□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第174回配信分2007年08月27日発行 とにかくまず最後まで聴くことが大事 〜聴いて初めて真実が分かる〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●週に2回行っている中小企業再生支援協議会。まさに、中小企業の再生支援 のお手伝いだ。毎回、いくつかの企業が相談に来所される。まずは、とにかく 状況を把握し、問題点が何かを理解することから始まる。 ●ところが、そうは簡単には問題点が分からない。分からないとうより、会社 側の方からの説明が、正直うまくなく、状況をつかむのに時間がかかる。何が どうなって、現在こうなっているのか、そこにたどりつくのに時間が相当かか る。経過をメモで持参されることなど、まずない。 ●とにかく資金繰りに困窮している会社が多いわけだが、なぜそうなったのか を把握しないと対策など立てられるわけがない。まず、こちらの意見や考えを 述べる前に、徹底的に「聴く」ことが大切だ。途中であまり口を挟まないこと だ肝心だ。 ●しかし、核心のところにたどり着くのに時間がかかることが多い。それでも 我慢して一生懸命に「聴く」ことに集中する。「聴く」態度をこちらが見せな いと、相手もなかなか正直に話してくれない。まずは「聴く」ことと、最近は 決め込んでいる。 ●こちらが結論を急がずに、相手のペースで「聴く」態度を見せると、徐々に 核心に近づいていく。ああ、そういうことか、とやっと分かって、途中で理解 納得できることが多い。最初から、いきなり、ずばりの問題点や課題が明確に はならない。 ●最初から分かるなら、失礼ながら、再生協議会に来られる前に対策が立てら れたのかもしれない。「聴く」ことを続けていると、だんだん問題点の輪郭が 見えてきて、課題も明確になってくる。「聴く」という字は「耳」に「心」が つているから、「心」の「耳」を動かす。 ●まずは最後まで、できる限り「聴き」切る。それから、考えることにしてい る。補足の質問を挟んだり、簡単な感想を述べたり、次への話しの展開を促し たりはするが、こちらからの意見は挟まない。そして、ご本人からの課題や問 題点の認識を「聴く」。 ●「聞く」という文字は「門」に「耳」がついている。「門」の前に立ってい たら、何かが「聞こえてくる」ということだ。意思を持って積極的に「聴いて いる」のではない。自然に聞こえてくるというイメージだ。意思がない行為は 結果につながらない。なりゆきになる。 ●過去の非常に業績が好調な時代のお話が延々と続くこともあるが、それはき ちんと我慢して「聴く」。そこにも、何か対策のヒントがあるはずだ。過去の 成功体験で、次代の飯は食えないというが、そういうことが、頭で理解できて いても、実際の行動では逆のことをする。 ●上司と部下の会話でも、上司がばたばた忙しいと、どうしても途中で結論を 先に質問したりする。「それで?」で促し、「結論」を急がす。どうしても、 せっかちになる。「途中経過はいいから、それでどうするんだ?」というよう な会話が日常当然のようになる。 ●そのプロセスや、経過が飛んでしまう。そこに真実があるのに、現場に事実 が転がっているのに、それを見つめず、資料と推測のデータで議論してしま う。怖い傾向に陥る。そして、当事者はそれに気がつかない。それが続くと、 かなりずれた方向に結論が出る。 ●まず、「聴く」ことが大事だ。忙しいとか、時間がないとかで、先を急がな い。初診のときの医者の問診と同じだ。そして、聴診器でくまなく点検する。 日常生活の詳細を「聴く」。なぜ、そういう生活習慣になっているのかを、た どっていく。そこに病気の真の原因がある。 ●表面的な理由や事情に対する対策を立てても、それは対症療法にしかならな い。根治治療をするには、徹底的に「聴く」ことが大切だ。技術的な治療は、 それからだ。病気は「気」の「病い」なのだ。まず、その気になってもらう。 それには、徹底的に「聴く」ことだ。