□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第168回配信分2007年07月16日発行 反省はしっかりするが後悔はしても仕方ない 〜失敗からしっかり学び今後に備える〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●失敗学ということばが一時流行し、書籍も刊行されたが、過去の成功体験は あまり昨今役には立たないが、失敗から学ぶことは多い。温故知新ということ ばもあるくらい、過去の失敗に学ぶことは重要だ。それも、謙虚な心をもって 学ばないといけない。 ●成岡は講演で、「後悔はしなくてもいいが反省はしっかりする」というフ レーズをよく使う。先日も、尼崎信用金庫の支店長研修会の講演でも、このフ レーズを引用した。後悔は、過去を悔いることなので、いくら悔やみ嘆いて も、その結果は覆らない。 ●今年のウィンブルドンから「チャレンジ制度」というのができて、選手が判 定にクレームをつけることが認められ、最新のコンピュータ画像によるリ大画 面プレイで、審判の判定をチェックすることができるようになった。これだ と、過去の判定が覆ることがある。 ●しかし、ビジネスの世界でこういうことは稀だ。いったん、ことが進み、結 果が出ると、ほとんどの結果が良いほうに覆ることは少ない。後から後から、 ネガティブな材料が露出して、状況が悪いほうに進行することは多い。好転す ることは稀だ。 ●だから、出た結果は真摯に受け止め、後悔はせずに、しっかり反省する。反 省する材料は、そこかしこに沢山あるはずだ。この反省のプロセスを疎かにす ると、次の成長がない。よく、高い月謝を払ったのだから、という言葉がある が、まさに、その通り。 ●ただ、ここで真摯に、謙虚になれる経営者の方は少ない。結果の悪さを人の せいにしたり、政治が悪い、天候が悪い、銀行が悪いと、すぐに他人のせいに する。すべては、まず、自分からの問題であると考えない。他人のせいにし、 自分の責任を転嫁するのは簡単だ。 ●結果の悪さを担当の役員の無能さに押し付ける経営者の方も、ある。しか し、その社長の奥様が、「その人を雇い、役員にしたのは、何を隠そう、あな たじゃないの」と、一刀両断に一蹴されたのには、心の中で喝采したことがあ る。ことほど左様に、自分のこととは思わない。 ●後悔しても、覆水盆に返らず。起こった結果を真摯に受け止める。まず、事 実をありのままに認識する。ここが、そもそも間違っていることが多い。そう 思いたくない気持ちは分かるが、そこを正直に受け止めないといけない。まず は、事実は何だったのかと。 ●そこから、足りなかったもの、至らなかったこと、遅かったこと、レベルが 低かったこと、成熟度の不足だったこと、・・・・・、などなどの要因をしっ かりあげてみる。これを、自分だけでやらずに、スタッフ、社員、外部の人、 いろいろな角度から、忌憚のない意見を吸い上げる。 ●反省会というと構えるので、「ふりかえり」とでも称して、なるべく多くの 人に参加してもらう。そして、自分は黙ってじっと聴いている。トップが話す と、みんな黙るから、むしろ他の部屋でモニターで聴くくらいが、ちょうどい い。決して、自分の意見を押し付けない。 ●こうすると、本音や事実が、ぞろぞろ出て、実は真実はここにあったという ことが、如実に分かることが多い。反省は、トップが一人で考えるのではな く、衆知を集めるのが「キモ」だ。自然にそういうことができる、企業体質に しておかないといけない。 ●中小企業のワンマン経営では、とかくこういう「ふりかえり」や「反省」と いうのが、トップへの批判と受け止められる。そこを、乗り越えて、違うもの が見えるレベルになると、途端に企業文化が変わってくる。あまた、多くの大 企業でも、これができなかった。 ●大企業で出来なかったから、中小企業でできないということはない。中小企 業だからこそ、できるのだと思うことだ。それは、トップの心がけ次第だ。社 長の器が中小企業のすべて、という理由は、実は、ここにある。ここを、ブ レークスルーした企業が、次代に成長する。