□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第179回配信分2007年09月30日発行 トラブルのあとの二次災害を起こさない 〜被害の拡大を防ぎ次の発展につなげる〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●ビジネスや商売をしていると、計画通りいかなかったり、想定外のアクシデ ントが起こったり、トラブルやクレームが発生することが、ままある。ないこ とのほうがおかしくて、ときとすると、そういうことの連続になる。あっては いけないトラブルだが、避けられないものもある。 ●意図的にしたものではなく、人間のやることだから、過失もある。すべてを 完璧にはできないし、コストもかかる。大事なことはトラブルや災害のあとの 「二次災害」を起こさないことだ。「二次災害」とは、まさに一次の次の二次 の災害で、えてして災害が拡大する。被害が大きくなる。 ●先日も、弊社の近くで夜に民家の火災が発生した。街中の細い路地の民家の 火事だったが、老人が1名亡くなった。さらに、不幸なことに消火にあたった 消防士の方が数名負傷した。1名は重体と伝えられている。消火作業中に2階が 崩れ落ちて、その下敷きになったという。 ●消防のプロの集まりだから、この火災の状況なら古い民家だから、2階が崩 れ落ちることも想定できたのではないか。これが典型的な二次災害だ。冬山の 遭難救助、海の事故の海難救助でも同様のことが起こる確率が高い。一次の災 害を助けようとして、二次の災害が発生する。 ●ビジネスにトラブルはつきものだが、二次災害は食い止めないといけない。 二次災害が発生すると、おおむね一次の災害より拡大する。クレームの対応を 誤ると、拡大発展することが多い。まず、早く対応しなかったために二次災害 に発展することがある。 ●何はともあれ、まずアクションを取る。内容が把握できてから、と考えるの も頷けるが、まず、一次対応をすべきだ。早いに越したことはない。まず、大 雑把に状況を把握し、すぐに何をするか決める。危機管理ができている組織は 対応が早いが、中小企業でそんなことがきちんとできているところは少ない。 ●早く、そして、誠心誠意対応する。よく、原因を探すことに一生懸命になっ たり、誰が、どこが悪かったかを探したり、スケープゴード(羊の生贄)を探 したり、本筋でないところに時間と労力をかける。形式に囚われ、本来するべ きことが出きていない。 ●費用の弁済や損害賠償をどうするかという後始末の方に注意が払われ、肝心 の顧客の迷惑にどう対応するのかという視点が抜けている。二次災害が発生す ると顧客の迷惑や怒りが拡大する。一次災害で食い止められる被害が、エスカ レートする。 ●場合によっては企業の致命傷になりかねない。火に油を注ぐという最悪の事 態になる。先日の安倍政権の崩壊もそうだ。参議院選挙で大敗したときに責任 をきちんととっていれば、内閣を放り出すこともなかった。突然の辞任で傷口 を広げた。 ●赤字の続く企業で再生の対応を間違い崩壊を早める。製品のクレームの対応 を間違い、企業イメージが徹底的に地に落ちる。社員の退職の対応を間違え、 既存の社員のモティベーションが一気に下がる。 考えてみれば、ちょっとしたことが出来なかったためということが多い。 ●早くアクションを取っていたり、すぐに責任者に連絡しなかったり、まあ、 まだいいかと、判断を間違ったり。色々な企業や組織の崩壊を見ていると、と ても他人事とは思えないが、いざ、自分の足元で起こると、見えないものだ。 二次災害を起こさないためには、対応の方向性を決めておくことだ。 ●まずは、「徹底的に顧客の立場を尊重し優先する」というような原理原則を 決めておく。某カード会社では、カード利用者からの引き落とし間違いクレー ムに対しては、まず理由の如何にかかわらず返金するという。先に返金してか ら、現象や原因を調べる。 ●時間がかかるから、まず、申し出のあったトラブルに先に対応する。対応し てから調査する。利用者の勘違い、思い違いもあるというが、先に、まずお金 を返金する。たいてい、顧客は驚くらしい。返金が優先するから印象は極めて いい。 ●そして利用者の間違いの場合は、利用者が速やかに対応するという。ほとん どクレームは起こらない。本来大きなクレームになる引き落としミスが顧客満 足につながる。このビジネスモデルが信用を支える大きなポイントだそうだ。