高校の同窓会誌の最終校正が終わって、ほっと一息している。年1回の発行 で、同窓生10,000人に6月末に送るのだが、かなりの人数から原稿を集め、レ イアウトし、校正する作業は、正直、かなり大変だった。 まず、期日までに原稿が揃わない。締め切り前にいただける人は半数もなく、 つい先日入稿された原稿もあった。写真もあったりなかったりで、ばらつきが 大きい。 表現の文体の統一も非常に難しい。これは正直、諦めた。ただ、頻出する単語 や固有名詞は多少統一性をもたせたが。人名の表記もばらばらだった。写真の キャプションも直すのが大変だった。 しかし、何と言ってもすごいのは、インターネットの威力。かなりの原稿と写 真が添付ファイルで日本中、いや、世界中からあっという間に集まってくる。 10年前には考えられないことだ。 でも、この同窓会誌も、決して紙媒体としてはなくならないだろう。表紙の雰 囲気、手にしたときの感触、ページをめくるときの期待感。どれをとっても、 デジタルの、WEBの世界ではカバーできないものを感じるのは、自分ひとりで はないはずだ。 *********************************************** 今回から新しく配信させていただく方もいらっしゃいます。 毎週月曜日の配信です。 ぜひ、ご愛読ください。 また、別のアドレスに送信希望の方は、ご連絡ください。 最新10号分のバックナンバータイトルは、下記の成岡 マネジメントオフィスのホームページのURLにあります。 http://www.nmo.ne.jp/letter.htm バックナンバーご希望の方はホームページからお申込ください。 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第110回配信分2006年06月05日発行 中小企業の内部統制を考えるシリーズその2 〜参謀役ができる人をそばに置く大事さ〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●前号では、中小企業の内部統制に関し、取締役会の意義や社外取締役の存在 価値といったことを書きました。意外と、かなりの方から返信や意見をいただ きました。たいがい、ご自分が、同じ環境に身を置いた経験のある方からの返 信でした。 ●今週号では、側に参謀役を置くことの大切さを強調したいと思います。伸び る中小企業には経営者のカリスマ性や技術的に突出したものも必要ですが、経 営管理的には、冷静沈着に判断ができる参謀役が必須です。そういう人がいる かいないかで、状況が全然変わってきます。 ●戦後、中小企業から出発して大きく成長した企業には、必ず経営者と名コン ビと称される参謀役の存在がありました。ソニー、ホンダ、松下電器など、み なさんよくご存知のところです。このことは、現代の中小企業の経営にも充分 当てはまります。いや、現在はもっとその存在価値が大きいと思います。 ●だいたい創業社長はカリスマ性を持っています。いや、もっていないと創業 後大きく成長しないものです。特に技術的に特化した会社であったり、一芸に 秀でたスキルを持った経営者には、威厳を伴うカリスマ性があります。それ は、誰もが認めるところです。 ●従って、経営管理、内部統制的に言えば、取締役会がそもそもの目的に沿っ て機能していればいいですが、中小企業の場合は、ほとんど取締役会は機能し ていません。そこで、社長のよき相談役、メンター機能を果たす参謀役が要る のです。 ●ただし、この参謀役の立ち回り方は非常に難しいものです。決して社長の前 に出てはいけません。自分の能力を誇示、披瀝、PRしてもいけません。じっ と、目立たない位置にいて、周囲の状況を観察し、さまざまな情報から、適切 な判断を下します。 ●たとえ、それが、経営者の意思決定と違っていても、決して迎合することは しないことです。冷遇覚悟で、諫言することが大切です。中途半端な妥協は逆 によくないことが多いのです。経営者のことを配慮した妥協の産物は、たいが い、そのコンセプトを曖昧にします。 ●そして、経営者が歩いた道を後ろから、そっとフォローして、穴ぼこが開い ていたら埋めないといけません。それも、目立たないように。決して、自分の 手柄にしてはいけません。我慢が必要です。忍耐も必要です。時には、教育的 な観点でものを言わないといけません。 ●参謀役の条件に、能力があれば、意欲はその次でいい。というドイツプロイ センのルールがありました。能力は必要充分条件ですが、意欲は必要条件では ないそうです。逆に、意欲ばかりあって、能力のない人が一番始末に困るのだ そうです。 ●いずれにしても、中小企業には社長のよきメンター役が必要です。人間は感 情の動物ですから、時として、いや、しょっちゅう間違います。間違ったこと すら気がつかないことも多くあります。ゴルフのアドレスをしたら、見えなく なるのと同じですね。 ●名参謀役を探してくるのも社長の大切な仕事です。後継者教育も重要です が、足元の業績を固め、内部統制を効かせるには、参謀役をきちんと位置づけ することです。ときには、いやなことも聞かないといけません。決して悪意や 他意がなければ、まず、真摯に聞くことです。 ●数式で書くと、経営のアウトプット=(経営者のマインド+経営者の能力) ×(参謀役の能力)だと思います。足し算ではなく、掛け算になると思いま す。それくらい、大きな影響を与えるものに違いありません。年齢は関係あり ませんが、やはり、多少は経験を積んでいることも必要でしょう。人間は経験 から学ぶことは多いので。 ●いま、そういう役回りの方がない企業は、社内を見渡してみるか、外部に目 を向けるか、どちらにしても、今日言って明日からできることではありませ ん。常に渇望状態で、周囲をウォッチしていることが重要です。「企業は人な り」、まさにこれを地でいくようなキーワードです。