□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第156回配信分2007年04月23日発行 税理士さんの早期直言がまず必要 〜経営改善の始まりは毎月の試算表から〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●いつも中小企業の経理や財務の状態を一番近いところでウォッチしているの は税理士の先生方だ。その税理士の方々が、もっと経営の中身に関して、直言 をして欲しいと思うことが、多々ある。専門家が、きちんとものを言うこと は、大いに意味がある。 ●再生支援協議会など、再生を目指して経営相談に来所される企業の多くは、 決算書の内容に何らかの不備がある。不備があるくらいならいいが、明らかに 確信犯的におかしい処理をしているケースもある。金融機関でも、気が付いて いると思われるようなものも多い。 ●大企業の会計監査で不備や粉飾が見つかり、大企業の決算の信憑性が問わ れ、大手の監査法人がビジネスが出来なくなった。レベルは違うかもしれない が、中小企業の場合、決算を見ている税理士の方々が、もっと正確、公平、透 明性の原則で、決算処理をしてほしいと思うことがある。 ●資産の部分でいえば、一番多いのは減価償却をきちんとしていないケース。 昨年度の決算書と今回の決算書を比較すれば、償却がおかしいのは一目瞭然な のだが、どういうわけか、平気でそれをしている。ここ数年、全然償却をして いないと、堂々と言われる経営者の方もある。 ●ご存じのように減価償却をすれば、利益が減ることになるから、申告の利益 額が少ないときに、正常に償却をすれば赤字になるケースも出てくる。そんな ときに、今期は償却をきちんとしないという意志決定がなされることが多い。 赤字の結果は残念だが、それが現在の実力だ。 ●固定資産の評価は、おおむね簿価で計上してあるから、時価に直せばいくら になるかというのは、大事な資産の再評価である。事業性の資産(工場の土地 や建物)に関しては、企業の継続に必須なので、時価に評価することは、必要 ないかもしれない。 ●よくあるケースは本業に関係ない不動産、例えばマンションや遊休不動産な どだ。これが簿価が高い(購入時の価格が高かかった)となると、本当に売却 をするときには、計上される損失が大きくなる。ゴルフ場の会員権も同じ類 だ。売却不能なものもある。 ●経営者たるもの、自社の資産価値がいくらくらいになるのかということにつ いて、もっと税理士の方々と意志疎通を図っておくべきだ。また、税理士の 方々も、その資産の評価に関して、直言する勇気を持って欲しい。決算のとき に、処理をすればいいというものではない。 ●流動資産のうち、売掛金や在庫、仕掛かり材料などの評価も甘いことが多 い。もし、処分したりする資産があれば、当然利益は減少する。そんな危ない 綱渡りは出来ないとばかりに、ずっと同じ相手に回収不能な売掛金を計上して いる。当然、落とさないといけないのに。 ●仮払金、仮受金などに関しても同じだ。かなり以前の仮払金がまだ計上され ていたり、役員に多額の仮払金が出たままになっていたりする。失礼ながら、 決算書をきちんと読んで、その中身が理解でき、判断できる経営者の方は、中 小企業の場合珍しいと言わざるを得ない。税理士の先生に任してある、という 回答がいかに多いことか。 ●損益のほうも、もっとここを、こう改善しないといけないとか、この費用を これくらい節減しなさいとか、きちんと説得して、実行さすことができるくら いの影響力がないと、なかなか現実は改善しない。経営者が、気分を悪くする とかの心配は、無用だと思う。 ●正しいことは正しいし、間違っていることは間違っている。その筋は、きち んと通して、その後、どうする?と考えることが大事だ。毎月の試算表が出て いるのだから、そこに問題点が、てんこ盛りされているはずだ。自動的に出力 されるコメントでは意味がない。 ●早期発見、早期治療が重要だ。介護保険も、予防介護にシフトしていく。大 きな治療をしようと思えば、かなり体力がある間にやらないと、気息奄々とし てからでは、遅すぎる。手術室に行くには、それなりの準備と段取りが要る。 急に言われても、対応できない。 ●税理士の方々が、もっと顧問先の企業の経理、財務内容に踏み込んで、もっ と直言していただけると、相当経営内容は改善されるはずだ。あと、それを、 どう実行していただくかは、経営者の覚悟と、お手伝いする我々の仕事だろ う。