**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第1126回配信分2025年11月24日発行 台湾有事は本当にあるのか 〜2028年が最も可能性高いのでは?〜 **************************************************** <はじめに> ・日本で女性初の総理大臣、高市首相がうまく外交デビューして、短期間でア メリカの大統領、中国の主席、韓国の大統領などと初対面ながら無難に初の面 談を切り抜けた。それに気を良くしたわけではないだろうが、その後帰国して 国会の予算委員会の発言で、中国に対し台湾有事の状況に切り込んだコメント をした。した途端に中国から猛反発を食らい、ケンカになった。お互いの大使 が呼びつけられて、クレームを言合った。一応、反論はするもののお互いに正 当性を主張して譲らない。面子もあるが、ここで謝った様子や弱腰を見せる と、あとあと尾を引くだろう。ここは一歩も下がらず、正論をぶつけ合ってド ローに持ち込む作戦か。発言の撤回などを要求されても、退かない。なかなか 度胸のあるやり取りだ。 ・つい本音が出たというべきか。以前から、自分の著書や講演で、台湾有事に 関しての懸念を述べていた。総理大臣になったから、自説を封印するなどとい う弱腰は見せたくない。幸い、新首相、新内閣の評判もいい。調子に乗って本 音をしゃべったら、それが大炎上した。暗殺めいた中国外交官の発言まで飛び 出し、一気に大きな外交事案に発展した。従来の首相が、言いたくても遠慮し て言わなかった本心が、つい口から出た。日ごろからそう思っているから、本 音が出たのだろう。正直でいいが、場所と相手をわきまえていなかった。後 で、火消しに躍起になっているが、遅かった。中国政府は日本への渡航自粛を 通達し、日本産水産物の輸入禁止を通達した。相当強硬だ。上からの指示は絶 対服従だから、どうしようもない。 ・今までも日本人の不当逮捕は日常茶飯事だ。今回は、お灸を据える意味でき つくブラフをかけておこうという魂胆か。最近、新鋭空母を就航させたところ だ。最新式の電子カタパルトを装備し、黄海での軍事行動に従事する。これで 空母の就航は3隻目だ。どんどん中国は軍拡に舵を切っている。国内経済が停 滞しているが、そんなことはお構いなく軍拡に邁進している。専制国家だか ら、何をしても文句は言われない。大卒の失業率が20%になっているが、それ でも大金を投入して大型新鋭空母の増設を行った。台湾海峡の封鎖を行うに は、どれくらいの軍備が要るか、綿密に計算しているだろう。軍事シミュレー ションもしているはずだ。密かに上陸用舟艇での上陸作戦を練っているだろ う。問題は、いつ、それが起こるかだ。 <台湾有事はおそらくある> ・本当に台湾有事があるのだろうか。歓迎すべきことではないが、おそらくあ るだろう。問題は、いつあるか。仮に、台湾有事という緊急事態になると、台 湾の軍隊、アメリカの軍隊、日本の自衛隊、場合によっては韓国の軍隊などが 行動の対象になるか。特に、一番大きいのは当然ながらアメリカ軍の動きだ。 海軍、空軍、陸軍、そして海兵隊。これがどのように、どう動くかで大きく局 面は変わってくる。沖縄や日本各地に駐留する米軍の動きがキーポイントにな る。そう考えると、アメリカの政治体制がその時点でどうなっているかが重要 だ。トランプ政権は、あと3年間だ。来年11月には中間選挙がある。少し強引 な運営が目立つので、国内は2つの勢力に分断されている。世論も割れてい る。裁判所も関税政策に反旗を翻した。これを中国はチャンスと見るか。 ・あるいは、3年後の大統領選挙の結果を見てから、判断するか。共和党が続 けて政権を取るか、民主党に変わるか。共和党でも、トランプの次は誰になる か。今の現職の副大統領が立候補するか、別の人物か。習近平政権が、あと何 年やれるのか。ルールを自分の都合のいいように変えるのは専制国家では当然 だが、それをやってまで延命政権を作るのか。それとも、傀儡政権にして院政 を敷くのか。台湾侵攻となると、相当に国内情勢を掌握していないと踏み切れ ない。侵攻し、占領してから、統治が落ち着くまで5年、いや10年はかかるだ ろう。そこまで大きな冒険をして、資金を投下して、見返りをきちんとゲット しないと、いくら専制国家といえども批判は免れない。 ・日本国内は、大きく混乱するだろう。まず、物資の輸入が相当の期間停滞す る。なにせ、南から海上を運ぶ物資はほとんど台湾海峡に近いルートを通過す る。それが封鎖されると、大きく迂回せざるを得ない。アメリカからの輸入は 問題ないかもしれないが、海上交通に相当の支障が出るだろう。経済への打撃 は計り知れない。何より、国際情勢が一挙に緊張する。その影響で、他の地域 での紛争が激化したり、新たな内乱が起こったり、戦争が始まるかもしれな い。国連は今の状態だと何もできない。安全保障理事会は無力だ。為替は乱高 下し、経済は大混乱になるだろう。有事も有事、大変な危機を迎える。その時 点で、日本の政治体制もどうなっているか分からない。今のままの少数与党 の、危うい連立政権で対応できるのか。強いリーダーシップが要る。 <2028年が可能性高いか> ・習近平政権は、建国80周年が2029年になるのに合わせ、2024年の全国会議の 際に2029年には改革の完成を目指すと宣言した。任期は延長して現在3期目で 2028年までになる。2029年の時点の決意を宣言したということは、そこまでも やると意思表示したことと同じととられている。2029年から2030年にかけて行 われるはずの建国80周年記念行事の開催までに台湾を領土として合併するので はないかと、噂されている。その侵攻、合併を成功させ、さらに任期を延長し て4期目に入るのではないかと推測されている。あるいは、2028年夏にロス五 輪が開催されるので、アメリカが五輪に沸いているすきに侵攻を企てるのでは ないかと考える専門家もいる。予想はあくまでも予想で、予想通りに行くはず もない。ある日突然、起こるだろう。 ・仮に台湾有事があるとすれば、日本の中小企業は何を準備しておかないとい けないか。これは、正直予測ができないし、読めない。日本が近隣諸国の戦争 の影響をまともに受けるとすれば1950年(昭和25年)の朝鮮戦争以来の大事件 だ。当時と状況は全く異なる。単に、海軍、陸軍で台湾に侵攻するだけではな く、情報かく乱などのIT分野での戦術が拡大するだろう。台湾有事をテーマに した映像がある。中国主体で作られた「零日攻撃ZERODAY」という初のテレビ ドラマシリーズだ。中国による軍事侵攻や心理戦、社会不安をリアルに描いた 作品だ。これが、中国側で作られたという意図を読み解かないといけない。別 に、日本で製作された映画で「戦雲-いくさふむ-」というのもある。南方諸島 に配備された駐留自衛隊が戦乱に巻き込まれるというシナリオだ。 ・中国における台湾問題は、「核心中の核心」だ。そこまで言い切るのは、相 当の覚悟だ。専制国家だから、シビリアンコントロールも、何もない。トップ がGO命令を出せば、全員そちらに向く。反対意見などを言えば、拘束か処刑さ れる。台湾に中国軍が侵攻して、何を目的にするのか。単なる領土の占領だけ では勘定が合わない。半導体製造企業の取り込みか。あるいは、海上交通の要 衝を抑えることが目的か。領土面積、人口数、GDP総額など、ここまでのリス クを犯してゲットしたいものは何か。香港を取り込んだように、当初一国二制 度などと詭弁を弄して、その後徐々に抱え込む作戦か。10年かかっても全く平 気だろう。なにせ、4000年の歴史のある国だ。それも、民族が王朝の都度すべ て変わったものすごい国だ。所詮、考えることの次元が違う。 <有事に備えて今から心の準備を> ・日本政府は水面下で、台湾有事のシミュレーションをしているはずだ。朝鮮 戦争以来、まともな戦争に大きく巻き込まれたことのない日本にとって、飛行 機で3時間ほどの台湾で戦争が勃発するとなると、影響は計り知れない。企業 では準備をするといっても、何をすればいいか分からない。どれくらいの期 間、どのような混乱が起こるのか、想像もつかない。エネルギー価格が暴騰す るかもしれない。食料価格が高騰するかもしれない。インフレが急激に起こ り、物価が狂乱し、1973年のようなオイルショックの再来になるかもしれな い。戦時に必要なのは、現金だ。内部留保がしっかりあり、少々の業績のアッ プダウンでも、びくともしない強力な体力をつけておかないといけない。その 時になって、慌てていても遅い。 ・10年以内に起こるとすれば、今からBCP(事業継続計画)をイメージしてお かないといけない。日本の情報機関は脆弱だから、兆候は米国や韓国からもた らされるだろう。大規模な軍事演習と称して、海岸線に大量の軍事資源を集約 する。情報調略部隊が、システムの破壊を仕掛ける。混乱に乗じて、上陸用舟 艇で台湾西海岸に大量の部隊が上陸する。その後、台北に侵攻し、数日以内に 占領下に置く。ロシアがウクライナ侵攻に当初失敗した経験を、十分教訓とし て研究しているだろう。米軍がどこまで火中の栗を拾うつもりか。まだ当分先 かもしれないが、その時点でウクライナ、ガザ、イラン、アフガニスタンなど の紛争がどうなっているか。安全と空気と水がタダ同然という、従来日本国民 が抱いていた幻想は、簡単に崩壊することになる。 ・100年以上続く京都の老舗企業は、これらの困難な状況をことごとく乗り 切ってきた。古くは、明治維新、関東大震災と世界恐慌、それに続く太平洋戦 争。そして終戦。戦後は、復興から高度経済成長、オイルショック、バブル崩 壊、リーマンショック、大きな2つの震災、コロナパンデミックなど。どうし てこうもいくつもネガティブな状況が起こるのだろうか。しかし、その危機を 何度となく凌いで、乗り切った。今回、仮に台湾有事があれば、これは相当大 きな事件になる。その時に慌てないためにも、日ごろの心掛けが大事だ。少々 のことでは、びくともしない体力、気力、知力、財力をつけておかないと、こ の難局は乗り切れない。これは大きな試金石だ。生き残るための踏み絵だ。そ う覚悟したら、やることが見えてくる。