□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第208回配信分2008年04月21日発行 外の人材から外の風を入れる 〜内部の人間だけで固まってはいけない〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ●4年前に会社を設立したときは、まだ旧会社法だったので、発起人は1名でも よかったが、取締役は3名必要だった。設立の当初から、身内は絶対役員に入 れないと心に決めていた。それは、筆者の過去の歴史から来る教訓なのだが、 とにかく、冷静に外から組織を見ていただける方に応援をいただきたいと思っ ていた。 ●運良く、数名の方のご支援をいただき、キックオフした。申し訳ないこと に、弊社の外部役員の方は、全員無報酬でやっていただいている。それでも、 年間に数回の役員会は、きちんと開催するし、きちんとした活動報告や財務状 況の開示もしている。監査役は、弊社の顧問税理士の方にやっていただいてい る。税理士報酬はちゃんと払っている。 ●役員を外部の方に依頼したのは、わけがある。以前の同族会社では、同族間 の意思疎通がうまくいかなかった。原因はいろいろとあったが、反省するとこ ろが多い。意外と身内の間で、経営に関する真摯な議論ができなかった。こち ら側にも問題があったが、何かに付け、基本的な上下関係は引きずるから、障 害になることが多かった。 ●なので、会社を設立したときから、外部の方にお願いしようと決めていた。 現在は、お一人は成岡の先輩の企業経営者の方。お一人は診断士の友人で某金 融機関を昨年退職された方。退職されて、すぐにお願いした。そして、監査役 は税理士の方。毎回、無報酬で役員会に参加いただいている。内内で、固まる のを防ぐには、これくらいやらないといけない。 ●どうしても、設立の際には、身内でスタートせざるを得ない場合も多い。し かし、軌道に乗ってきたら、所有と経営を分離したり、本当にマネジメントを 担える人材で経営しないといけない。中小企業と言っても、数名から数百人の 社員を抱え、その家族を加えると、責任の範囲は膨大だ。取引先もあるし、顧 客も少なからず存在する。 ●経営トップの責任は重大だが、それを支えるスタッフも充実しておかねばな らない。監督が一人で野球できるわけではないので、チームにして効率よく仕 事ができる内部環境と外部環境を整えないといけない。外部にも、それなりに 知恵者を集めておく。いや、常時必要ないが、ここというときに、効果的に活 動できる体制は必要だ。 ●会議も、社内の人間だけでやるとおかしくなることがある。どんどん、内向 きな内容になってしまい、ことの本質を見誤る。結論は、内部組織の論理に なって、社内の部分最適を満足する解答になる。顧客のことや市場のことは、 いつしか忘れられている。そして、できないことの言い訳を、全員が納得して 解散する。 ●そして、経営トップが気がついて、結論を修正するが、参加者のマインド は、そう簡単には変わらない。ここに、外部の人間がいて、「いやいや、市場 やお客さんはそんなことは望んでいない」と、一言あれば、全然議論の方向は 違ったはずなのに。身内で議論ばかりすると、こういう方向にベクトルがずれ ていく。 ●現実に、こういう状況が意外に多いのは、実は学校と医療機関だ。関係者が いらっしゃったら申し訳ないが、閉鎖的で外部に開放された組織になっていな いことが多い。外からの風を入れる風土が、まだまだ根付かないのだろうか。 以前に比較したら、随分ましになったと聞くが、それでも我々民間人の感覚か らいくと、結構、まだ、ずれている。 ●アメリカも、最近は病んでいるが、基本的に強いのは、民族が、入り混じっ てハイブリッドだからだ。ナショナリティーが多様なのだ。いろいろな人が、 自由に議論し、主張する。なにも、モンスターペアレントのように、学校に大 きな声で文句を言う人たちではない。堂々と、自分の意見を主張し、かつ、相 手の主張も、きちんと聞く。 ●自分だけのロジックでことを運ばない。そういう考えもあるんだと、まず、 認める。多少、思い込みが強い側面もあるだろうが、まずは外部の風をいった ん受け止める。初めから、先入観でものごとを見ていない。しかし、企業の経 営になってくると、わかっているが、それは難しい。世の中の風を無視して は、「自社のたこ」はあがらないはずなのだが。 ●社内で会議ばかりせず、外にどんどん目をむける。そして、外部の意見をど んどん聴いてみる。最終的に、それを受け入れるか、どうかは、それはトップ の判断でいい。しかし、結論を出す前に、何らかのマーケティングは必要だ。 トップの独断と偏見で、ことが進むのが、実は一番怖い。初めの一歩を踏み出 す方向を間違えないことだ。