□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第223回配信分2008年08月04日発行 優秀な社員がいないと嘆く社長は落第 〜自分以上の優秀な社員を集めるのも能力〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●いまでもそうだと思うが、かの有名なリクルートという会社の採用の方針 は、極めて明確だった。それは、採用担当者は、必ず自分以上に優秀な人材を 採用してくるという、基本方針だった。一人一人の採用担当者が、このことを 徹底すれば、必然的に組織は優秀な人材の塊になる。それを、創業以来 徹底してやったのがリクルートという会社だった。 ●いまでも、ベンチャー企業の経営者や有名な創業者でリクルート出身の方々 は多い。それは、この採用のポリシーが一貫して流れているからなのだろう。 言うのは簡単だが、これを徹底して実行し、継続することは大変だ。しかし、 その大変なことを、大変とも思わずにやってしまうところに、この会社のすご いところがある。 ●優秀という定義が、どういう定義に則っているのかは定かではない。だか ら、厳密に言えばいろいろとあるだろう。しかし、そんな枝葉末節なことよ り、採用の方針が明確であることが、素晴らしい。特に、こういうサービス業 であったり、付加価値の高いアウトプットを求められる業種業界では、人材の レベルで、その会社の評価が決まる。 <いい人材がなぜ採用できないのか> ●中小企業の人材の採用の難しさは、筆者もつくづく味わった。昭和60年以 降、当時在籍していた出版社で本格的に、初めて新卒採用にのりだした。それ まで適当に新卒採用は気が向いたように、ぽつりぽつりとしていたが、定期的 に本格的にやりだしたのは、その頃からだ。初めは、新卒採用もどうしたらい いか分からず、右往左往していた。 ●名前の通っていない中小企業で、優秀な新卒採用を行うなどは、本当に至難 の業だ。だれも社名を知らない。広報もしたことがない。当時は、もちろんイ ンターネットなどなかったから、会社のホームページがあろうはずもない。だ から、紙媒体でPRするしかなかった。名前が知られていない企業の広報活動は 大変だ。 ●その過程で聞いた話しが、上記のリクルートの採用の方針だった。非常に強 烈な印象を受けたことを覚えている。そうか、やはり中小企業の人材採用は トップが必死でやらないといけない大命題だと感じた。そして、自分以上に優 秀な若手をどう採用してくるかが、企業の将来の命運を担うんだということ も、実感として理解できた。 <いまのレベル以上に優秀な人材を探し求める> ●優秀な人材が来てくれないと嘆いていても始まらない。トップ自らが、優秀 な人材を捜し求めて、必死にならないといけない。少なくとも、今のレベル以 上の人材を採用するには、どうすればいいかを必死になって考えないといけな い。優秀な人を採用しても、すぐに辞めていくと嘆く前に、なぜ退職するのか を徹底的に反省しないといけない。 ●優秀な人ほど先が見えるからだという理由をあげる方が多いが、それでは将 来を見えるようにしているかといえば、そうでもない。ならば、必然的にその 繰り返しになる。まず、将来が見えるように、してあげることが先決だ。優秀 な人材を採用し、定着してもらうには、現在の会社や組織のほころびを、ひと つひとつ繕っていかないといけない。 ●それを考えると、会社が組織がどんどん強くなる。優秀な人材が、やる気を もってその力を発揮できるようにする土壌を育てていけば、次第に会社は実力 をつけてくる。どんな企業も、最初は中小企業だったのだ。数名の社員から、 数万人の社員に急になったわけではない。トップ自らが、これはと思った人材 を丁寧に育ててきた。 <ローマは一日にしてならず> ●最近は、M&Aという他社を買収したりして大きくなる企業も多いが、基本は 優秀な人材をどうつなぎとめ、活性化し、結果を出してくれるように、するか だ。それは、トップの大きな仕事だ。とりわけ、人材の採用に熱心でないとい けない。他人任せにしておいて、面接もしなければ、採用の現場にも立ち会わ ない。入社後の教育も、自分でやらない。 ●人材を見つけてくる、探してくるもの、トップの最大の使命だ。ハローワー クに募集の案内を出しただけで、優秀な人材が集まってくるとも思えない。現 在の社員の周辺にも、優秀な人がいるかもしれない。とにかく、いつも優秀な 人がいたら、ぜひ紹介してくれとか、どこかにそんな人物がいないかとか、誰 か知らないかとか、いつも一生懸命発信する。 ●嘆いていても始まらない。嘆いても、何も状況は変わらない。優秀な人材を 採用するのは、自分のミッションと自覚することから、ことは始まる。現在、 社会で認知されている企業は、すべて始まりはそこだった。一気に、どっと優 秀な社員が増えたわけではない。一人、一人と、こつこつ積み重ねてきた優秀 な人材が、現在の姿になっただけだ。手を抜いては、いけない。