□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第199回配信分2008年02月18日発行 オバマ旋風に見るアメリカの変化力 〜あの国の変化へのエネルギーは立派〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●あれよあれよという間に、民主党のトップ候補に躍り出たオバマ氏。少し前 までは、ほとんど知名度がなかったのに、いまや時の人になった。これほど急 激な躍進を誰が想像できただろうか。クリントン女史が涙を流す場面すらある くらい、その勢いは止まらない。いや、止めることはできない。それくらいの エネルギーがある。 ●それを支えているのは、ほとんどがボランティアの若い人達だ。自主的に活 動に加わり、インターネットを駆使し、携帯電話を使って知人友人にオバマ支 持を訴える活動をしている。彼のホームページへのアクセス数は、ものすごい 数だそうだ。新しい形の選挙活動だ。まさに、これが民主主義の原点なのだろ う。 ●キャッチフレーズは、YES WE CAN。非常にシンプルで分かりやすい。もと もと、演説に非常に長けた能力の持ち主だったそうだが、ここに来て、若者の 心をその演説が捉えて、離さない。何か、変化の予兆を感じさせる、その演説 に多くの若者が感銘を受け、手弁当で選挙活動に加わった。 ●アメリカを何とかして変化させたい。変えたい。その一心で全米から若者が 選挙活動に参加し、そしてその輪は、どんどん拡大しているという。自己増殖 を繰り返しているという。なんと素晴らしいことではないか。今の日本で考え られるだろうか。成人年齢を20歳から18歳に引き下げることが議論されてい るという中で。 ●今の若者、特に学生諸君はこのアメリカの活動を見て、何を感じるだろう か。何も感じないなら、失格だ。自分たちの行動が、この停滞したアメリカ社 会を変える起爆剤になると信じて、彼らは行動している。何とかアメリカを変 えたい。9.11以来、アメリカはアラブと泥沼の戦争状態に陥った。サブプライ ム問題も顕在化した。 ●世界の盟主ではなくなったアメリカでは、ずるずると後退するか、いや、こ こで踏ん張って頑張るか。正念場だ。国家の危機には、若者が立ち上がる。自 主的に立ち上がるところが、非常にアメリカという国は素晴らしい。自分の意 見も明確だ。うじうじしていない。言うべきことははっきり言う。 ●もし、このままオバマ氏が当選したら、確かにアメリカは変わる予感がす る。いまは、イラク戦争、サブプライムなどで振りまわされてはいるが、そも そも底力のある国だ。一気にケネディのときのように、改革に走るかもしれな い。改善ではなくて改革だから、誰かが過去を振り切って、思い切って前進し ないといけない。 ●そういう度胸というか、勇気というか、その風土がアメリカには感じられ る。残念ながら、日本にはそれがない。農業国であり、集団的な意思決定に慣 れ、お上ごもっともという国民性が災いして、個人の意見や主張を堂々と展開 する国民性が、もとから、ない。だから、中途半端であり、存在感がない。福 田さんがその典型だ。 ●決めないことは罪であり、前に進まないことは、退歩なのだ。世の中は、ど んどん変わる。いいか悪いかは別にして、どんどん変わる。だから、アメリカ もどんどん変わる。もし、オバマ氏が大統領になったら、2世代くらい飛ぶこ とになる。アメリカは、平気でそういう改革をやってのける。そのエネルギー はすごい。 ●振り返って、日本ではどうしてそういうことが出来ないか。ゴーン社長時代 のニッサンくらいではないか。保守派、守旧派、アンチ改革派。表現はどうで もいいが、どんな組織にも、保守的な人は存在する。しかし、社長が、経営者 が、トップが保守的では、組織はもっと保守的になる。いや、逆向けに走り出 すことさえある。 ●この悪弊を絶つには、トップが替わるしかない。もし、オバマ氏が大統領に なったら、アメリカは確実に変わるだろう。そうなると、アメリカ株が上が る。相対的に、日本は何をやっているんだという、批判の表に立って、バッシ ングが行われる。そうなってからでは、遅い。日本株が下がっているのは、政 治不在不況なのだ。 ●期待と同じレベルのアウトプットでは、もはや市場は評価しない。期待値以 上の、驚くべき成果を挙げて、初めて認知される。感動を与えることが大事 だ。おそらく、有権者の多くは、最後は雪崩を打って、オバマ氏擁立に動くだ ろう。もう、世間の流れは止められない。これが、いい刺激になって、今の日 本の政治が変わることを期待したい。 ●少なくとも、他人はどうあれ、あなたの会社は変わることを期待したい。世 の中のうねりについていかないと、どこかで置いてきぼりを食う。ふるい落と される。のんびりしていて、こちらが止まって、相手が進むと、その差が広が るばかりだ。気がついたら、もう背中が見えない。そうならない前に、とにか く、一歩を踏み出す。