**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第1123回配信分2025年11月03日発行 どこまで続くか自民党・維新の新婚生活 〜急な結婚は早期の離婚につながらないか〜 **************************************************** <はじめに> ・10月4日の自民党大会で新総裁に高市早苗氏が選出されて以来、政局は目ま ぐるしく動き、なんと当初の想定とは相当異なる様相で決着した。衆議院選挙 で争点だった政治資金の取り扱いをめぐり、永年連れ添った公明党から三下り 半を突き付けられ、とうとう協議離婚ではなく一方的な離婚宣言となった。公 明党は連立政権から出ていき、少数与党の自民党は同棲相手を探さないといけ ない羽目に陥った。お相手は、国民民主だったがこれも破談になった。すり 寄った維新と同棲生活に入ることを協議し、多くの無理難題をふっかけられた が、そこそこの妥協点を見出し、新婚生活を始めることになった。ところが、 最後の最後で、いきなりの同棲生活はご免と逃げられ、別居状態の通い婚と なった。いつでも、離婚ができる状態だ。 ・特に、維新が要求する国会議員の1割定数削減を自民党が飲むことで、一応 の新婚状態に入ることを承諾した。しかし、年内にその実現を図る法案を提出 しない場合は、離婚するという脅し付きだ。昔の嫁さんと期限までに離婚しな いと、自分との新婚生活は始めないと宣言された。あいまいに承諾し、とりあ えず婚姻届けを出す準備までは漕ぎつけた。しかし、定数の1割削減を実現す るのは容易ではない。過去に何度も、自民党は空手形を切っている。表面上承 知したと約束し、うやむやにして実行しない。約束はしたが、実行するとは 言っていないという屁理屈をかざして、曖昧模糊にする。自民党の得意技だ。 今回もこれで誤魔化すのではないか。そこで維新が本気で怒るか、未練たらし く半同棲を続けるか。先は読めない。 ・閣僚のポストも提示されたが、承諾しなかった。状況によっては、いつ高市 丸という船が沈むかもしれない。沈む船に一緒に乗って、運命を共にするのは 嫌だ。いつでも逃げ出せる状態でないといけない。一緒に責任を取らされるの は、真っ平だ。このような打算的な判断から、閣僚ポストの提案も蹴って首相 秘書官という黒子だけにとどめた。賢明と言えば賢いが、維新の政策をごり押 しするための方便のような対応だ。果たしてこれで政権運営がうまくいくのだ ろうか。非常に危うい綱渡りの運営を強いられるだろう。衆参両院で過半数が ないのだから、法案を通すためにはどこかと組まないといけない。法案ごとに お相手を探して、特定の人とは付き合わない。そんな、都合のいい政権運営が できるだろうか。迷走するのが当然か。 <維新とのハネムーンがどこまで続くか> ・高市政権は、過去の安倍政権のコピーになりそうだ。菅政権はコロナパンデ ミックの対応で右往左往したが、その後の岸田、石破政権での方針を覆す方向 を高市政権は強く打ち出している。経済、防衛、食糧、安全保障などは、それ が顕著だ。経済を活性化さすのは結構だが、極端な円安になることだけは避け たい。アベノミクスver.2と言われて、安倍元首相の政策に先祖返りするのだ ろうか。どちらかと言えば右寄りなので、防衛、改憲などにはエネルギーを割 くだろう。外国人対応へは厳しく、夫婦別姓論議は進まないか。物価高対策最 優先とは聞こえはいいが、果たして有効な手が打てるだろうか。ガソリンなど への暫定税率を止めるくらいのことで、お茶を濁すのではなかろうか。急に多 くのことをやろうとしても難しい。 ・山積する課題に優先順位をつけるべきだろう。課題のトリアージをして、後 ろへ回す課題は思い切って後回しにする。野党がいろいろと言うだろうが、毅 然とした態度と判断で、玉虫色の解決策を考えないことだ。政治資金の問題、 課題は完全にスルーした。果たして、これが吉と出るか凶と出るか。世間一般 では、この政治資金の課題解決を最大の争点の一つにしている。今回の施政方 針演説では一切触れていない。公明党は永年の盟友だったが、これを頭にきて 結婚生活を解消した。この大いなる決断は評価するべきだろう。ダメなものは ダメなのだ。矜持を表現したとして、下部組織は動揺したがこの決断にはエー ルを送りたい。代わりに同棲相手の候補として国民民主党の名前が挙がった が、煮え切らない態度で決断できなかった。 ・維新とのハネムーンがどこまで続くか疑問だ。とりあえずトランプ親分の訪 日、首脳会談は無事に終わったが、国内の情勢は非常に綱渡りだ。期待が大き かっただけに、反動も大きい。個人的な見立てでは、来年の夏くらいに破談が 訪れるのではないか。3月末の次年度予算は何とか合意にこぎつけたとして も、定数削減などは簡単に受け入れられないだろう。紛糾し、自民党内で分派 が起こるかもしれない。政治資金の規制問題も同じだ。世論を無視して強引に 正面突破を試みても、最初の扉は崩せても、2枚目の扉を崩すのは容易ではな い。挙句の果てに迷走し、支離滅裂になり、党内の支持も急落し、後ろ盾の麻 生氏も愛想を尽かす。徐々に死に体になり、最後は総選挙を選択するか、総辞 職をするかの、土壇場になるか。 <初の女性総理として期待値は高い> ・初の女性首相、総理大臣ということで期待値が高かった。ガラスの天井を突 き破り、女性活躍のシンボル、象徴になった。そのこと自体は賞賛されるべき ことだ。個人的には何の恨みも、遺恨もない。もともと自民党は徹底した利権 集団だ。各派閥の親分が、子分を傘下に抱えて利権で動く集団だ。政治とはそ ういうものだと思えば、納得する気持ちもあるが、天下国家を堂々と論じる矜 持のある政治家がいない。このまま2050年になれば、国力は衰退し、人口は急 減し、働き手はいなくなり、農業従事者は極端に減る。食べる物を作る人がい ない。工業製品を製造する現場に人がいない。物流の現場で、モノを届けてく れる人がいない。お医者さんも、鉄道を動かす人も、タクシー運転手さんも、 マンションを作る人も、いない。 ・レストランの厨房やフロアーはロボットで代用できるが、できない仕事、業 務は山ほどある。いくらDXでデジタル化が進んでも、生産性が向上しても、ど うにもならない仕事は多い。少子化のみならず、周辺諸国との関係や、貿易の 為替問題、オーバーツーリズム対策など、待ったなしの日常生活上の課題が何 一つ解決していない。失われた30年、アベノミクスの10年、積みあがった1000 兆円を超える国の借金をどうするのかという根本的な方針が出せないまま、政 治献金問題で紛糾し、総理大臣が1年ごとにコロコロ変わる異常事態だ。物価 高に苦しむ国民は我慢強い。お上の言うことには逆らえないという文化が根強 くある。自由で闊達な物言いが、憚られる空気、風土、文化が払拭できない。 女性首相の誕生への期待値は高い。 ・月末の詰まった外交日程も無事にこなし、トランプ大統領には最大のサービ スをした。安倍首相の後継者というポジションは、大きなアドバンテージだっ た。石破前首相とは大きな違いだ。今後、中国と対峙するアメリカの最前線防 衛網の構築に向けて、防衛予算の増額を求めてくるだろう。これにどう対処す るか。ただでさえ借金が多い日本国の予算で、多額の防衛費の増額は簡単に認 められることではない。しかし、トランプ大統領は負担の増加を求めてくるだ ろう。ノーベル平和賞の推薦も約束した。80兆円のアメリカへの投資も、財界 人との夕食会で万座の前で各人に約束させた。何から何まで、卓越した商売人 だ。この勢い、エネルギーに負けて、国益を損なうような決断をして欲しくな い。ただでさえ、円安になっているのに。 <無理に笑顔を作り過ぎか> ・1月から来年度予算の審議では紛糾し、揉めに揉めるだろう。維新からの定 数削減の要求は簡単に飲むわけにいかない。自民党の重鎮連中から、厳しい突 き上げが来るだろう。維新が愛想を尽かす場面が来るかもしれない。予算の通 過が3月末までにできないと、重大な局面になる。維新と離縁する可能性も高 い。では、予算を通すためにどこと組むか。政策ごとに合従連衡を繰り返し、 パッチワークのような予算になるか。仕上がりはまだら模様で、全くきれいで はない。迷走し、右往左往し、その都度妥協できるグループと組むことにな る。現在の高い支持率も低下し、総選挙に打って出る局面にもならない。少数 与党だから仕方ないが、それでも辻褄合わせの政策ばかりになり、一貫した整 合性の取れる内容にならない。 ・5万円を超えたバブルにも似た株高は一気に暴落する可能性がある。公定歩 合も上げられない中で、賃金はさほど上がらず、物価は依然として高止まり。 円レートは150円を超えて、一向に円安が止まらない。外国人労働者の受け入 れも停滞し、インバウンドツーリストだけが縦横無尽に観光地を闊歩する。国 力は疲弊し、とうとうインドに抜かれ実質GDPは世界第5位に転落すると予想 されている。少子化の傾向は、政権が変わったから急に止まるものではない。 何より、日本の将来が明るくない。高市政権で、明るい未来が少しでも見える かという期待は、幻と消える可能性が高い。何より、同棲相手がころころ変わ るという不安定な政権だから仕方ないか。少数与党という不安定政権は、民主 主義のひとつの形だが、基礎がぐらつくのはいただけない。 ・前石破首相のTV映りがいまいちで、評判が悪かった。人相の問題から仕方な かったか。それを意識してか、高市首相は一生懸命笑顔を作っている。裏側で スタッフがアドバイスしているのだろうが、あれほど常に笑顔を作るのは、し んどいだろう。障害の残る旦那さんと離婚して再婚したという珍しい家庭環境 だ。以前は夫の介護に疲れたという発言もあった。まだ、先は長いから自然体 でいかないといけない。集中力がなくなると、間違った意思決定に結びつく。 気苦労が絶えないだろうが、日本で初めてガラスの天井を破った女性の総理大 臣だ。何か後世に残るひとつでいいから大きな足跡を残して欲しい。果たし て、維新との危うい同棲生活がいつまで続くか。