□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第198回配信分2008年02月11日発行 低炭素化社会への突入待ったなし 〜真剣に取り組まないといけない環境対策〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●今まで、手を抜いてきたとは言わないが、それほど真剣に二酸化炭素排出防 止に取り組んできたと、胸を張って自慢できる中小企業は、そう多くはないの ではないだろうか。ISOやKESの取得はしてはいるが、日常の事業活動に、本当 に真剣に二酸化炭素の排出防止に取り組んできたかと聞かれると、果たしてど うだろうか。 ●しかし、本当にひとごとではなくなってきた。特に、欧州での規制が厳しく なり、ヨーロッパに製品を輸出している企業では、喫緊の課題になってきてい る。対応する、外部の中小企業でも、その真剣な取り組みが求められている。 とても、ほっておける状態ではなくなってきた。コストも、時間も、人でもか かる。 ●振り返って、筆者が大学を卒業して就職した昭和49年、1974年はオイル ショックの真っ只中だった。よく、講演で、このくだりから入るが、オイル ショックといって、うなずいていただくのは、50歳代以上の方々だ。40歳以下 の若い方は、ほとんどぴんと来ない。ガソリンが4倍に値上がりし、休日のガ ソリンスタンドは休業になった。 ●ネオンサインを深夜消す、TVの番組は23時以降中止。世の中、省エネ、省エ ネの大合唱で、明けても暮れても低エネルギー社会への突入だった。技術屋の 我々が取り組んだテーマも、省エネ、工程合理化、省資源だった。それが、当 然と言えば当然の世の中だった。そこで、競争に勝たないと、企業が存続しな かった。 ●30%以上の省エネルギーが求められ、簡単な改善レベルでは難しい。抜本的 な工程の変更や、設計段階からの改革、原料転換、バッチ生産から連続生産へ の製造技術の開発などが、主要なテーマだった。バッチで、加熱したり冷却し たりは、エネルギーのムダ。24時間365日連続で生産できる技術開発が求めら れた。 ●人間とは大したもので、窮すれば通じるとはよく言ったもので、時間は多少 かかったが、何とかするものだ。もちろん、企業の技術陣の総力を挙げて取り 組んだ結果だが。かくて、工程は大幅に合理化され、人員は削減でき、コスト は劇的に下がった。品質の問題も、当初、多少あったと記憶しているが、何と か克服した。 ●ただ、二酸化炭素の排出量が多い、少ないというまでの議論はなかった。む しろ、日本の電力などのエネルギー単価が異常に高く、動力原単位(製品当た りの単位使用エネルギー量)をいかに削減するかがポイントだった。結果的に は同じことだが、製品のコスト削減が主体だった。地球温暖化対策などの言葉 は、なかった。 ●これからは、真剣に中小企業でも低炭素化社会に対応することが、求められ る。お題目ではない、真剣な対応だ。石油化学燃料をばんばん使って、企業活 動を展開している企業は、真剣に考えないといけない。二酸化炭素の問題と、 油の枯渇の問題だ。よって、自然のエネルギーをいかにうまく利用するかがポ イントになる。 ●中小企業や商店街の商店だから、関係ないというわけにはいかない。KESを 取得していないから、全く事業活動ができないとは思えないが、その企業の考 え方が問われる。あの、天下のトヨタ自動車でも危機感がある。家庭で充電で きる電気自動車の開発に、真剣に取り組んでいる。近いうちに、市場に出てく る。 ●新築の物件が、多くオール電化になり、ガスの利用が減少する。太陽光発電 事業への進出企業が増える。風力発電、コンポスト事業など、まだ大きなビジ ネスになってないが、これから飛躍する可能性が大きい。逆に、逆風の事業も ある。ガソリンや燃料を大量に使用するビジネス、電気を多く消費する製造業 などは、大変だ。 ●タクシー業界などは、今後、ますます逆風か?お年よりが増加するが、外出 機会は減少する。石油燃料のコストは高止まり。規制緩和で激しい価格競争。 サービスで差別化するにも、難しい。付加価値のつけようがない。果たして、 21世紀後半に、どう生き残るのか。今日、明日が無事でも、未来の絵が描けな い。 ●ガス器具販売、湯沸かし器などの事業も、今後要注意だ。お年寄りが増え て、ガスの危険性が指摘されている。そこまで大きなことでなくても、身近に 影響はどんどん出てきている。インターネットの普及で、物流も今後劇的に変 わる可能性が高い。コンビニ事業も、あれだけの物流を維持できるか。 ●大きな箱物を作って、多くの人間を集客し、そこに大量のエネルギーを消費 するのが、果たして、今後続くのか。郊外に大きなショッピングセンターを建 設し、広い駐車場に多くの車を集める。燃料を多く消費し、季節外れの野菜や 果物を、高コストで生産する。果たして、続くか。不透明な時代になった。 ●こういう環境になると、価値観が大きく変化する可能性がある。昨日までの いいことが、今後そうかとは限らない。この風にまともに抗うと、非常に痛い 目に会う可能性が高い。遠くで吹いている風が、意外と身近で吹き出した感じ がする。台風は上陸前に速度を速めることが多い。気がついたら、大変になっ ている。 ●経営者の方々は、この風を感じる肌感覚が重要だ。業界の集まりで、嘆いた り、ゴルフの話しに興じている場合ではない。近いうちにお尻に火がついてく る。果たして、自分の企業は、この風にどう対処するのか。社員が考えるの も、さることながら、トップの大きな先見性が要求される。果てして、あなた の企業は、どうするのか。 ●この対応を間違うと、将来大きなリスクを抱えることになる。今日、明日は いいとしても、5年後、10年後は果たして大丈夫だろうか。後継者問題とセッ トで考えないといけない、大きな課題だ。広く世間を見る眼を養うことが大事 だ。真剣に悩むところには、何らかの解決のヒントが見つかるはずだ。