□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第270回配信分2009年06月229発行 体内時計の狂いが病気の始まり 〜仕事のリズムを作るには会社時計を決める〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●最近の病気の研究では、人間の体内時計の狂いが万病の元になっているとい う、極めて興味深いことが分かってきたらしい。人間には、必ず体内時計とい うリズムを刻むもとがあって、朝起きて、太陽の光を浴びて、朝ごはんを食べ て、というリズムの元は、この体内時計だそうだ。また、逆に言えば規則正し い生活のリズムが体内時計の狂いを防止している。昔の人は、ほとんど朝陽が 上がってから畑で仕事をして、太陽が沈むと仕事を終えて家に戻る。極めて、 理にかなった生活リズムなのだ。 ●起床の時刻を決めて、変えないのもリズムの維持には極めていいことだ。就 寝の時刻も、おおむね決まっている。食事の時刻も、だいたい毎日同じだろ う。外で太陽の光を浴びて身体を動かし、日没と共に家路につく。変化が少な いかもしれないが、規則正しいリズムを重ねることは、病気を予防するには、 またとない必要十分条件だ。ところが、現代人はなかなかこれが維持できな い。数日なら何とかできるかもしれないが、やれ残業だ、出張だ、宴会だ、付 き合いだということになると、ぐちゃぐちゃになる。 ●遅い時間からものを食べるのはよくないと分かっていても、毎晩、毎晩遅く まで残らざるを得ないとなると、必然的にどこかでお腹にものを入れるから、 どうしてもカロリーオーバーになる。そして、あまり身体を動かさない。当然 アルコールも、量が進む。これが続けば、間違いなく成人病の予備軍に突入 し、そして気が付かないまま、じわじわと身体が痛んでくる。そして、症状と 兆候が顕著になったときには、既に手遅れということが、多い。突然の、脳梗 塞や心臓病。一命をとりとめても、重たい後遺症が残る。 <会社の業務も規則正しいリズムが大事> ●業績が低迷している企業や会社を見ていると、規則正しいリズムが刻めてい ない。会議の日程もばらばらだし、朝礼もあったりなかったり。社長が朝い らっしゃるときは、いやいやながら朝礼をしているが、責任者が不在になる と、途端にやることが変わって来る。開始の時刻も、微妙に毎日決まりがなく て、少し遅れたりする。揃わないときは、揃うまで遅刻者を待っているとい う、常識では有り得ないことが堂々とまかり通る。営業会議も、やったりやら なかったりで、規則性がない。 ●ましてや、幹部会議や役員会などの日程は、社長の気ままな日程に振り回さ れる。その影響が、幹部社員やリーダークラスに伝播し、一般社員までなにや ら集中して業務に取り組めていない。突然、午前中に思い立ったように、19時 からの営業会議が招集される。聞けば、社長の予定が突然空きができて、この 時間がもったいないから、急遽営業部門の会議を持つことになった。一番の被 害者は、一番末端の社員だ。急に予定は変えられないし、納品の予定も迫って いる。 ●初旬の幹部会議。その後の管理職やリーダークラスの会議。そして、一定期 間ごとに開催する全社会議。こういうイベント的な会議は、最低6ヶ月前か ら、年間スケジュールで決めておく。少々の軋轢を怖がっていては、何も前に は進まないし、誰かがいやな役回りを引き受けないといけない。全員が、いい 子供で成長することは、稀有なことだ。会議も開催することが目的ではなく、 そこで問題点を討議し、次に進むべき方針を決定し、内容を共有化し、意思を 統一する。その目的では非常に重要だ。 <会社時計を決める意志を持つ> ●毎週、毎日、毎月のリズムも、おおむね決めておく。月曜日から金曜日、そ して週末の段取りも、数ヶ月先まで決めておく。もちろん、お客様や市場に合 わせて予定を組まないといけないことは、もちろんだが、全くのフリーでは大 変効率が悪い。それと、ビジネスには突然の変更がつきものだ。JRの時刻表の ごとく、時刻どおりに淡々と運べばいいが、決してそんなことはない。事態の 急変に対応できるバッファーの時間も必要だ。そう考えると、出会い頭で仕事 が回るわけがない。 ●月曜日は週の初めだから、幹部が早く集合して大事な情報を確認、共有化 し、その後一般社員も参加しての朝礼がある。それまでに掃除をして、周囲の 環境を整える。朝礼が終わってから、仕事の段取りの確認を行い、そこから週 の仕事が始まる。試合開始のプレーボールまでに、相当な準備と段取りが要 る。それを毎週、毎週、当たり前のように粛々と、かつ、毎週変化を加えて やっていく、やり切る企業が生き残る。どうでもいいやと思えば、おそらくそ れでアウトになる。その違いが出る。 ●毎週はそうならば、火曜日、水曜日、木曜日はこういうリズムで仕事を進め る。金曜日は週末前の大事な曜日だ。特に午後からの段取りは、来週の結果の 成否を決める。だから、金曜日はあまり会議は入れたくない。土曜日は、多く の企業で休日が多いから、幹部はゆっくりものを考える時間だ。幹部会議を定 例で土曜日に開催してもいい。そして、3ヶ月ごとに四半期の総括の時間を持 つ。もう、その日程も決まっている。そこで、何を討議し、何を決め、どう伝 えるのかも、決まっている。 <常に改革、常に前進> ●そうは言っても、企業や会社にはいろいろなことが起こる。冠婚葬祭もある し、突然のトラブルも起こる。自分の会社は間違っていないが、取引先や得意 先のアクシデントも影響する。金融機関との交渉や、先だってのインフルエン ザのようなリスクも存在する。しかし、それに負けていては、一歩も前には進 まない。自分たちは、断固こういう考えで前進するんだという、強い意志を持 ち合わせないといけない。特に、経営トップにそういう哲学や意思がないと、 とても長い時間は持たない。 ●その合間、合間にいろいろなことを入れないといけない。基本的なリズムが ないと、全部が出会い頭になる。結果を残している素晴らしいアスリートたち には、決まって行う準備運動があり、月ごとの身体の手入れがあり、成績が悪 いときのリカバーリーの時間がある。3年間くらいやってみると、どうも現状 に合わなくなってくることも、多い。どこかを変えないといけない。どこかを 止めないといけない。それを感じたら、果敢に変える。さあ、どうしようか、 とゆっくりのんびりしていると、時間は取り戻せない。 ●毎日、毎週、毎月、毎四半期、そして毎年。会社時計を早めに決めて、その リズムで業務を刻む。年間休日カレンダーを決める企業は多いが、もっと突っ 込んで会議や、やることを規定しないといけない。特に昨今のような激変の環 境下では、トップのリーダーシップが不可欠だ。トップが自らこうやるんだと いう意思を見せない限り、誰も部下はやらない。部下がやらないと嘆く前に、 まず自らが出来ているのかを、自問自答すべきだ。会社時計を明確に決めない と、病気になる。