□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第164回配信分2007年06月18日発行 儲けるということばの本当の意味は 〜京都の老舗経営者の金言〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●先日、弊社の監査役の税理士さんから、所属する某大学の研究室でまとめた 成果の論文を小冊子にしたのもをいただいた。成岡もライフワークにしている 「京都の老舗の経営」に関するものだ。興味深く拝見した。今回は、そこで目 にした、非常に共感をもったフレーズを紹介する。 ●京都の老舗のひとつに「麩」を製造する老舗「半兵衛麩」という企業があ る。創業の年代は忘れたが、相当に古い老舗だ。そこの社長玉置半兵衛氏の名 言が紹介されていたのが、今回のテーマだ。なかなか、含蓄の深いフレーズ なので、ぜひ、皆さんも活用ください。 ●「言う」という言葉に「人=にん偏」が付くと「信じる」という言葉にな る。人が言うから信じる。「云う」という言葉に「人=にん偏」が付くと「云 うから伝わる」に意味が変わる。「人」が「止まる」と書くと「企業」の 「企」になり、「信じる者」が集まると「儲かる」という文字になる。 ●だから、初めから儲けることを考えて事業をすると、失敗する。まず、「言 う」ことを「信じて」もらう努力をしないといけない。信じてもらわないと、 何を言っても無駄になる。信じてもらうには、信頼関係が必要だ。信頼関係の ない人間関係は、あっという間に崩壊する。 ●次に、周囲に伝わらないといけない。最近の流行り言葉では、情報の共有と いうことになるのか。しかも、単に伝えるだけではなく、その真意がきちんと 伝わらないといけない。真意を伝えるのは難しい。メールをしたら済むもので はない。そこには、心が込められていないといけない。 ●人が止まって集まると企業になる。家業と企業はどう違うのか、というのも 古くて新しい命題だ。簡単にそれを企業規模の問題と片付けるほど、問題は簡 単ではない。むしろ、そこにある価値観、人生観、経営感という、非常に大事 なものが内包されている。 ●最後に、儲けるという文字だ。信じるものが集まって、儲かる。儲けると、 儲かるは、また、意味が異なる。結果的に儲かったは正しいが、初めから儲け るを考えてスタートすると、たいていは、失敗する。まずは、事業がスタート するときの「志し」が大事だ。 ●結果的に儲かったのであって、事業の開始から儲けが計算できるビジネスは 少ない。いや、ほとんどが初年度は赤字かもしれない。初年度から利益が順調 に出るほど、世の中は甘くない。当初から大きな利益がでれば、どこか、おか しいと考えるのが妥当なのだ。 ●無論、例外もあるが、当初から儲けをカウントして出発すると、たいてい空 中分解する。お金で集まると、お金が原因で解散する。お金で来た人はお金で 離れていく。経済合理性ではない、心に訴える何かがないと、人間は信じるこ とも伝えることも出来ない。 ●人が止まり集まり企業になり、信じる人が集って結果的に儲けが出る。儲け はお客様が、市場が価値を評価してくれた結果だ。それを真摯に受け止めて、 常に自己点検を怠らない。この老舗研究の小冊子にも、当たり前のことを 当たり前にやった結果だ、というのが記述されていた。 ●成岡の老舗の研究も、一時中断していたが、また復活して次のテーマ「老舗 の事業承継」に取り掛かる予定だ。代々継続されていく老舗の見事な事業承継 の現実の仕組みを研究しようと思う。きっと、現代の事業承継に活かせるヒン トがあるはずだ。