□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第165回配信分2007年06月25日発行 問題先送りのツケは必ず来る 〜課題に真正面から向き合うと見えてくる〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●社会保険庁のドタバタで、とうとう参議院選挙まで日程が1週間延期になっ た。この延期で、また、いろいろな無駄な税金が使われると思うと、うんざり する。たかが1週間というが、既に、ほぼ決まっていた日程が延期になったの だから、この影響は大きい。 ●そもそもで考えると、天下り防止の法律や社会保険庁の改革の法律などの参 議院の審議のための延長だ。元はといえば、問題が指摘されていた課題を先送 りにしてきたツケが露呈した。分かっていたのに、手を打たなかった。知って いて、やらなかった。 ●一般の企業では、問題や課題が明確になれば、優先順位をつけて、真正面か ら取組むことが求められる。とりあえずの対策という場合もあるが、平行して 根本的な解決に当たる。医療でいう「根治治療」というやつだ。根元から原因 を断つ。 ●ばんそこうを張って、傷口を隠しても、いずれそこから腐敗が始まる。きち んと麻酔をして、切開して、うみを出し切って、縫合してしまわないと、あと になればなるほど傷口は拡がる。拡がって膿んでからでは、切開も縫合もでき ない。そのうち、切り落とすことになる。 ●問題なのは、課題が認識されていたにも関わらず、手を打たなかったこと だ。これを、先送りという。先に送っても、所詮、どこかで解決しないといけ ない課題だ。赤字を運転資金を借り増しして、一時凌ぎするのと同じだ。誰か が、どこかで決断しないといけない。 ●公務員の方には、多少申し訳ないが、自分でリスクを拾うことをしないとい う傾向が指摘される。課題と真正面から向き合わず、少し斜めに構えて、お茶 を濁すことになる。斜めに構えると、見えることも見えてこない。誤魔化して も、根本的な解決にはならない。 ●誰かがどこかで決断してやらないといけない課題なら、自ら手を挙げて取組 むことが大事だ。損だ、得だ、という枝葉末節な問題ではない。正面からぶつ かると、エネルギーも要るが、見えるものが見えてくる。課題が見えてくる と、解決の方向も見えてくる。 ●申請主義とか請求主義とか、理屈はどうであれ、問題を先送りすると、リバ ウンドのマイナスが大きい。時間を戻して、リカバーしようとすると、時間も 費用も馬鹿にならない。そして、一番大事なモティベーションが大きく低下す る。経営者の一番気をつけることだ。 ●トップが問題解決に真正面から取組んでいることは、周囲が一番よく分か る。また、得意先、顧客、協力工場、従業員、支援機関、金融機関なども、理 解するはずだ。逆に、逃げていることも、周囲からは非常によく見える。知ら ぬは社長ばかりなり、ということが生じる。 ●課題に真正面から取組むのに必要なことは、 (1)真正面から対峙する勇気 (2)何とかするんだという強い意思 (3)最後はこうありたいイメージ などを、トップがきちんと持つことが大事だ。ただ、なんとなく始まると、何 となく結果が出ないで終わることが多い。 ●瑣末なことはさておき、会社や組織の根幹に関わる重要な課題を、歴代先送 りにしていると、必ずツケがやってくる。以前は、それでも組織は何とか体裁 を保っていたかもしれないが、この環境変化の激しい時代では、市場がそれを 許さない。 ●自然淘汰の原則といえばそれまでだが、結局、製造技術にしても製品にして も、資金調達にしても経営ボードの構成にしても、抜本的にやらないと、こと は解決しない。ただ、そのやりかたのうまい、下手はあるが。運用に関して は、細心の注意を要する。 ●きちんと課題に正面から対峙し、まっとうに対策を考え、真摯に検討を行 い、粛々と実行する。そういう姿勢を、株主も、市場関係者も、従業員や社員 も、そして、みんなが見ている。生き残り、成長する組織は、必ず、このプロ セスを経ている。そうすると、ことの本質が見えてくる。