□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第219回配信分2008年07月07日発行 あなたの会社は「未病」状態ではないか? 〜東洋医学で言う病気になりかけの危険信号〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●東洋医学では、病気ではないが病気になりかけ、なりそうな状態を「未病」 状態と定義している。以前に、ときの首相にガンが発見されたときに、当時の 医者が「前ガン状態」という非常にうまい表現をしたのを覚えている。まさ に、前病気状態を指して「未病」状態という。このまま、ほっておいたら間違 いなく病気になるのだ。 ●このときに大事なことは、「未病」状態であることに「気がつく」こと。本 人が気がつけば、一番いいのだが必ずしもそうとは限らない。普通は、多少の 自覚症状があっても、ほっておく。そのうちに治るだろうと。手前味噌だが、 成岡は毎朝ランニングしているから、少しの異変でも、比較的早く気がつく。 あれ、なんかおかしいな、と。 ●この「あれ、なんかおかしいな」と気づくのが非常に重要なのだ。もちろ ん、本人が気がつかない場合も多いが、医者から言われて初めて、そうなんだ と思うこともある。気がつかされることも多い。さて、問題はその後だ。すぐ に、対応する人と、まあ、しばらく様子を見ようという人と、大丈夫、大丈夫 と眼をつぶる人とに別れる。 <一番大事なのは「気」> ●「未病」状態が長く続くと、間違いなく次は本当の病気状態になる。もは や、何らかの症状や兆候は出ているのだから。しかし、なかなか人間は、組織 は、昨日までやってきたことを簡単に今日から改めようとしない。いや、改め るには非常にエネルギーがかかることも、多い。また、変えようと思うと、大 きな摩擦や軋轢を生むことが多い。 ●しかし、確実に「未病」状態は進行する。東洋医学でのポイントは、「気」 「血」「水」なのだ。この3つが大きなポイントだという。まず、誰もが分か る「気」。「気」が充実したり、いい意味の緊張状態であったり、活力がない と、おおむねこの「未病」状態は悪いほうに進行する。東洋医学で一番大事な のは、この「気」なのだ。「気」があれば、局面は転換する。 ●マネジメント的に言うと、モティベーションになるだろうか。言葉の遊びは ともかく、「血」はキャッシュフローであり、「水」は商品やサービスであろ う。この3つがうまくかみ合わないと、すぐに「未病」状態から本物の病気に 進行する。その時間は、限りなく早い。気がついたときには、遅いということ も多い。先手必勝とは、古くからのマネジメントの要諦だ。 <分かっていてもできないのか分かっていないのか> ●一番困るのは、気がついていないこと。「未病」状態にあるにもかかわら ず、相変わらずの脳天気か、無関心か、自分には関係ないと思っているか。し かし、おおよそ世の中のできごとで、自分のビジネスと全く関係ないことは、 実はひとつも、ない。すべてが、直接間接に関わらず、何らかの影響を及ぼ す。そう、自覚しておかないといけない。 ●気がついていない人には、「気づき」を与えてさしあげないといけないのだ が、これがなかなか大変だ。このままでは、まずいですよ、こうなる可能性が 大きいですよと、口を酸っぱくして言っても、なかなか伝わらない。いや、伝 わっても、どうしても現実から眼を逸らしたくなる。こうすれば、何とかなり ますよと、分かっていても、実行には障害が大きい。 ●分かっていて、できないのは、まだ対処の方法がある。できる方法を考えれ ばいいのだから。問題は、分かっていないケースだ。これは、相当に時間もか かるし、費用もかかる。自覚を持ってもらうには、かなりなエネルギーが要 る。途中で挫折することも、ままある。周囲が見放すこともあるし、支援が得 られない場合も、多い。 <まずは「未病」状態に気がつくこと> ●五体満足で完全に健康な人間はいない。どこかに何かの痛みや不具合がある ものだ。それが病気の前兆か、一過性の現象なのかを、きちんと理解し、納得 し、対策を考え、実行に移すことが大事だ。一番ハードルが高いのは、実行に 移すときだ。ことは、そう簡単ではない。しかし、一度気がついた「未病」状 態は、ほっておいてはいけない。 ●「未病」状態であることに警鐘を鳴らしてくれる周囲の声をきちんと聴くこ とが大事だ。金融機関、税理士、その他社内の役員や幹部、または、それこそ 一般社員。いや、掃除のおばさんが一番会社の欠点をご存知という場合も、あ る。まずは、そうかなという無色透明な気持ちになって、耳を傾ける。「聴 く」という字には、「心」がある。 ●近代医学で言えば、予防医学に該当するだろう。お金をかけて検査をしま くって、ようやく診断が出ても、近代医学では病気でなければ病名がつかな い。しかし、東洋医学では「未病」状態は、立派な病気の入り口であり、一歩 手前なのだ。そこから、勇気を持って変化に対応する企業と、眼をつぶって通 りすぎた企業では、実は、すぐに結果に差がつくという、現在は恐ろしい世界 になっている。