□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第237回配信分2008年11月10日発行 ロジカルにものを考える基本的な思考方法 〜5W1Hから6W2Hへと進化さす〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●先日、京都府下F市の某公的機関の経営研修会なるものに参加、出席させて いただいた。成岡がこの市の公的機関の経営委員を拝命している関係で、今年 平成20年度の事業の進捗をモニタリングし、今後に生かそうと企画したもの だ。ちょうど、9月末で半期6ヶ月が終了し、もうすぐ来期平成21年度の予 算、計画を立てないといけないからだ。 ●半年で計画の進捗をチェックし、その事業がうまくいっているのか、その問 題点は何か、後半に計画を達成できる見通しはあるのか、などを担当責任者か ら直接ヒアリングし、検討する。民間の企業では、しごく当たり前のことが、 公的機関や行政では、なかなかこれまでやってなかったようだ。初めてで、多 少のとまどいもあったが、きちんとできた。 ●予算や計画を立てたときもそうだが、基本的な「誰に」、「何を」、「どう やって」という原則論が、なかなか明確になっていないことが多い。また、 「いつまでに」とか、「仕上がりのイメージ」なども、ほとんど過去にはな かった。とにかく、絵を描いておけばよかったという印象が強かった。結果を あまり問わないから、それでもよかった。 <ロジカルにものを考える習慣をつける> ●小学館「ドットコム仕事術」という書籍によれば、会議や計画をたてるとき に、ロジカルに、論理的にまた合理的にものごとを考えるには、次の8つを明 確にする。 (1)What ・・・・ 目的は何か? (2)Why ・・・・・ それはなぜか? (3)Who ・・・・・ 実行者・受益者は誰か? (4)When ・・・・ 実行スケジュールは? (5)Where ・・・・ プランの対象範囲はどこか? (6)Which ・・・・ 目標達成の方法は複数あるのか? (7)How to do ・・ 実行の具体的方法は? (8)How much ・・ 実行の予算は? ●従来、よく「5W1H」というのがあったが、それの進化版だ。(6)の Whichと(8)のHow muchが新たに加わっている。この二つは、確かに重要 だ。方法論は必ずしもひとつではない。複数の選択肢を検討することは大事 だ。また、費用や予算という概念は、絶対に切り離せない。事業計画には、金 銭的なものが必ずからむからだ。 ●とくに、(1)の目的は何か?というのが、まず大前提だ。意外と、この大 前提は自明のこととして、議論しないことが多い。みんな、なにをいまさらと いう感じで、当たり前のことと既成概念がある。そこを、「そもそも」という 原点に立ち返って、再度見直すことは重要だ。意外と、過去に始まった事業 で、既に賞味期限を過ぎているものも、多くある。 <対象を明確にする> ●以前に在籍していた出版社の出版物の企画会議では、まず、「誰に」という 読者対象を明確にすることが大前提だった。この一番重要な「誰に」向けた企 画か?があいまいだと、最後までコンセプトが定まらない。(3)のWho?で ある。また、そんなこと改めて考えるまでもないという概念で、意外と再度定 義しないことも多かった。 ●定期刊行物などの雑誌も、そうだ。このターゲットに向けて発行していると 思い込んでいる担当者は、多い。しかし、読者層は常に流動化している。40歳 前半の女性をねらった月刊誌でも、ターゲットは確実に加齢していくから、新 しい読者層に入っている人たちの嗜好は、以前とは変わってくる。そこを、き ちんととらえて企画を立てないといけない。 ●常に40歳前半の女性にマッチした企画が、以前と同じということは有り得な い。時代も、社会情勢も、環境も、大きく以前とは変化しているはずだ。しか し、現場最前線の担当者は、とにかく定期に発行物を出さないといけないの で、こなすことが仕事になる。改めて、ものを根本から考え直す余裕など、な い。だから、木を見て森を見なくなり勝ちだ。 <トップの意思次第> ●F市の会議でも、改めてこの6W2Hを問いかけてみると、ちょっと待てよ、 ということが、ままあった。予定通り進行していない事業も、いくつかあり、 それはそれで、達成までの道筋を書き直さないといけない。従来は、計画と進 捗に乖離があっても、そのまま来期になだれこんでいたという。反省も、あま りなされないまま、翌年度が始まる。 ●単年度で事業を完結する、継続して事業を考えにくいという特殊性を割り引 いても、やはり中間でチェックし、点検し、モニタリングを行って、軌道修正 は必要だ。今回の金融パニックや、為替レートの急変などが起こると、当初計 画などはどこかに吹っ飛んでしまう。民間の事業は常にそういう環境変化に、 どう対応するかということを必死で考えている。 ●「When」は時期だが、スケジュール管理、進捗管理が大事だ。いつまでに、 という期限がないのは、仕事ではない。そのうちに、とか、なるべく早くなど という、あいまいな表現がなくなるように、組織の中で期限を明確にすること を徹底する。それだけでも、だいぶ違う。カルチャーを変えるのは大変だが、 やれば、結果はでる。やるか、やらないか、トップの意思の問題だけだ。