**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第1132回配信分2026年01月05日発行 2026年はどのような年になるのだろうか 〜国内外ともに不安定不確実な環境が続く〜 **************************************************** <はじめに> ・2026年はどのような年になるだろうか。以前より、さらに不確実性が増すだ ろう。国際情勢も、日本経済も、中小企業の経営環境も、一層複雑化する。以 前の常識が非常識になり、当然が偶然になり、当たり前が当たり前でなくな る。過去の経験、実績の延長線上で考えていると、とんでもないところに連れ ていかれる。あるいは、周囲を見れば誰もいない、置いてきぼりになる。誰の 言うことを信じたらいいのか、わからない、予測も当たらない。常に不安がつ きまとい、ストレスが貯まる。社長、代表者をすることが、これほど重たいこ とかと、つくづく感じる。先代の時代は良かった。とにかく、前を向いて進め ば間違いなかった。後ろを振り返り、立ち止まって考えることは必要なかっ た。それくらい、当時は世の中がシンプルだった。 ・政治情勢も混沌とする。ここ数年、総理大臣が短期間で変わった。G7の先進 主要国でこのような国はあまりない。その都度主要な大臣が入れ替わり、政策 の一貫性がない。コメを増産と言ったかと思えば、急に否定する。赤字国債の 発行を抑え、プライマリーバランスの均衡を目指すと言ったかと思うと、急に 取り下げる。抑制的な予算を組んだかと思えば、首相が変わると積極財政に転 換する。誰もこの日本国の未来に責任を持っていない。目先をしのごうとす る。少子化対策に膨大な国費を投入するが、一向に出生率は改善しない。移住 政策を推進するが、住民が移動しただけなのでゼロサムゲームになっている。 これでは人口減少は止まらない。選挙では言いにくい、評判の悪いことには口 をつぐんで、耳障りのいいことだけを並べる。 ・アベノミクスを反省し、円安の是正に舵を切ったかと思えば、安倍元首相の 弟子が総理大臣になった途端にアベノミクスが復活したような政策に先祖返り した。輸出企業は潤うが、原材料、食糧の大半を輸入する日本では、この為替 レートで商売するのは非常に厳しい。いくらが妥当なレートかは難しいが、せ めて120円くらいでないと厳しいだろう。国際情勢の不安定もあり、円安、物 価高は当面止まらない。膨大な国債を抱える日銀が、簡単に金利を上げられな いからだ。なぜか株価だけが独り歩きして、高騰している。2026年中に株高に 異変が起こるのではなかろうか。現在の株高の根拠が脆弱だ。期待値で上がっ ている時期は終わった。株価の下落が始まると、今の経済状態は悪化するかも しれない。不況に陥る可能性もある。 <国際情勢はさらに混沌> ・国際情勢は、一層混沌とする。ウクライナ・ロシアの停戦交渉は遅々として 進まない。EU諸国、アメリカ、ロシア、ウクライナそれぞれの思惑が錯綜し、 出口が見えかかったと思いきや、まだ迷路に入り込む。イスラエル・ガザの戦 闘も、蟻地獄に入ったままだ。これ以外にも、中東、インド・パキスタン、南 米ベネズエラなどでの紛争はいまだに泥沼の状態が継続中だ。11月のアメリカ 中間選挙では共和党が敗北するかもしれない。そうなると2年後の大統領選挙 の行方が混沌としてくる。米国ではさらなる分断が進み、経済も混乱する。関 税交渉も一部の国とまとまらず、険悪な状態になる。米中の貿易摩擦も、一時 休戦が終わり交渉も佳境を迎える。トランプ大統領は任期終盤に向けて、ノー ベル平和賞の獲得に注力し、国内に目が向かない。 ・中国経済が一番気がかりだ。不動産バブルが崩壊し、大卒失業率の20%は改 善されず、優秀な人材の国外流出が止まらない。EV自動車製造業だけは元気だ が、それ以外の産業での停滞は止まらない。何より、日本を追いかけて人口減 少が始まっている。一人っ子政策は終焉したが、そう簡単に出生率は上がらな い。一部の富裕層にだけ富が集中する傾向は、さらに顕著になり共産党政権の 基盤を揺るがす。汚職の撲滅も進まず、国内世論を統制するために武力での対 外圧力を増大する方向に舵を切る。台湾、尖閣諸島、黄海、インドシナやフィ リピン海峡での衝突、小競り合いは日常茶飯事になる。2026年に台湾有事は起 こらないだろうが、不気味な前兆現象は頻繁に起こる。新設の3台目の新鋭空 母が東シナ海を闊歩している。軍事演習も頻繁にある。 ・インドは人口増加が止まらず、総人口で中国を抜いた。GNPも大幅に伸長 し、大国への道筋を着々と歩む。近い将来、オリンピックと万博の開催ができ るまでになるだろう。EU諸国は、ウクライナ戦争の出口が見えず、疲労の度を 増している。イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどは移民政策で足並み が揃わない。右翼勢力の伸長もあり、国内情勢の沈静化にエネルギーがかか り、対外的にリーダーシップを取れる国がない。NATOを巡るアメリカとの不協 和音も解消できない中途半端な状態が続く。ウクライナ戦争の関係で、ロシア との距離の取り方が、各国でまちまちなのが原因だ。それぞれの国の歴史があ り、その延長線上に今がある。民族も、言語も、宗教もそれぞれがそれぞれの 歴史を背負って生きている。日本人にはわかりにくい。 <日本国内はまだら模様> ・日本国内はどうだろうか。以前からの少子化傾向は止まらない。止まらない どころか、一層加速している。死亡する人が150万人、生まれてくる赤ん坊が 60万人だから、差し引き90万人分が毎年減って行く。毎年、小さな県のまるご と人口が減る。5年で500万人口が減少する。特に東京を中心とした首都圏、 都市部に人口が集中し、地方の過疎化は一層進む。国土インフラのメンテナン スが追い付かないので、道路、水道、橋、トンネルなどの使用中止が続々と出 始める。京都府でも南部の地域で、水道代の大幅な値上げが決まった。インフ ラを維持するためには、コストが高くつく。賄える自治体は限られてくる。さ らなる都市部への人口集中が加速し、地方の過疎化は進行し、経済の疲弊が目 立つようになる。高齢者の都市部への移住という現象が進む。 ・農業への新規参入する人や法人も増えてはきているが、農業従事者の減少を カバーするには程遠い。コメ農家はここ5年くらいで急速に減る。いくら増産 と政府が叫んでも、作り手がいなければ絵に描いた餅だ。一部の野菜や果物 は、ハウスや工場建物の中で栽培が可能だから、まだ作業効率は悪くない。か けた費用の回収も計算できるが、コメはそうはいかない。苦労して育てたコメ が、収穫直前の天候不順で投資が回収できない。特に、夏の猛暑日が続くと、 生育不良が顕著になる。年に2回収穫できる品種の改良、農法の開発も進んで いるが、食糧安全保障を確保するには、まだ気の遠くなるような時間がかか る。そのうちに、作り手、人手不足の方が先行してボトルネックになる。逆 に、農業分野には今後ビジネスチャンスがある。 ・半導体製造装置関連の製造業、ロボットなど省力化機器の製造業などは、依 然元気だ。省力化に併せて物流機器、搬送装置、選別装置などの関連業界も忙 しい。関連するシステム開発、検査装置、分析機器なども、常に需要がある。 設備投資も活発に行われ、関連する工作機械、部品製造、電子電機部品などの 製造関連企業は、まだ当分景気は落ち込まない。逆に、サービス業はまだら模 様になる。インバウンド中心の観光産業は、日中ケンカの影響はあるものの、 依然好況だ。宿泊、飲食、交通、物販などのビジネスは、まだ当分大規模な国 際紛争が勃発しない限り、安泰だ。円安の影響で食品スパーなどの小売業の激 戦は続き、物価高の影響で買い控えが起こっている。10個の需要が8個にな り、販売個数の減少が起こる。 <常に試行錯誤を繰り返す> ・円安の是正から市中金利の上昇が始まっている。既に長期国債の金利が少し ずつ上がって、連動して企業への貸出金利が上がるだろう。有利子負債が膨大 にある企業の資金繰りは、一層苦しくなる。特徴のある技術があり、製品や サービスの粗利が飛びぬけて高い企業は生き残れるが、並み以下の粗利しか稼 げない企業の経営は、一層苦しくなる。貧すれば鈍することになり、勝ち組は 一層の勝ち組になり、負け組に入っている企業の淘汰、選別が始まる。まず、 そのような企業には、人が来てくれない。募集しても、募集しても、待遇、条 件、環境で見劣りすると、新規の中途採用が難しい。最近のZ世代の価値観 は、まるで異なる。50歳から60歳くらいの経営者の方では、想像もつかない。 仕事のやりがいより、自分の生活が価値観の中心軸だ。 ・中小企業が生き残り、さらに成長、発展を遂げるのは、非常に難しい時代に 差し掛かってきた。若い経営者に交代した時点で、大きく事業内容の転換をな し遂げる必要がある。祖業から守ってきた事業は大切にしつつも、それだけで メシが食えるほど楽な時代ではない。祖業の事業に新しいスパイスを振りかけ て、別の食品に仕上げないといけない。古い味では、今のお客さんの口に合わ ない。レシピは常に更新され、食材は常に新しい素材が試されないといけな い。試食を何回も繰り返すが、自信をもって提供した新しいメニューが、すぐ に受け入れられるとは限らない。開発するには費用が要る、投資も要る、時間 もかかる。新規に開発したものが、すぐにビジネスになるとは限らない。健全 な赤字は開発という意味では常に必要だ。体力勝負になる。 ・2026年、中小企業は生き残りと淘汰をかけて勝負の年になるだろう。ここ で、次の5年、10年に向けて事業の方向が決まれば、よし。決まらなければ、 また、右往左往の1年になり、この遅れが大きな傷口になる。やることすべて 結果が出るとは限らない。むしろ、結果が分からないことの方が多い。多産多 死ではないが、射撃の腕が二流なら、弾は多く撃たないと当たらない。弾を買 う資金も要る。絞り込んで、一発必中ならいいが、それほどの腕でないなら、 常に試行錯誤を欠かさない。日ごろからの準備のないところに、陽は当たらな い。運がいいと外から見える人は、見えないところで準備をしている。ここ で、踏ん張るか、土俵を割るか。安青錦のように、姿勢を低くして、稽古で基 本動作を反復して、努力を継続するしかない。日ごろの稽古は裏切らない。