□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第249回配信分2009年02月02日発行 現代版親父の小言シリーズ 〜現代の企業経営にも通用する鉄則〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●先日、ある方と久しぶりにお目にかかり、ビジネスの話しのあと、そのオ フィスの入っているビルの地下の居酒屋さんで一献傾けた。そこのテーブルに 敷いてあった紙のトレーに、今回テーマの「親父の小言」が書いてあった。勘 亭流の書体で、多少判別し辛い文字もあったが、これはいただきと記念に持ち 帰った。そして、ホームページで探してみた。 ●なるほど、あるある。古来の名言などがぎっしり詰まったサイトがあって、 いたく感激した。今回は、そこから現代にも通用する名言をいくつかご紹介す る。まず、「家業には精を出せ」「働いて儲けて使え」「初心は忘れるな」 「何事も身分相応にしろ」などが並んでいる。何の変哲もない言葉だが、よく よく考え、味わうと非常に重たい内容だと感じる。 ●「働いて儲けて使え」。この短いフレーズの持つ意味は大きい。実は、その 前に「家業には精を出せ」とある。これが先だ。そして、働いて、儲けて、使 う。家業をとことん守るのではなく、精を出して攻撃的に革新していく。現代 は、存続するには攻めることが大事だ。しかし、スポーツと同じで、2点取っ ても3点取られたら負けになる。攻撃的な防御が大事だ。 <存続することは変わること> ●成岡の大好きな言葉に「伝統は革新の連続」という、とらや黒川家の家訓が ある。伝統があり、永年存続している企業は、実はどんどん変わっていってい る。変わらないと生き残れないからだ。じっと身をすくんで、丸まって寒さを 凌いでいては、変わることはできない。筋肉質になるには体質転換が必要だ。 体質を変えるには、少しの運動だけでは変わらない。継続が大事だ。 ●家業に精を出し、外部の環境変化に応じて果敢に変えるものは、変える。会 社や組織は利害関係者の集まりだから、変えるといっても、ことはそう簡単で はない。しかし、経営者がそう思ったら終わりだ。ほとんどの周囲の人間は、 変えて欲しくないと思っているはずだ。人間とは、変化に対し必ず体が、精神 が抵抗するようにできている。抗原抗体反応だ。 ●なので、家業に精を出しているだけでは、変われないし、変わらない。経営 者自らが求めて変わろうとしないと、絶対に会社は変わらない。特に中小企業 はそうだ。そして、働いて、儲けて、使う。何に使うかが問題だ。会社の将来 や地域の発展、社会への寄与などに、お金を有効に使う。内部留保も必要だ が、過度に留保してもお金は生きない。使うべきときに使う。そこが大事だ。 <初心を忘れるな> ●いい古されているが、初心=創業の理念だと解釈すればいい。成岡のよく使 うフレーズでは、「そもそも」だ。「そもそも」何のために会社ができたの か、何のためにいつも働いているのか、仕事をしているのか。創業の際の理念 がきちんと継承されているか。また、古くなっていないか、時代に合っている か。壁にはってあるだけになっていないか。全員に浸透しているか。 ●初心を忘れると、慢心になり、傲慢になる。謙虚にならない。ここまで大き くなったのは、自分の力だと錯覚する。もちろん、経営者の力量も大きいが、 それを支えてくれた周囲の、顧客の、得意先の、従業員の、金融機関の、周辺 のすべての協力で初めて、ことは達成される。もちろん、会社が利益を挙げて いるということは、社会がきちんと評価してくれたからだ。 ●少しうまくいくと、過信する。自信過剰になる。いい意味での自信を持つこ とは必要だが、過信してはいけない。錯覚に陥る。今回の金融危機も、それに 端を発した経済パニックも、ある意味慢心が招いた結果だ。実業に汗水流し て、こつこつとものづくりを続けていた企業にしてみれば、金融で利益を稼い でいた虚業の会社の責任は大きいと感じるだろう。 <何事も分相応に> ●京都でも、「身のほどをわきまえる」という。成長はいいことだが、分相応 に成長していかないといけない。成岡の以前に在籍していた会社も、バブルの ころには本業で急成長した。300名100億の会社になるのは時間がかかったが、 転落の速度は速かった。つまり、成長ではなく、膨張していた。借入金の増大 に伴い、資産が増加したが、それはほとんどが負の資産だった。 ●今の時代分相応にしていたら、とんでもない、弱肉強食の世の中だと言う方 もあるかもしれない。しかし、外部環境の変化に応じて、分相応に成長してい くことが大事だ。急にJリーグの1部でプレーできるわけではない。毎年、毎 年、分相応に成長していけば、10年経過すれば大きく成長しているはずだ。急 激な成長は、どこか組織にひずみを招く。そこからクラックが走る。 ●再度、くどいようで恐縮だが、「家業には精を出せ」「働いて儲けて使え」 「初心は忘れるな」「何事も身分相応にしろ」。今回は、この4つをご紹介し た。以降、折に触れて適宜気に入ったフレーズをご紹介しようと思う。文学で もそうだが、古典には非常に含蓄の深いことばなどが、本当に多くある。温故 知新とは、古よりの名言なのだ。過去に学び、将来に備える。経営の要諦は、 いまも変わらない。