 ●しかし、現実の実社会は、大学のゼミやサークルではないし、研究室のス タッフ同士の会話でもないから、利害関係者同士が、ビジネスで真剣にやりあ う場なのだ。核家族になり、お年寄りと一緒に住まない世代が増え、兄弟も少 なく、学校の友達とも放課後は遊ばない。自宅の自分の部屋で、一人テレビ ゲームをするという、極めて対人関係の希薄な青春時代を送って来た人が多い のだろうか。 ●論文の数も、著作の数も、講演の回数も、それはそれで大事かもしれない が、いま、大学に、学生に求められているのは、きちんと他人と向き合って、 会話し、意思疎通を図ることの出来る能力だと思う。これは、確かに大学で直 接学ぶものではないが、社会に出てから極めて必要とされる基本的な能力であ る。 ●いま、就職面接も後半戦かもしれない。多忙な学生になると、一日に数回の 面接を受けることもあるらしい。自分をきちんと見つめて、自分を正直に表現 する。そういう能力を、少しでも身に付けられるように、今度、非常勤講師と してお役に立つことが出来れば幸いかもしれない。そう、切実に感じるくら い、いまの学生には、そのような基本的な能力が欠けているように感じる。 ●それを、社会に出てから会社で教育するコストは、中小企業にはないのだ。 大企業でも、そんな余裕はないだろう。ゆとり教育が崩壊していく現実、基礎 学力の急激な低下、少子高齢化による大学全入時代、また、大学も淘汰の時代 に入った。教育がサービス業なら、各々の大学の付加価値は何であるのか。市 場は何で大学を選ぶのか。 ●その答えを、いま、教育機関、特に大学は求められている。偏差値中心の入 り口ブランドではなく、社会とのかかわりを重視した「出口ブランド」が大事 な意味を持つ時代に入った。「出口ブランド」には、就職先に紐つくところが 大きい。それは、学生のコミュニケーション能力が、どれくらいポテンシャル があるかという点にかかっている。それにしては、そこにかけるエネルギーが あまりにも、小さい。 ========================================================================