毎年、この時期になると、甲子園球場の高校野球が始まる。高校球児だった成 岡にしてみると、35年前の記憶が鮮明に蘇り、あの、西京極の土の色と、青空 の絶妙のコントラストが、目に眩しかった。 さて、京都外大西高校がどこまでいけるかは分からないが、一発勝負の勝ち抜 き戦だけに、最後まで勝負を諦めない気迫は、すさまじいものがある。 考えれば、全国制覇と簡単に言うけれど、県の代表とは、その県で最後まで負 けなかった学校がただひとつ出てくるのであり、それが集まって、甲子園での 本戦を戦うのだから、全国制覇とは、全国で、唯一、最後まで負けなかった学 校なのだ。 全部の学校が、必ず負けて、最後に負けずに残った学校が全国制覇したことに なる。これは、考えてみれば、大変な偉業だ。全部勝ったというより、一度も 負けなかったということが、すごい。 花王という会社は、連続して今も、30年近く増収増益を続けている、類稀な会 社だ。この間、一度も負けていない。ぜひ、一度、研究してみたいと思ってい る。 ちなみに、京都では、創業以来100年以上続いている会社が多くある。それ を、いろいろな切り口に分解し、KSF(重要成功要因)を抽出することができ ないか、研究してみようと思う。 *********************************************** 今回から新しく配信させていただく方もいらっしゃいます。 毎週月曜日の配信です。 ぜひ、ご愛読ください。 最新10号分のバックナンバーは、下記の成岡マネジメントオフィスのホーム ページのURLにあります。 http://www.nmo.ne.jp/letter.htm □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第67回配信分2005年08月08日発行 組織の病気を診断するシリーズ第7回 〜事業所ごとの最適に固執する危険〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●会社の規模が大きくなってくると、ひとつの場所のひとつの事業所で、いろ いろな機能が必要になってくることがあります。本社があって、別の場所に流 通センターを作り、さらに別の場所に支店を設けるといったことは、よくある ことです。 ●もともと、小さな規模で出発するときには、ほとんどの機能は本社的な場所 に集中し、人、もの、金、情報も多くはそこに集めているが、少し業態が大き くなってくると、機能を分離することが必要になってきます。そのときに、間 違うと、部分最適を優先し、全体最適にならないことが起こります。 ●何も、本社−支店という関係でなくても、商品開発や研究開発などにも、こ ういうことが言えます。お互いに、悪気はないのですが、同じような切り口の 商品を別々の部門が開発したりするのがいい例です。基礎研究を研究所でもや り、本社では大学に金を払って同じことをやっているというようなことは、多 くあります。 ●管理系の機能でも、支店では、これもできる、あれもできる、このデータを 見たい、この問い合わせに答えられないといけない・・・・。よくよく分析し てみると、いったいどれくらいの頻度とニーズでそういう声があるのか、非常 にあいまい、あやふやなことが多いのです。 ●事実をきちんと数字で認識することが大事です。担当者にしてみれば、たっ たひとつの顧客からの商品の出庫の問い合わせに答えられなかったことが、さ も、会社の一大事のように感じている場合があります。それが、ストレートに 拡大解釈して、経営層に直接流れ、事実をきちんと認識されないまま、システ ムの大変更につながったということは、よくあることです。 ●大事なことは、社内の管理系の問題を解決することより、それが、顧客への 提供する価値をどれくらい高めるのか、他社との差別化で非常に重要な位置を 占めるのか。そこをきちんと分析しないで、話しだけが一人歩きします。 ●過去には経営側と組合側で争議になり、お客さんをほっておいてのストライ キがあったり、自社の都合で営業時間を勝手に変更したり、物流のシステムを 勝手に変えたり。そういう例は、枚挙に暇がないほどたくさんありました。 ●経営層のジャッジは、それが支店や部門のニーズではあるが、顧客視点から 考えて、全社最適になっているかということを、きちんと判断しないといけま せん。声が大きいとか、金額が安いとか、誰それが言っているからとか、関係 ありません。 ●あくまでも、考える視点は顧客の立場から見てどうなのか?ということで す。ここを外してはいけません。最近流行の?バランススコアカードなどは、 「顧客視点」「業務プロセス視点」「財務視点」「人材と変革視点」の4つの 視点から見ることを奨励しています。 ●冒頭の例では、本社から離れた支店で、土曜日に顧客から商品の出庫状況に 関する問い合わせがあり、たまたま電話に出たスタッフが答えられなかったと いう例です。これを、どう判断するかは、その組織の考え方の問題です。事実 をきちんと調べて、何が問題で、どういう方向で解決するのかを、最初にきち んと決めないといけません。 ●その場その場の対症療法で部分最適を積み重ねると、いつの間にか、膨大な 部分最適の集団が出来上がり、全体のシステムから見ると非常な不整合を起こ します。これを修正できるのは、中小企業では経営者だけです。 ●もし、この解消に何らかのシステムの変更や新規の投資が必要であるなら、 同じ投資を別のものにしたときに、どれくらいの効果が期待できるのかを、き ちんと数字で判断することです。なんとなく感覚で決めたことを堆積していく と、気がついたら、後戻りできないくらいのものになっていることがありま す。 ●こういう案件を会議で検討するのもいいでしょうが、経営者は、瞬間に判断 できる考え方の方向性を、日頃からしっかり持っている必要があります。なん と言っても、中小企業は経営者、即、会社と同じですから。