□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第224回配信分2008年08月11日発行 継続的に経営を改革できる仕組みを作る 〜経営は4年に1回の五輪のようにはいかない〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●4年に1回の五輪に照準を合わせ、選手は必死の練習を行い、精神力を高 め、肉体をぎりぎりまで絞り込む。サッカーや野球のプロの選手ならいざ知ら ず、原則はそのほとんどがアマチュアの大会である五輪に、それだけ情熱と精 神力を集中できることも、本当に素晴らしい。優勝しても、特にお金が出るわ けでもないのに、名誉だけで努力する。 ●4年に1回という、この微妙な間隔も素晴らしい。2年ごとでは値打ちがな いし、かといって10年に1回では、本当にチャンスが少ない。この間隔がある から、また切替えて次を目指して頑張ろうと思うのだろう。翻って、経営はそ うはいかない。毎日、毎週、毎月、毎年が勝負の連続なのだ。一瞬たりとも、 息が抜けないこの緊張感を持続するのが大変だ。 ●経営者も人の子だから、ときには弛緩したり、息抜きしたり、休息が必要な のかもしれない。しかし、昨今の社会環境はそれを平気で許してくれるほど甘 くない。原油高、食料の高騰、地球温暖化対策、少子高齢化、米国経済の低 迷、中国の社会不安など、挙げればきりがない。少しでも、気を抜けば、あっ という間に、置いてきぼりをくらいかねない。 <仕組みを作ることが大事> ●じゃあ、毎日毎日ぴんぴんに張り詰めて経営しているかというと、それはと てもメンタルが持たない。実際の経営にはリズムが必要で、野球の攻守交替で はないが、緊張と弛緩を繰り返すことが、現実だ。攻めと守りを明確に区別し て、ここは進む、ここは止まるというジャッジを適切に行う。いつもいつも、 前ばかり向いての、行け行けどんどんでは、ダメだ。 ●そのためには、きちんと定期的に業績をチェックし、いろいろな部署から現 場の情報を吸い上げ、課題を抽出し、検討し、改善を図り、そして業績の向上 につなげる、その仕組みづくりが重要だ。この仕組みをきちんと回転させ、運 営していくことこそが、経営を正常に運転していくことに他ならない。毎度毎 度思い付きでやってはいけない。 ●筆者の関わっている会社で、役員会(幹部会議と思えばいいが)を定期的に 開くことにしながら、なかなか実行できない会社がある。第2水曜日の午後と 決めていても、何かの都合で延期になったり、中止になったり、先送りになっ たりする。幹部の人数もそんなに多くないから、若干が欠けただけでも、あま り意味のない会議になってしまう。 <仕組みを作り継続的に運用する> ●この会社で経営状態を定期的に客観的にチェックするのは、実はこの機会し かない。社長と幹部が、きちんと向き合って正論を堂々と議論できるのは、こ の機会しかない。幹部が、会社の状況を数字で把握できるのは、実はこの会議 しかない。ところが、これがきちんと開催されない。何かの都合で、よく開催 が流れる。 ●そもそも、継続的にきちんと運営する意思が感じられない。意思がないと、 経営は形だけを作って、魂を入れないとの同じだ。経営とは、経営者の意思そ のものだから、会社の業績にも、早晩その影響は如実に現れる。数字のぶれが 大きく、修正には時間がかかる。毎月1回か2回、定期的に集まろうと思え ば、できないはずはない。それが、なぜかできない。 ●となると、そもそも、この会議の意義と目的から明確にしないといけない。 意思が感じられないということは、意味をないしていないといことだ。少なく とも、経営者がそう思っている限り、この状態は変わらない。会議をしてもい かほどのものかという議論もあるかもしれないが、そこに意味と価値をつける のは、経営者の役目だ。 <4年に1回の業績評価ではない> ●経営は4年に1回金メダルを取れば、それでOKというものではない。毎試 合、毎試合、点差はともかく、勝ちに行かないと行けないし、勝たねばならな い。税金を使って、五輪に行って、予選敗退ですみませんでは済まない。会社 の存続と従業員の生活がかかっている。なので、継続的に運営できる仕組みを 作ることだ。 ●あまり現状のレベルから飛び上がったことを目指しても、それは長続きしな い。だから、目先のできるレベルから出発することが大事だ。大事なことは、 継続できる内容、継続できる仕組み、そして結果を現場に反映さすことだ。立 派な議事録ができても、何の意味もない。やって、結果を出して、なんぼの世 界だ。親善試合や練習試合ではない。真剣勝負の試合なのだ。 ●敗者復活戦もなくはないが、ゴールのないマラソンを走っているようなもの だ。だから、体調管理、水分補給、ペース配分、日頃の練習メニューなどに、 万全の準備と配慮をすべきだ。企業の使命は「ゴーイングコンサーン」=継続 的な経営の維持と発展だ。毎回の五輪に毎回出場して、毎回それなりの結果を 残すことだ。