□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第277回配信分2009年08月17発行 お盆の休みの過ごし方を考える 〜社員の出てこない会社で一人になる大切さ〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●日頃は会社にいると、なかなかものを考える時間がない。電話、メール、来 客、社員からの相談。会議、ミーティング、そして夜の会合や宴会など。取引 先との外せない打合せ、金融機関との折衝、業界団体の会合など、結構予定が 詰まってくる。時間に追われだすと、ものをゆっくり考える時間がない。それ が忙しい、忙しいと勘違いする。非常によく働いていると勘違いする。しか し、予定はこなしているだけで、結果はなかなか出てこない。どうしてだろう かと、ふと不安になる。 ●社長の、トップの仕事は会社の方向性を決めることだ。方向性を決め、会社 の資源を適切に配分し、その配分した資源が有効に、かつ効率的に動いている かをコントロールする。それがトップの仕事だが、なかなかこれが出来ない。 一番大事な、会社の方向性を決めるには、決めるための材料も要るし、それな りの準備も要る。いきなりそんな重要なことが、突然決まるわけがない。そし て、四六時中そんなことばかり考えているわけでもない。衆知を集めるときに は大勢でやるが、決めるときは一人だ。 ●なので、ときとしてトップは一人にならないといけない。一人になって今ま での材料や議論の資料を再度読み返す。自分が集めた情報を整理してみる。外 部の識者に意見を聴いた結果を反芻してみる。大事なキーワードを書いたメモ を読み返す。しかし、いくら資料を集めても、集めた資料からは何も答えは教 えてくれない。最後に決めるのは、自分自身しかない。それを避けていては、 いつまで経ってもものごとが決まらない。不作為の罪ということがあるが、決 めないことは罪なのだ。 <周りの条件が整えばというのは言い訳> ●最高の条件が整えば決断するというのは、聞こえはいいが決めないことのい い訳だ。自分自身の決断に執行猶予を下すようになると、常時そういうクセが つく。結論を先延ばしにする習慣がついてしまう。結論は会議ではなかなか決 まらない。会議は議論する場なのだ。中小企業では、決める責任はすべてトッ プにある。そういうときこそ、一人になって冷静に考える。考え、決断するに は、環境が必要だ。お盆のこの時期などは、その決断に絶好の時間なのだ。有 効に活用することをお薦めしたい。 ●休みだからリフレッシュすることも必要だ。毎日毎日、大きな決断の連続だ と、肩が詰まってくる。ときには、リラックスして息抜きも必要だ。運動して 身体を動かすのもいいし、アルコールで発散するのもいい。要は、溜めないこ とが大事なのだ。ストレスは必ずつきものだが、溜めるのがよくない。砕い て、散らして、外へ出すことが大事だ。そういう意味でも、一人でものを考え る時間は必要だ。年間で、連休と、お盆休みと年末年始に、それを充てる。い つもでなくてもいいから、決めることだ。 ●さすがにこの期間は、あまりメールも来ないし、来客もない。電話もかから ないし、びっくりするようなファックスも来ない。世間の動きもある程度止 まっている。今後の会社の方向性を考えるには、絶好の時間だ。この時間を無 駄に過ごしてはいけない。もう、いまさら今年は仕方ないが、来年からは、ぜ ひそう心がけて欲しい。社員や役員は、レジャーや家庭サービスをしていて も、トップは会社の大事な経営を預っている。やっていることが違うのだ。そ れを勘違いして、同じようなことをしているトップも多い。 <決断は文字に表してみる> ●心に決めることは、それでいいが、自分なりの考えを文字化することは重要 だ。口で言っても、なかなか真意は伝わらないものだ。まして、伝言ゲーム で、部下から部下に職場の中で伝えるには、大変な苦労が要る。途中でうまく 伝わらないこともあるし、誤解を招くことも多い。文字を書くのが苦手とおっ しゃるトップの方もあるが、苦手は克服して欲しい。そんなに文学的な表現は 要らないから、稚拙でも真意が伝わる内容であればよい。上手な文章ではな く、心がこもっていればいい。 ●理念やビジョン、方向性などは文字にしてみると、なおさらよく分かる。自 分でも眺めてみると、なんとなく納まりが悪く、しっくり来ないときがある。 そんなときは、躊躇せず書き直す。改めるに憚ることなかれ。何回も書き直し てみると、ぴったり来る表現で出会うことが多い。そこまで真剣に考えないと だめだ。まして、それを他人に任せているようでは、おぼつかない。作業は部 下にさせてもいいが、一番肝心な重要なことを、他に任せてはいけない。そこ を勘違いしているトップも多い。 ●別にパソコンができる、できないは関係ない。字がうまい下手は関係ない。 要するに、やる気があるかないかの問題だ。多少文章が分かりにくくても、 トップの気持ちの伝わるものであればいい。そして、従業員に一生懸命に説明 をする。紙を回覧しただけで分かるなどと、ゆめゆめ思わないほうがいい。そ んなことで分かれば、今までとっくに出来ている。もっと素晴らしい企業に なっている。それが出来なかったから、まだ低迷したり、業績が思わしくない のだ。それなりの理由がある。 <いい習慣を年中行事化する> ●お盆の期間の過ごし方。年末年始の過ごし方。どこでトップは一人になって 会社の今後の方向性を決めるのか。そのために、常々どういう準備をして、ど ういうことを用意しておかないといけないのか。その当日に、社員が出てこな いからといって、会社に一人になっても、さあどうするんだということにな る。ご飯を食べるには、おコメを買っておいて、おコメをといで、食べる時間 の前に炊き上がっていないといけない。それが、さあ食べようかというとき に、米屋にコメを買いに行くようでは遅い。 ●何事も、準備段取りが不可欠だ。プロのすごい人を見ていると、平時から準 備ができている。そのためには、年中行事化することが必要だ。この時期に必 ずこういうことをする。それを決め込む。その習慣化されたことに対して、年 間を通じて準備をする。そして、大きくは3年後にこういう会社にしたい、い やするんだという意思を持つ。経営とは、トップの意思の表れであるから、そ の意思を決める時期を自分で設定する。毎日、毎日、そういう重要なことを連 続して考えているわけではない。 ●集中して、時間を区切ってやることが大事だ。集中すれば、深くなる。散漫 になれば、いい加減になる。いい加減に出した結論は、決してよくないことが 多い。トップの決心は、意思は、会社の将来を規定する。その重要なことを決 めるためには、少々の時間の投資を惜しんではいけない。その時間は、会社の 将来に決定的な要因を与える。せめて、年間に数回そういう時間を持つこと は、トップの義務だ。避けていては、いつまでも答えは出ない。一人になっ て、文字にしてみると見えてくるものだ。