先週号でヒンギスの復活を賞賛したら、翌日の決勝戦での無残な負け方にびっ くり。別人のような戦い方に、こんなに一日で同じ人間が変わるものかと、妙 に感心した次第だった。 おそらく前日のシャラポアとのセミファイナルで、神経を最高に集中し、しか も、完璧な勝利だったので、緊張の糸が切れたのだろうと思う。 人間の集中力とは、長く続かないものだ。企業の経営も、ずっと同じことを やっていてはマンネリになるし、かと言って、しょっちゅう違うことを手当た り次第にやるものでもない。 集中しろとは、言うのは簡単だが、いざ、自分のことになると、たやすいこと ではないようだ。 *********************************************** 今回から新しく配信させていただく方もいらっしゃいます。 毎週月曜日の配信です。 ぜひ、ご愛読ください。 また、別のアドレスに送信希望の方は、ご連絡ください。 最新10号分のバックナンバータイトルは、下記の成岡 マネジメントオフィスのホームページのURLにあります。 http://www.nmo.ne.jp/letter.htm バックナンバーご希望の方はホームページからお申込ください。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第94回配信分2006年02月13日発行 お金に色がついていないなら何をしてもいいのか 〜あの東横インの西田社長への失望〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●ここ最近、妙に暗い話題が多くて、なにやら経済界は企業倫理の再構築が必 要な時代になってきたのでしょうか。ライブドアに始まり、東横インの事件、 古くは耐震強度偽装事件。また、最近では、防衛庁がらみの官製談合などと、 新しいことばまで出来るようになってしまった。 ●みなさんはご存じないかもしれないが、東横インの西田社長は、企業トップ では珍しくマラソンを趣味にしているお一人だった。成岡もマラソンを走るの で、何かの雑誌でそのことを知って、西田社長に手紙を書いて、出した記憶が ある。もちろん、本人に直接ではなく、秘書室に出したのだが。 ●残念ながら、返事は来なかった。来なかったのが、どうこう言うつもりはな いが、著書を拝見しても、マラソンを語る熱い想いなどを読んでも、非常に尊 敬すべき考えの持ち主だと感じていた。そう思える数少ない経営者のお一人だ と思っていた。 ●それが、今回の事件では、あっけなく、そのイメージが完全に地に落ちてし まった。特に、事件が表沙汰になった直後の記者会見は、まさに、ノーテンキ そのもので、あれが、大企業の社長の発言とはとても思えなかった。急に、い ろいろなことが表面化して、慌てて準備のないままマイクの前に立たされての 発言だったろうが。 ●それにしても、お粗末だった。そして、あとから、あとから、どんどん、出 てきて収拾がつかなくなってしまった。それも、これも、あの記者会見の社長 のノーテンキの姿が、非常にイメージを悪くしたと思われる。 ●東横インに泊まられた方もあると思うが、ビジネスマン向けに非常に合理的 な運営方法で、感心していた。レストランはなく、朝食は食堂のようなところ で、おにぎりと、簡単なおかずと、そしてフリードリンクのコーヒーサービ ス。喫茶店やラウンジもない。 ●それでも部屋は、結構広くて、もちろん、インターネットは高速の回線がつ なぎっぱなしで使える。そして、フロントは女性だけで切り回して、なかな か、印象もよかった。そして、全国の東横インで使えるポイントシステム。ロ ケーションは、だいた、駅から5分以内の至便な場所にある。 ●そんなビジネスモデルを作り上げて、どこか尊敬していた社長さんでも、あ のような確信犯のトラブルを知ってて起こすとは信じられなかった。レベルは 違うが、同じ経営を司る立場の者で、ランニングやマラソンをこよなく愛する 人が、あのような、いわば、犯罪に近いものを平気で判断していたとは、信じ がたい。 ●本人曰く、ワンマンで、自分の思うとおりやってきた。周囲に、直言してく れるスタッフもいなかった。お金に目がくらんで(本人は利益優先と言ってい たが、同じこと)、儲けばかりに走ってしまった。お金に色はついていないか ら、黒いお金でも気にならなかったのだろうか。悲しいことだ。 ●本当に、これが経営者としてのモラルなのかと思うと残念でならない。せめ て、我々は、これを反面教師にして、自分の身を正すことに、気持ちを向ける しかないと思う。尊敬していた人物の一人だっただけに、非常に残念な想いに かられた事件だった。