週末の土曜日に京都蹴上都ホテルにて、高校野球部の恩師西野文雄先生の定年 退官記念感謝のパーティを開催した。昭和43年秋の硬式野球部創部以来、330 名余の卒業生のうち、全国から、約半分のOB170名が集まり、盛大なパーティ になった。 先生ご夫妻に来ていただき、最後に先生から創部当時の苦労話をお話していた だいた。20分ほどの、しみじみした内容に参加したメンバーは、じっと聞き 入っていた。当時は、なかなか学校に軟式から硬式の野球部の設立が認められ なかった。 創部当時のスピリッツは、いまでも脈々と後輩たちに受け継がれている。そし て、毎日、毎日、苦しい練習が繰り返されている。いつか甲子園に行けること に希望を持って。 企業も、ともすれば、創業時の精神を忘れがちになる。創業時は、どんな企業 も中小企業で、「志し」に燃えていたはずだ。人間は忘れやすい動物だ。創業 の「志し」をいま一度確認し、思いを新たにすることは重要だ。 *********************************************** 今回から新しく配信させていただく方もいらっしゃいます。 毎週月曜日の配信です。 ぜひ、ご愛読ください。 また、別のアドレスに送信希望の方は、ご連絡ください。 最新10号分のバックナンバータイトルは、下記の成岡 マネジメントオフィスのホームページのURLにあります。 http://www.nmo.ne.jp/letter.htm バックナンバーご希望の方はホームページからお申込ください。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第109回配信分2006年05月29日発行 中小企業の内部統制を考えるシリーズその1 〜経営者は定期的に外部に業績報告を〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●中小企業で定期的にきちんと取締役会を開催されている企業は意外と少ない のではないかと思います。取締役会とは名ばかりであったり、幹部会議のよう な現場の責任者との合同会議にとって変わられたりしています。 ●なかなか中小企業では、取締役といっても現場責任者を兼務していることが 多く、現場で忙しく飛び回っているため、定期的に会議で時間を割くことが難 しいのが実情です。また、日々、顔を合わしているメンバーなので、改めて取 締役会などと言わなくてもいいと思っています。また、設立時の経過から、取 締役が身内であったり、親戚であったり、友人であったりしていて、実質的に 取締役としての機能を果たせていないケースも多くあります。 ●取締役会がこのような状況なら、当然、ほとんどの中小企業は株主総会など はやっていません。社長が100%株主という会社が多いでしょうから、株主総会 は開催の必要がないのです。よって、直近の業績の報告を取締役会でするわけ でもありません。まして、株主総会で社長が外部株主にIRするなどとは、皆無 に近いのではないでしょうか。 ●もちろん、社内の会議では業績の推移、その原因の分析や対策などは、口角 泡を飛ばして、徹底的に議論されているはずです。しかし、社外取締役などは ほとんどいらっしゃらないでしょうから、社長が自ら業績に関して外部に説明 することは、あまりないかもしれません。 ●これが金融機関から融資を受けていたり、外部ファンドから投資を受けてい たりしたら違います。外部から資金が入っている場合は、外部に対して、融資 であれ、投資であれ、説明責任が生じます。これは、結構緊張感を伴うもので す。また、増資を募集したりしても、外部から出資していだく方に、業況の説 明は必須です。いまの業績がどういう状況で、今後の見通しはどうであるか。 投資はどうするのか、経営革新はどうするのか、新たなマーケットの展開はど うするのか。 ●これらのことは、非常に重要ですが、融資をうけていても、小額であれば、 金融機関もあまりそれを求めない場合もあります。そうなると、経営者は経営 の実態を外部に説明することがないので、外に対する説明責任が生じません。 ●そうなるとどうなるのか。まず、経営者の緊張感が欠落します。誰のお咎め も受けないので、いやなことを言われることもなく、反省も自分の頭の中だけ で、ぐるぐる回っているだけです。強制的にそのような機会を設けないと、自 らはなかなかやらないものです。怖い存在がなくなると、人間は謙虚さを失 い、傲慢になります。ライブドア事件の本質はこういうことかもしれません。 ●成岡は、創業時に、 (1)身内を役員にしない (2)役員は社外の方に就任してもらう (3)企業経営が軌道になるまでは無報酬で社外役員をしていただく (4)定期的に取締役会を開いて社業の実態を説明する ということを原則にしました。取締役会は、隔月に開催しています。 ●社外取締役の長所は、ずっと社内にいないので、かえって色々な情報が先入 観なく、客観的な判断ができます。社内の色々などろどろした事情をわかって いると、客観的な判断がしにくいものです。そういう意味では、2ヶ月に1回く らいで、白紙の状態で聞いてもらうのは、いいことです。 ●また、その説明のために、きちんとした資料を作ります。そんなに大層なも のは要りませんが、ひとことで説明できない案件は、どこかひっかかるものが あります。くどくど説明しないと相手が分からないような案件は、どこかがお かしいのです。資料は他のスタッフに作らせてはいけません。自ら作ることで す。 ●次回のNMO取締役会は31日(水)19時からです。この月曜日中には、報告書を 作って事前に送っておく必要があります。隔月ではありますが、結構早く回っ てきます。そのために、いつも、色々なものを整理しておかないと、2か月分 の報告を1時間で要領よくやるのも、技術のうちです。 ●中小企業の経営者は、外部に対し、いい意味での緊張感を持って、現在の業 績と今後の見通しを定期的に報告されることです。それをすることによって、 改めてやっていることの棚卸ができますし、自分自身に対するプレッシャーを かけることもできます。