□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第234回配信分2008年10月20日発行 小さなやれることを継続して積み上げる 〜50%できそうだと思ったらやってみる〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●案ずるより産むが易し。拙速は巧遅に勝る。などの古来名言がある。いろい ろと精緻に計画を練り上げることも大切だ。何も、それが無意味だとは思わな い。しかし、シュミレーションはあくまでもシュミレーションだ。その条件の 下では、という但し書きつきの予測だ。あくまでも、仮説の範疇を出ないの だ。そこに、あまり拘泥しても、足が前に出ない。 ●ビジネスなどは、特にそうだ。もちろん、基本的な部分や重要なポイント、 絶対に押さえないといけない箇所などは、当然のことながら、きちんと押さえ る。抜けのないように細心の注意を払う。しかし、そこから先は、神のみぞ知 る部分でもある。行動を起こさないと、人に会ってみないと、山に登ってみな いと、分からないことのほうが、実は多い。 ●そして、たいそうに大きく構えるより、力を抜いて、今日からでもできそう なことを、粛々と積み上げる。マラソンも初めの一歩からだ。あまり、肩に力 が入ると、スムースにクラブが振れない。それより、半分くらいの力で、楽に 振ってみる。そのほうが、よく飛ぶものだ。素人は、飛ばそう飛ばそうと、要 らないところに力が入りすぎる。 <継続して積み上げる> ●たいてい、何か違うこと、新しいことを始めるときには、何らかの障害がつ きものだ。利害の障害もあれば、メンタルな障害もある。古い方法にとことん 拘る旧人もいらっしゃる。否定するのは簡単だが、組織の一員であり、影響力 が大きいと、無視できない。しかし、小さいことでも、今日からやれること は、必ずあるはずだ。 ●小さいことを馬鹿にしてはいけない。堤防も、アリの穴から崩れる。むし ろ、小さいことの積み重ねが大事だ。初めは、やってはみるが、なかなかうま くいかない。当初から成功するなどと、あまり楽観的に考えないほうがいい。 リスクもリターンも、裏腹の関係だから、そこに固執することは、ない。どん どん、新しいヒントを取り入れて、やってみる。 ●特に、製造業などでは毎日毎日の小さな改善の積み重ねが、将来大きなアウ トプットを生む。大きな成果となって、還元されるはずだ。どこかの会社で、 全員に最低一日にひとつの改善や善行をすることを義務付けている。現場に は、改善のテーマが、ごろごろ転がっている。50%できそうだと思ったら、 チャレンジすることを、社是として決めておけば、いい。 <50%確信がもてたら、やる> ●確信とは、成功の確信だ。100%の成功保証は有り得ないから、50%見通し がついたら、ゴーサインがでる。いや、会社の価値観として、ゴーサインを出 すことを決めておく。何事も、会社でそういう空気が支配することが大事なの だ。やらないリスクより、やってみたリスクのほうが小さいという、会社の価 値観を確立する。そうすると、行動が変わる。 ●別に50%に拘る必要はない。その企業の、組織の価値観の問題だ。特に正解 があるわけでもない。70%くらいと決めている企業もあるだろう。数字のお遊 びよりも、不確定な条件下でも、やってみることが評価されるという、価値観 を定着さすことが大事だ。やらない理屈、やって失敗する可能性を述べるよ り、やってみるリスクを取ることを習慣付ける。特にトップがそうしないとダ メだ。 ●ただ、やみくもに50%なら何でもOKではない。日頃から、ずっと考えている からこそ、50%の自信でゴーサインが出る。日頃から、一生懸命集中して考え て、考えて、そして、初めて50%でキックオフする。日頃、何も考えないで、 ある日突然ひらめいて成功するなどとうことは、実はほとんどない。成功は、 幸運は、準備している人に巡ってくる。運も実力のうちだ。 <日頃の準備が肝心> ●そんなに難しく考える必要はない。現場の改善点は、実は現場に答えもあ り、課題もころがっている。見過ごすか、見つけるか。目を逸らすか、じっと 見つけるか。現場に張り付くか、すっと通りすぎるか。実は、すべて、これは 紙一重だ。とにかく、毎日が少しでも昨日よりよくなるように、何かしようと 決めておけば、いい。何もなしで帰ることは有り得ないと、心に決める。 ●そういう習慣を日頃から継続し、積み重ね、実践し、何らかの結果を出す。 結果の出ない仕事は、仕事ではない。ときには、マイナスの結果もある。もち ろん、うまくいく時もある。50%の確信でスタートすると、止める決断も早く 出る。この、途中で止める意思決定も、極めめて重要だ。トップにしかできな い決断だからだ。止めるときは、きっぱり止める。 ●電車に乗ったときの社内吊りの広告も、新聞の端っこのベタ記事も、NHKTV のニュースも、これすべてが自分のビジネスに関係あると思えば、一字一句集 中できる。それを、日頃からストックしておくと、50%の確信で意思決定でき る。この日常の努力がないと、50%では決断できない。よく決断できるね、と いうことも聞くが、日頃の情報収集と日頃の考える習慣の、なせる業だ。「積 み重ね」そして「50%で決断」する。