□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第232回配信分2008年10月06日発行 花が咲かないときは「根」を張る 厳しい環境のときにこそ体質の改善を □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●当面、暖かい春が望めないくらいの厳しい環境になるのだろうか。あの、天 下のトヨタでさえも、ここしばらくは我慢の期間だと判断している。それくら い、このアメリカ発金融不安の影響は大きい。昔は、アメリカがくしゃみをす れば、日本が風邪を引くと言ったものだ。まさに、輸出リードの経済成長で維 持されていた日本経済は、大変な状況だ。 ●あまり、暗い話しや後ろ向きのことは言いたくはないが、現実がそうであれ ば、それから眼を逸らすわけにはいかない。現実は事実として、厳粛に受け止 めないといけない。なにせ、企業経営は外部環境との整合性にあるから。一人 頑張ろうとしても、竹やりで原爆に立ち向かう太平洋戦争の日本軍みたいなも のだ。ここは冷静に考える。 ●この、金融不安から来る経済の混乱はいつまで続くのか。おおよそ、2年く らいは覚悟しておいたほうが、いい。3年後に多少上昇に転じ、5年後くらい に何とか変わるかもしれない。それくらい、深刻だと肝に銘じたほうがいい。 いつかは、誰かが、何とかしてくれる、ということは、有り得ない。それでな くても、ばたばた周囲で倒れるところが出ている。 <当面は我慢が大事> ●この数年は、我慢するか、周囲が悪いときに、打って出るか、決めないとい けない。本来の経営の常道からすると、外部環境が悪いときほど、前向き。外 部環境が、いいときほど、危機感。これが、正論だ。前向きの解釈を、それぞ れの企業で、どう判断するかだ。何も、どんどんお金を使うことだけが、前向 きではない。もっと、違う前向きも、いっぱいある。 ●自身の事業や会社の実態を冷静に見て、ここは一番重要なことは何かを、き ちんと正確に掌握することだ。売上を伸ばすことだけが、会社の使命ではな い。収益性の向上、原価管理の精緻化、人材教育の深化など、今までできな かったことが、実は山ほどある。受注が減少傾向にあるときにこそ、日頃でき なかったことをやる。会社の基盤を強くする。 ●花が咲かないときは、根を張る。これは、親しい知人から教えてもらった。 非常に、いい言葉だと。ただ、根を張る方向を間違えないことだ。リスクの高 い方向や、将来性の乏しい方向に根を張っても、ダメだ。そこは、トップの慧 眼が要る。日頃から、どうだろう、どうだろうと考えていないと、急に判断を 迫られても、難しい。咄嗟の思いつきは、後悔が多い。 <体質改善のチャンス> ●外部環境の厳しいときほど、気持ちは前向き、積極的であるべきだ。今まで 課題になっていて、着手できなかった課題は、何か。それは、今後の外部環境 の変化と、どう折り合えるのか。その兆候は、どこに見えているのか。いま、 苦しいけど、我慢して富士山に登れば、見える景色が変わってくる。それを、 果敢にチャレンジしないといけない。 ●なにも、お金をかけるのがいいとは限らない。低空飛行のときは、お金をな るべくかけないで、体質改善を図ることだ。スポーツクラブに通って、マシン でランニングしなくても、毎朝1時間早く起きて、走ればいい。冬は暗いけ ど、毎朝走ると決めておけば、今日はどうしようかと迷わない。それを自分の 都合で考えるから、ややこしい。 ●残業をしなくても、1時間残って、標準書の整備やマニュアルの改訂、不足 していた図面の更新、顧客情報の更新と共有化。やることは、いくらでもあ る。全員のITスキルを上げることでも、いい。つまらないことと馬鹿にしない で、基本に立ち返り、当たり前のことをきちんとできるようにする。いまま で、何ができていなかったかを、振り返る。 <まずはトップが体質改善を> ●この厳しい外部環境に立ち向かうには、気合だけでは難しい。冷静な判断 と、将来を見る見識が必要だ。そういうものは、一朝一夕にはできない。ま た、今までと同じような人とつきあっていたのでは、望めない。トップは果敢 に新しい環境に、積極的に飛び込まないといけない。会社の会議室で議論して も、堂々巡りになるだけだ。 ●異業種との交流でもいいし、新しい連携でもいい。自ら、根を張るために勇 気を持って、新しい地面に根を伸ばす。伸ばしてみたら、硬い土かもしれない が、やってみないとわからないことも、多い。この時期、大きな投資は難しい かもしれないが、少ない費用で大きな効果を生む可能性のある投資は、必ずあ る。一歩踏み出す勇気が、トップには必要だ。 ●ここは、トップが、まず体質転換するいい機会だ。体重を落として、食生活 を改善し、運動不足を補う。トップの健康は、会社の健康と直結する。健康管 理も、大事な仕事のうちだ。特に、ワンマンに近い企業ほど、トップへの負担 のリスクは高い。トップがこけたら、どうなるのかという中小企業は、数多 い。この厳しい時期にこそ、体質の改善を図る大きなチャンスだ。