**************************************************** ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第1135回配信分2026年01月26日発行 危ういか中国経済 〜中国べったりではリスクが高い〜 **************************************************** <はじめに> ・中国は今後どのような方向に進むのだろうか? 引っ越しできない大国の隣 人と、どうつきあえばいいのか。昨年の高市総理の発言に、あそこまで敏感 に、かつ強硬に反応するとは思えなかった。露骨な嫌がらせを含め、大人気な い誹謗、中傷、エンタメ分野への露骨な干渉、水産物の輸入停止、フライトの 中止など、枚挙にいとまない。ここまでやるかと呆れてしまう。挙句の果て に、自衛隊機へのレーダー照射事件まで起こった。沖縄が日本の領土ではない とまで言い出した。国連の安全保障理事会に数度にわたり糾弾の声明を提出し た。この際、徹底的に叩いておこうという腹の内が読める。習近平政権の露骨 な日本バッシングはどこまで続くのか。時間が解決するとは思えないが、一触 即発の事態でもない。 ・台湾問題に言及しただけで、ここまでヒートアップするとは思えなかった。 迂闊と言えばそうかもしれないが、本音を語ったことだけは事実だ。歴代政権 が腫れ物にさわるような慎重で、曖昧な態度をとり続けてきたので、ここらで ある程度はっきりしたことを言っておいた方がいいと、真正面から直球を投げ たら、見事に?打ち返された。あるいは、故意に死球(デッドボール)をぶつ けてきた。2012年に尖閣列島を国有化したときほどの直接的な行動はないが、 最後の一線は越えないようにコントロールしているのだろう。前回のときは、 日本企業の店舗への襲撃、略奪、日本車への放火など、目に余る過激な行動が あった。抗日デモへの参加者に日当を払って参加を促すという、政府がすると は思えない行動まで行った。 ・逆に、今回は回転寿司チェーン店の開業には大勢の庶民が訪れた。10時間以 上並んだというお客さんもいた。イオンの大規模スーパーの開店も、予定通り 行われた。多くの買い物客で賑わったとの報道があった。庶民と習近平政権と の距離は、想像以上に離れている。日本バッシングはわかるが、庶民の生活と は縁遠いところの話しだ。台湾問題より庶民の生活をもっと楽にして欲しいと の思いが強い。併合した香港でも大規模火災があり、150人以上の住居者が亡 くなった。香港当局と業者間の癒着、賄賂という噂が絶えない中で、住民の怒 りは収まらない。政治、経済のまずさのはけ口をどこかに設定しないと、現政 権への批判が強まることは避けられない。そこに高市発言があり、これは好機 と飛びついた。 <中国は大国になった> ・現在、中国はアメリカの約3分の2の経済規模にまでなっており、日本の約 5倍である。過去に遡ると、40年前の1985年の世界経済ランキングは、1位ア メリカ(4,339/単位10億USドル)、2位日本(同1,427)、3位ドイツ(同 663)、4位フランス(同551)、5位イギリス(同537)で、中国は8位(同 310)。当時の中国の経済規模は、日本の5分の1だった。それと40年後の今 日を比べると、アメリカは7倍、中国は60倍に拡大しているのに、日本は3倍に しかなっていない。2010年には、中国は日本を抜いて2位になっている。中国 の高成長、日本の低成長という際立った違いになった。1985年は昭和60年、バ ブル経済の入り口に差し掛かっていたころだ。ジャパンアズナンバーワンだっ た。 ・その後、バブル経済が崩壊し金融危機が到来、失われた30年に陥り、さらに リーマンショックが追い打ちをかけた。総理大臣が毎年変わり、超短命政権も あった。諸外国からバカにされた。金融危機が収束しつつあった時期に、アベ ノミクスが始まりゼロ金利、大量の国債発行、それを日銀が買い込むという禁 じ手まで駆使して、何とか経済の建て直しを図った。しかし、為替レートが80 円前後から160円という大暴落を引き起こし、国力の低下を招いたことは、万 人の認めるところだ。大量の借金を抱えると同時に、低成長、人口減少、少子 高齢化という多重債務に苦しんでいる。これを抜けるには、そう簡単なことで はない。隣国中国も、日本の後追いで同様の危機の入り口に差し掛かりつつあ る。 ・軍事力については、グローバル・ファイヤーの2025年の世界軍事力ランキン グによると、1位アメリカ、2位ロシア、3位中国、4位インド、5位韓国、 6位イギリス、7位フランス、8位日本、9位トルコ、10位イタリアという順 番である。この間、中国は、凄まじい勢いで軍備を拡張している。核兵器の数 では、アメリカやロシアが約5000発を保有しているのに対し、中国600発であ るが、急速に核兵器の数を増やしている。海軍力も、空母を3隻保有し、常時 東シナ海で訓練と称して軍事行動を展開している。ロシアがウクライナと戦争 し、長期戦に陥っている中で中国の突出ぶりが目立つ。香港を予定通り併合 し、次は台湾の併合を虎視眈々と目論んでいる。2028年までには何らかの軍事 行動を起こすだろう。 <中国も急成長から低成長へ> ・アメリカは世界の警察という立場を放棄し、自国は自国で防衛する方向に仕 向けている。欧州やアジアに大金を投じて防衛網を維持することが難しくなり つつある。日本や韓国への防衛力の配備は次第に縮小するのではないか。中国 は台湾を海上封鎖して、兵糧攻めにする方針だろう。直接軍隊が上陸し、地上 戦を展開するなどという愚策は取らない。ロシアのウクライナ侵攻の失敗を見 て、大いに反省した。秀吉の高松城攻めのような持久戦に持ち込み、いつかは 台湾がギブアップするのを待つだろう。海上封鎖だと、アメリカも日本も、な かなか手出しはできない。冷戦時代のベルリン封鎖のときのような、補給品の 空中輸送なども不可能だろう。備蓄資源がどれくらい貯蔵されているのか。そ の日のための準備はできているか。 ・引っ越しできない隣国中国との付き合い方は、難しい。そもそも、国の歴史 が全く異なる。古くは元寇という中国からの侵略もあり、秀吉の朝鮮出兵とい う逆パターンもあった。満州建国という日本からの侵略もあり、過去多くの衝 突、紛争、侵略があった。その後、共産党政権となり一党独裁が続いている。 永らく、中国と国交がなかったが、アメリカが急接近したので、ときの田中角 栄首相が北京に飛んでいき、日中国交が成立した。その後、日本が落ち目にな り、中国が急成長した。しかし、ここにきて、両国とも大きな課題、悩みを抱 えている。日本は世界の稀に見る少子高齢化へ突入し、中国は急成長から低成 長へと急激に階段を転げ落ちている。若者や富裕層の国外への脱出も止まらな い。 ・今後、日本は中国への依存を極力減らす方向に舵を切らないといけない。経 済を多く依存していると、まさかの有事の際に経済で締め上げられる。しか し、そう簡単なことではない。食料、原材料はじめ、多くの物資を中国から輸 入している。最近では、レアアースという日常生活とは一見縁遠い希少性金属 などがこれだ。この資源が中国から入りにくくなると産業のコメである半導体 や、小型モーターなどに利用されている強力磁石などの製造に影響を与える。 欠乏した場合、急にこれらなしでの技術が開発できるものではない。これから 中国と距離を置いて付き合わないといけないと腹をくくって、この方面の技術 開発に投資が必要だ。サービス業では、中国に市場を求めて多数の企業が進出 しているが、さらに厳しくなるだろう。 <中国べったりはリスクが高い> ・中国経済は昨年、目標値5%前後の4.9%成長を実現したが、今年は低迷から 抜け出せない状況が確実視されている。致命的な状態と言っても過言ではない 内需不振などの課題が山積している。いろいろなメディアの最近の報道では、 中国は今年も過去2年間に掲げた5%前後の成長率目標を達成するために努力す るという。事実上、中国の副総理が権限を握ったまま導く経済当局にとって、 5%が目標値のデッドラインであるため、まさに背水の陣だ。3月初めに開催さ れる予定の第14期全国人民代表大会(全人代)会議では目標として公式に設定 することが明らかだ。しかし、展望はそれほど明るくない。理由は一つや二つ ではない。複数の複雑な理由が中国の現状にはある。公式には肯定しないが、 爆弾のような課題が山積している。 ・何より新型コロナパンデミック発生以前から異常だった内需不振。今年も回 復は難しいはずだ。かつて不動産富豪たちの間で流行していた富の誇示現象が いつの間にか完全に消えた。数年前まで上流階級の憧れだったポルシェが最近 販売不振に苦しんでいる。富の誇示と真逆の現象である超節約消費も表明化し ている。Z世代の若者たちが一食に5元(約113円)前後のいわゆる「貧乏人 セット」で食事を済ませることが流行している。20代前後の若者たちが直面し ている恐ろしい失業の現実も大きな課題だ。短期間で解決するには、20%を脅 かす若者失業率はあまりにも高い。経済成長の足を引っ張る最大のアキレス腱 だと言っても過言ではない。経済成長率5%という実績の数字は、実は現実を 歪曲しているという噂が絶えない。 ・中国経済がおかしくなると、世界経済に大きく波及する。しかし、現状の習 近平政権の国内経済運営は、歯車が狂っている。不動産価格は暴落し、大卒で 就職できない人が街にあふれ、富裕層は国を見限って異国に移住している。憲 法を変えてまで政権に固執した習近平だったが、後継者が見当たらないという のが正しい。あまりに権力を集中し過ぎたツケが回ってきた。経済を活性化さ せるための禁じ手として、台湾の海上封鎖にいつ出るか、世界は固唾を飲んで 注視している。米国大統領選挙の行方、ウクライナ戦争終結の幕切れ、ガザ和 平への道筋、日本政府の迷走など、周辺地域で考慮する条件は多岐にわたる。 基本に中華思想がある限り、中国べったりのビジネスモデルはリスクが高い。 今から手を打っておく必要がある。