□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第170回配信分2007年07月30日発行 ワンストップの情報提供が重要 〜まだまだ改善の余地あり地方行政〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●先日、母親がケガと老人性の脊柱管狭窄症による脚の痛みやしびれで入院し た。手術になるかもしれないが、それまで、しばし時間がある。高血糖からく る目の病気もあり、字が読みにくい。普通、入院のお見舞いは食べ物か読み物 だが、両方ともダメなのだ。 ●よって、音で聞ける小説などを調達することとし、図書館での貸し出しを探 すこととした。オフィスの近くに、京都市の下京図書館があり、昨日、そこに 出かけて、オーディオテープの貸し出しを依頼することにした。そうしたら、 以前には、やっていたが、いまはしていないという。 ●京都市での視聴覚の貸し出しは、伏見区の醍醐図書館でやっているという。 京都以外の方には、地理的な感覚が分からないと思うが、中心部から車で30分 以上はかかる、郊外のところにある。車でも、相当な時間がかかる。いまは、 そこに集中しているという。 ●何でも、以前には、すべての地域図書館で貸し出しをしていたのだそうだ が、破損などの関係で集中管理に切り替えた。今の時代、集中管理は結構だ が、そんな遠方にまで出かけないといけないのが、納得がいかない。これほど インターネットが発達している時代に。 ●そこで仕方なく、岡崎にある京都府立図書館に行ってみた。ここは、ほぼ京 都市の中心部に近い。土曜日だったが、結構な人が入れ替わり立ち代り入って いた。しかし、結果はダメ。つまり、障害者の証明がないと、そういう貸し出 しはできないそうだ。 ●障害者の証明など、現時点であるはずもない。また、本人が来て申請しない といけないらしい。非常に現実離れした話しで呆れてしまった。利用者の視点 が全く欠けた話で、民間の企業なら、考えられない対応だ。そこで、代理人で はどうかとか、応用問題を投げてみた。 ●そうしたら、今日は担当者しかいないから、上席の判断を仰がないといけな いので、後日連絡するという回答で終わった。たった、これだけのことでも、 相当な時間とエネルギーがかかった。インターネットの利用や、サイトの利用 などという、現代的な話しは全くなかった。 ●他にも方法があったかもしれないが、京都市は京都市、京都府は京都府。そ して、別の団体はそれぞれが、それぞれに対応している。こういうことは、ど こに聞けば一気に解決してくれるかが、全く分からない。稀なケースかもしれ ないが、利用者はそれなりに困っている。 ●中小企業への対応も、我々当事者なので、特に、強く感じる。京都市、京都 府、各種財団、商工会議所、支援センター、金融機関、などなど。利用者にし てみれば、どこに何を聞きに行けばいいのか、分からない。成岡も、最初は結 構とまどった。 ●縦割り行政の弊害と言ってしまえばそれまでだが、利用者や消費者、また、 困っている人にとっては、冗談ではない。笑い事ではすまない。緊急のときに は、致命的なことになりかねない。総合案内のような、水先案内人が必要なこ とは、現実に多くある。 ●東大病院では、数年前から総合受付を設け、ベテランの看護師がここで対応 にあたっている。相談窓口の判断は重要だ。ここで間違うと、ずっと間違うこ とになるからだ。現に、単なる腹痛でたらいまわしにされた挙句、結局、盲腸 だとわかり、腹膜炎直前で助かった人もいる。 ●ワンストップの情報共有。それは、何も公的機関や地方行政が遅れているば かりではない。中小企業も、社内のワンストップ情報共有が出来ていないこと が多い。隣の人の仕事の結果が、なかなか見えるようにはできていない。そこ ができると、相乗効果が大きい。 ●自分が当事者になってみて、初めて分かることが、実は世の中にはたくさん ある。同時に、企業でも、場面場面に遭遇して、初めて分かることは多い。ど こそこに行けば、あるいは、そこの情報を見れば、ワンストップで全部のこと が分かるという体制が望ましい。 ●重なってムダをしていることが、なんと多いことか。その、ムダを取り除 き、余力の経営資源を新しいことへの投資に振り向けられれば、まだまだ成長 余力のある企業は多くある。要は、気が付いているのに、実行が伴っていない からだ。 ●利用者や消費者の立場になって、真摯に声に耳を傾ければ、いろいろな改善 点が見えてくる。たいそうに、アンケートを取らなくても、ヒアリングを行わ なくても、毎日、耳を澄ましていれば、そういう声が聞こえてくるはずだ。そ して、アクションは早いほうがいい。 ●「下手な考え、休むに似たり」だ。よし、これだと思ったら、実行に移すこ とだ。実行力の伴わない人の主張は、やらない言い訳が多い。頭のいい人ほ ど、出来ない理由を探す。まず、やってみて、それから考える。出た結果に真 実がある。