□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第264回配信分2009年05月18日発行 6月27日NMO特別講演会を開催します 〜昨年ヒーロー大分トリニータの今年の不振〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●弊社では今年の6月27日(土)に、14時から大阪産業創造館にてNMO特別講演 会を開催する準備で忙しい。例年、大阪開催、京都開催を交互に続けてきた。 偶数年は京都にて、奇数年は大阪にて開催している。今年度は、このめぐり合 わせからすると、大阪の開催となる。よって、早くから産業創造館の部屋を予 約し、講演の主人公を探していた。いろいろな経過を経て、今年の開催の方々 になった。大分トリニータの溝畑氏の了解を得たのが、確か3月の初めだった と思う。やっとJリーグの日程が決まったからだ。 ●実はそれ以前から講演のお願いはしていた。Jリーグの日程が決まらなかっ たので、OKの了承が得られなかった。ある日、成岡の携帯に電話があり、J リーグの日程が決まり、6月27日は大阪での日程が取れることになった。やっ と、講演者のメンバーが揃って、チラシの印刷にかかれることになった。その 時に、今季のこれほどの不振は想像できなかった。ナビスコカップで念願の優 勝を果たし、一躍ときの人となった。そして、Jリーグも最後まで優勝争いに 絡んだ。最終的には4位だったと思うが。 ●それが、いまはどういうことだろう。連敗を重ねて、現在最下位。このまま 行くとは思えないが、ご存知と思うがJリーグは自動的に降格、昇格のルール がある。最下位は自動的にJ2への降格となる。成岡の地元京都のサンガも降 格、昇格のエレベーターを一時繰り返した。確か、昇格降格の回数では、一番 多かったはずだ。天皇杯のタイトルを取った年度でも、降格の憂き目にあった ことがある。それくらい、リーグ戦と勝ち抜き線では結果が異なる。プロ球団 同士の戦いだから、結果は紙一重だ。 <悪いときにどう考えるか> ●最近は、ずっと先行しては最後に逆転されている。成岡はサッカーには素人 だから、詳しいことは分からないが、勝てそうな試合を落としていることは間 違いない。野球で言えば、9回裏の逆転で落とした試合が多い。ここ数試合そ ういう試合が続いている。ロスタイムでのペナルティキックという不幸な試合 もあった。判定の不運もあるが、結果がすべての現実では、どう言ってもいい わけになる。プロスポーツの試合では、言い訳は通らない。勝つか、負ける か、引き分けかしか有り得ない。 ●先日神戸でのビッセル神戸との試合を一緒に観戦したときもそうだった。先 行し、追いつかれ、最後の10分くらいで決勝点を入れられて、結果的に逆転負 けだった。勝てても不思議でない試合だったが、結果は逆転負けだった。負け 癖がついてくると、どうしても考えが後ろ向きになる。勝つことより守ること に意識が行く。点を入れることより、点を入れられないことに意識が行く。攻 めるより守る。こうなると、どうしても後ろ向きの循環に陥る。気持ちが守る ことを優先する。 ●後半の選手交代も、タイミングと選択のメンバーが難しい。結果がすべてだ から、打つ手がうまくいけばOKだし、うまく行かなければどうやっても失敗 だ。しかし、選手交代やタイミングなどは、監督の専権事項だ。球団社長がい ちいち口出しすることではない。会社で言えば、営業担当の常務取締役の役員 に営業のすべてを任しているようなものだ。数ヶ月連続して売上が低迷してい るようなものだ。ここで社長が営業の現場に乗り出して、あれやこれや口出し してもいいものか。非常に迷うところだ。 <本当の原因に目を逸らさない> ●別に今回のトリニータの例ではないが、業績が悪化してくると、小手先のこ とをばたばたやりだす。だいたい、それで結果が良くなることは少ない。ここ は、どっしり構えて対策を根本的に考える。対症療法的に小手先の対策を打っ ても、中味が変わらない限り、その場しのぎの対策になる。本当の原因は何 か、ケガ人が出ていることが原因か。それとも何か別の要因があるのか。昨年 の優勝から他球団は徹底的に弱点を研究してきた。そこを突かれていることが 原因か。冷静に現実を分析する必要がある。 ●目の前で起こっていることはすべて真実だから、まずはそれをきちんと認識 し受け入れる。そして、事実から原因を推定する。ここは色々な原因を考え る。そして、一番本当の原因と考えられるものを選択する。あらゆる可能性を 排除してはいけない。いろいろと原因はあるだろうが、数を多くあげることに 意味はない。ひとつでも構わない。優先順位もある。そして、内部の事情を斟 酌してはいけない。業績が悪いのは、市場の支持を得られていないからだ。売 上は市場からの支持の数字だから、支持がないのだ。 ●表面的な原因に目が行き勝ちだが、実は本当の原因はそれと違うことが多 い。目先、目先の症状に対症療法的に対応しても、結局何も変わらない。しば らく慎重に検討し、果敢に本当の原因に迫ることが大事だ。いやなこともある し、傷つく人もいるかもしれない。いやなことを言わないといけないかもしれ ないし、気分を害する人も出てくる。しかし、そこを避けては通れない。避け られないなら、正面から当たってみる。真っ直ぐに当たると、意外とケガはし ないものだ。斜めに当たるとケガをすることは多い。 <最後は私心のないコミュニケーション> ●そして、いつまでに、誰が、何をするということを決める。いつまでに、こ ういう結果なら、こうすると決める。決めたら、粛々と実行する。最後の土壇 場で、結論を逆転するということはいけない。経営も人間のすることだから、 気持ちの揺らぐこともあるが、トップが揺らいではいけない。そういうことが ないように、結論は公表しておく。決めたあとも、心が揺れることもあるが、 一度決めたら翻意は避ける。期限を切って、どこまで任すか決めたのだから、 責任は自分で取る。他に誰も取れないのだから。 ●トップの役目は責任を取ることだ。それは、トップ以外にはできないこと だ。いい結果はすべてメンバーの賜物。悪い結果は全部自分の責任と心得る。 他人のせいにしてはいけない。よくトップの方のお話しを聞かせていただく と、悪い原因を他人のせいや、制度や環境のせいに言われる方もあるが、それ は間違っている。すべての原因は、自分自身にあると思えることから出発す る。そう思わないと、本当の原因に行き着かない。そこを間違うと、違う処方 箋になる。結局、病気は治らない。 ●周囲からの雑音も、いろいろと入ってくる。社内からも不協和音が聞こえだ す。組織の内部から、崩れてくる。外部からの攻撃で崩れるならまだしも、大 半の原因は組織内部のきしみによる。金属疲労や制度疲労を起こして、自分の 足下から崩れる。外からの攻撃には強かったが、いったん弱いところが露見す ると、そこを突かれる。人間は、ピンチのときに一番弱いところが痛み出す。 最後の最後にものを言うのは、トップの私心のないコミュニケーションだ。と にかく何とか結果を出そうとする、その私心のない態度が大事だ。