□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第243回配信分2008年12月22日発行 業績悪化はこれからが本番か 〜年を越して来年3月期末から5月が正念場〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●あまり暗い話題ばかり書きたくないが、仕方ない。有名な言葉に、「目の前 で起こっていることが、事実なのだ」というフレーズがある。見たくない、見 ようとしない、見ても仕方ないと思わずに、逆にしっかり注視するほうがい い。事実を事実として認識することから、問題意識は始まる。決して、眼を逸 らしてはいけない。まともに向かい合う気持ちが大事だ。 ●さて、では、現状の事実は何だ。お分かりのように、今回は過去の世界恐慌 に匹敵する危機だ。おそらく、オイルショック、バブル崩壊より根っこは深い し、影響は深刻だ。しかも、世界同時不況になっている。バブル崩壊のとき は、日本だけの問題で片付いた。今回はそうはいかない。特に、円高の影響が 深刻だ。円高で利益が急増している企業もあるが。 ●ここしばらくの新聞報道やTVのニュースは、当然暗いものが多い。そして、 逆に政治の茶番劇が、よけいに滑稽に見えてしまう。政治家も、霞ヶ関の官僚 も、現場の経営のことなど、これっぽちも分かっていない。麻生さんが会社を 経営していたというが、実態は優秀な弟が経営していただけで、お坊ちゃんの 集まるJCの会頭に祭り上げられていただけだ。 <政治が、官僚が救ってくれるわけではない> ●人任せの再生計画は有り得ない。GMやクライスラーをアメリカ政府は、とり あえず年内の破綻を回避する作戦を取ったが、もちろん、お分かりのように根 本的な解決ではない。環境に配慮し、低燃費の車の開発を怠り、労働組合の言 いなりの雇用条件を丸呑みしてきたつけが現れただけだ。放漫経営といわれて も、致し方ない。事実だから。 ●大企業の業績不振は、始まったばかりだから、この1月〜3月の資金繰りが 大変になる。株価の低迷、円高の進行などから、この3月年度末の業績は惨憺 たるものになるだろう。資金繰りも窮屈になるに違いない。なりふり構わず事 業の再構築、人員のリストラに走るのは、致し方ない。「事業あっての雇用」 なのだから。きれい事では、済まない。 ●日本にとって、一番の問題は円高だ。90円をこう急激に割っては、たまった ものではない。ほとんどの企業は100円前後で予算や計画を設定していたはず だから、この10円前後の落ち込みは、非常に深刻だ。1円動いただけで、もの すごい利益が吹き飛ぶのが大企業、特に輸出で成り立っている企業だ。しか し、自助努力で解消できる問題ではない。 <これからもっと厳しくなる> ●中小企業には、これから、もっと深刻な影響が出てくる。大企業の3月末決 算が想像以上に悪化することが、年明けから明確になろだろうから、そこから が本番だ。さらに、一段の受注減、仕事量減が出てくる可能性が高い。この年 末の資金繰りで奔走されている経営者の方も多いと思うが、3月にかけていっ そう資金繰りは窮屈になる。何か対策を考えているか。 ●かなり、どん詰まりになってから、さあどうしようと言っても、遅い。大企 業がこれほど早くアクションを取ったのは、その先が見えているからだ。もっ と深刻になることが、明々白々だからだ。当然、雇用に手をつけざるを得な い。そういうための、バッファーとして、規制緩和で工場や製造業の仕事に派 遣社員が就業できるようにしたのだから。 ●それを今になって、おかしいとか、袋叩きにするのは、何か間違っている。 麻生さんと経済界トップのキャノンの御手洗さんが会談した数日後に、キャノ ンの九州の工場で、派遣社員の契約解消が発表された。痛烈な、麻生政権に対 する、いやみ、しっぺ返し、痛烈なパンチである。あなたに、企業経営の痛み は分からないだろうと。 <では、どうするか> ●台風が上陸することがわかっているのに、街にのこのこ出て行くのは、敢え てケガをするために出て行くことになる。しばらく、嵐が吹きすぎるのを待つ しかない。夜明けは一番温度が下がるが、しかし、太陽の上がらない夜はな い。雇用に手をつけるのは、最後の最後だ。これは、経営責任として、明確に しておいたほうが、いい。 ●内定者に取り消しを出すのも、極めて客観的に合理性がないといけない。資 金繰りが苦しいといいながら、金融機関にリスケをお願いする前に、経営者の 足元で、きれいにすべきお金、貸借、子会社との不透明な取引、代表者への貸 付金などは、ないか。まず、そこをきちんとすべきだ。貴重な人材に手をかけ るのは、最後の最後だ。役員報酬は適当か。まず、そこを洗う。 ●お金をかけないでも、今まで忙しくてできなかったことは、多くある。教 育、標準書の整備、得意先への訪問、営業と製造のミーティング、ITの練習や 教育。年齢の高い社長ご自身がパソコンをさわれない、メールを送受信できな い企業は、多い。それを、この機会に研修を行い、できるようになるだけで も、夜が明けたときに一斉に走り出すときに、差がつく。