□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第258回配信分2009年04月06日発行 経営者の大事なマインド「心の若さを失わない」 〜トップのマインドは会社のマインドそのもの〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●確かに現状は非常に厳しい状況であることは、間違いない。昨年来、不動産 や建設関係の業界が、まずおかしくなったが、最近の倒産情報を見ると、それ 以外の業種、業界に倒産が及んでいる。製造業、飲食業、食品小売業などなど ・・・・。比較的、我々庶民の身近な業界に倒産の不安が迫ってきているよう に感じる。食品、飲食関係は、不況に強いというのが定番だが、必ずしもそう ではない。本当に庶民の財布ががちがちに硬くなっているという、現実的な兆 候が出ている。 ●デパートの売上が、軒並み対前年比で大きくマイナスになっている。確か に、デパートにものを買いに行く習慣がなくなった。高齢者が増加したという こともあるだろうが、専門店が増加し、郊外に大型のSCが建設され、なにもデ パートにわざわざ行って、ものを買う必要がなくなった。消費不況というより も、デパートという業態そのものに魅力がなくなったということだろう。デ パートも、昔は「百貨店」と言っていたから、多くの商品があって便利という 時代は、遠い昔の話となった。 ●その代わりに伸びているビジネスを見ていると共通のキーワードが浮かび上 がる。ひとつは「値打ちがあって安い」こと。1000円を切る値段でのジーンズ がユニクロの系列衣料品量販店で販売され、予想の2倍のスピードで売れてい るという。そこそこの品質を、お値打ちな価格というコンセプトが受け入れら れている。ユニクロは、もうワンランク上の商品を販売している。なので、対 象は同じだが、商品的には競合しないという。なかなか見事な作戦だと、感心 する。 <混んだバスに乗らなくなる> ●99ショップをローソンが傘下に取り込んでいる。99ショップは、食料品の 100円コンビニだ。24時間、食料品とそれ以外の日用品を100円ショップの形態 で販売している。弊社の近くにもあって、便利している。最近まで、隣に普通 のコンビニがあったが、とうとう競争に負けて、撤退した。いつ行っても、そ こそこの来店客で混雑している。早くものがなくなる。 ●ユニクロの社長さんにしても、ローソンの社長さんにしても、年齢は違う が、いろいろなところでの発言や行動を見ていると、本当に前向きでアグレッ シブだ。冒頭に書いた黄瀬さんも前向きの典型だが、トップは気持ちが若くな いといけない。そこそこの年齢になると、だんだん新しいことに、面倒くさく なる。なかなか一歩足が前に出ない。そうは言われても・・・・、という感じ でチャンスのバスが通過してしまう。少々混んでいても、バスに乗ろうとしな いから、いったん通過したバスは戻ってこない。 ●トップのマインドが、少しでも後ろ向きになると、周囲は非常に敏感に感じ る。当然、資金に不安があったり、事業の見通しが立たないから、後ろ向きに なることは、ある。しかし、節約モードではできる限界があるし、何よりも将 来に対する健全で前向きな投資ができないと、3年先、5年先にジリ貧になる ことは、誰の目から見ても明らかだ。いま、今日、現状がうまく行くのも大事 だが、経営者の一番重要な仕事は、将来に対するビジョンを見せることだ。従 業員は、そのビジョンについてくる。 <監督が明るくないチームは勝てない> ●先週号のAERAに、WBC監督の原のマネジメントの分析が載っていた。新しい 形のマネジメントとして評価されていた。北京で惨敗した星野の高圧的トップ ダウンのマネジメントの対極だ。しかし、とにかく明るい。明るいことは、大 事だ。冒頭のフレーズに、「将来役に立たない経験というものは、ない」とい う非常に勇気付けられる文章を掲載しておいた。まさに、至言。昨今の状況は 非常に厳しいが、これは神が与えた乗り越えることのできる試練だと思えばい い。悩めば、解決策が見えてくる。 ●状況がいいと、慢心する。放漫になる。会社も、成長ではなく、膨張してい く。まあ、いいわ、いいわで、行け行けになる。反省も、総括もなく、現実が なぜか膨張していくから、肥満になる。気がつけば売上に対して、総資産が水 ぶくれし、資金の回転が非常に悪くなる。人間で言えば、体重が急激に増加し たことだ。重たくて走れない。カロリーの高い食事を、時間を無視して暴飲暴 食した結果だ。こういうのは、前向きなマインドとは言わない。無茶な成長軌 道をむりやり進んでいる状態だ。 ●心の若さを保つには、健康、勉強、挑戦、反省。この4つが重要だろう。人 間は健康でないと、前向きな考えが出てこない。健康は、肉体の健康もそうだ が、心の健康も大事だ。血糖値が上がるのは、食事の問題もあるが、大半はス トレスから来ている。落語を聞いて笑っていると、血糖値は下がる。勉強は、 何も学校に行ったり、資格を取ることではない。いろいろな会合に出たり、こ れはと思う人に教えてもらうのも勉強だ。謙虚に聞けば、必ず成長する。謙虚 になれば、すっと頭に入ってくる。 <挑戦と反省が若さを保つ> ●挑戦はチャレンジそのもの。毎年、ひとつずつ歳を取ると、チャレンジ精神 が失せてくる。加齢とは、肉体の加齢ではなく、心の加齢なのだ。チャレンジ するためには、新しい刺激を受け入れ、新しい知識を充電し、新しい人と接 し、新しいことに興味を持つことだ。人間は、昨日と同じことをしているほう が、楽なのだ。慣性の法則で、そのまま転がり続けることが、一番楽なのだ。 何も、しんどい思いをして、新しいことをやらないでもいいじゃないかと、誰 かが言っている。その誘惑に負ける。 ●反省は必ず必要だ。後悔は必要ないが、反省はしないといけない。そして、 次回に向けた改善や修正を行う。俗に言うPDCAサイクルだが、これをきっちり やるには、心の若さを保つ必要がある。全部がうまく行くことは有り得ないの で、打率は3割くらいと心得る。7割うまくいかなくても、全然落ち込まな い。それくらいが、当然と思えばいい。反省をして、何か真実をつかめば、リ セットすればいい。リセットするために、多少の時間と費用が必要なら、それ は前向きな投資だ。 ●経営者の心の若さが失われた途端に、社員にも伝染し、組織全体にも伝播す る。うちの親父はいつも前向きやなあと、従業員に思い込んでもらうことが大 事だ。心の若さから、行動の若さが生まれ、性格は変わらないが、行動は変え られる。行動が変われば、結果もすこしずつ変わる。いったん、変化が停滞す ると、これを再起動するには時間とエネルギーがかかる。若さをキープする秘 訣は、そういう行動を常にしている人とお友達、知り合いになることだ。元気 をもらって充電する。これが大事だ。