□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第314回配信分2010年05月03日発行 業績のいい会社のトップの朝は早い 〜朝早く済ます日常のルーティンワーク〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●成岡も朝早くは強い方だが、業績の好調な会社の社長さんの朝は総じて早 い。よく、ビジネス雑誌に掲載されている社長さんの一日などを拝見すると、 びっくりするくらい早く始動している。先日も、全国区になった某カレー チェーン店の社長の一日が載っていたが、毎日4時起きだそうだ。とにかく誰 よりも早く会社に行って、その日のいろいろな雑事を片付けるという。これを 40年間くらいずっと続けてきた。とても真似はできないが、しかし努力すれば 行動は変えられる。性格は変えられないが。 ●成岡は朝に必ずランニングをすることを日課にしている。毎朝の仕事を始め る前のセットアップだ。いきなり会社に行っても、頭が始動していなければ、 なかなかトップの状態にすぐに持っていくのは難しい。なので、5時起床、40 分ほど(だいたい8km)ランニング。それからシャワーして、朝ごはんを食べ て、自転車で出勤となる。天候の加減にもよるが、だいたい7時前にはオフィ スに入れる。これから9時くらいまでの朝の2時間くらいが重要なのだ。この 2時間の過ごし方で、いろいろなことが一気に片付く。 ●だいたい、8時30分くらいを過ぎると外部からいろいろなメールが飛び込ん で来る。早いひとは電話もかかる。FAXも着信する。こちらから電話をかけ る。相手はいない。折り返しとなるとなかなか席を立てない。他の事ができな い。そういう状態にいったんなるとほとんど集中して仕事が片付かない。その うちに、午前中の約束のところに出かける準備に入る。そうこうしているうち に自社のスタッフが出勤してくる。用事が数倍に増殖して、なにやら多少混乱 してくる。持ち出す資料を間違うこともある。 <一人の時間を有効に使う> ●勉強のタイプに夜型、朝型というのがあったが、成岡は典型的な朝型。ラン ニングも一時夜に走ったこともあったが、やはり続かなかった。どうしても夜 は人と会う、会合に出る、そういう用事が多い。おっつけ終了後アルコールの お世話になることも多い。そうなると、とても夜は走れない。適度にアルコー ルが入ってランニングすると危ない。心臓に負担が多くかかる。なので、やは りランニングは早朝と決め込んだ。これは20年近く頑固にこだわっている。土 砂降りと大雪以外は必ず走る。出張のときも持参する。 ●何よりも、その後の一人の時間を有効に使うことだ。なので、オフィスに出 勤したあとの時間の使い方は、ほとんど毎日同じパターンにしている。これを 毎日いろいろと考えて、考えてやらないといけないのでは、非常にくたびれ る。最低1時間くらいはセットアップルーティンといって、仕事の手順を決め ておく。そこにこだわりを持つ。プロの手順とは永年の経験で、洗練されたも のになっているはずだ。一人の時間に集中して、ものを考える。材料を集め る。構想を練る。そこは一人で集中する。 ●材料を集め、構想を練り、コンセプトが固まれば、あとは料理と同じで決め たレシピに添って手順よく「作業」をすればいい。作業は環境さえ整えば、ど こでもできる。自分で運転していては難しいが、公共交通機関ならできる。成 岡は阪急とJRの移動の際に、この作業をする時間に充てる。座席に座れないと いけないが、大阪までの阪急の40分は貴重だ。原稿のひとつくらいは十分書け る。それくらいの材料を事前に揃えて、移動に臨む。そうすれば、移動の座席 は立派にオフィスに変身する。 <社長のDNAは必ず組織に浸透する> ●行き当たりばったりが一番まずい。出会い頭で仕事をしていると、まとまら ない。きちんとしたものができない。トップは一人でものを考える時間が絶対 必要なのだ。それまでに材料を集めるときは、みんなに協力してもらう。会議 も何回もやってもいい。しかし、最後に決断するのは自分なのだ。その結論を いろいろな人に確認することもいい。しかし、船頭は船に一人なのだ。複数い ると方向を間違う。指示が複数出ると、現場は混乱する。最後は、トップが決 断を下して、会社の進むべき行き先が決まる。 ●そのためには、雑事は雑事として、さっと片付けないといけない。メールの やりとりも昼間の忙しい時間帯では、なかなかできない。朝一番と、昼前くら いと、午後に1回くらい。最後はオフィスを離れる前くらいだろうか。それ以 外はほとんど見れないし、見られない。また、そういう時間の使い方をトップ がしていることを周囲に衆知させて、その時間帯に雑事が要領よく片付くよう に、前日から準備をしてもらう。朝せっかく早く行っても、書類を捜す時間に 消費していては本末転倒だ。周囲の協力も必要だ。 ●トップがそのような行動を徹底的にすると、当然のことながら周囲もそれに マッチするようになる。これは、必ずなる。そう信じることだ。逆にトップが やらないと、その下の組織は絶対と言っていいほどそうはならない。社長が朝 早く来る会社は、だいたいみんなが朝早く来るようになる。そのうちに絶対そ うなる。それが、企業文化であり、企業風土というものだ。そんな企業に、朝 早く来た時間の分を時間外で欲しいなどという社員は、まずいない。そういう 空気、風土が排除される。そうでないと、業績は上がらない。 <とにかく宣言して行動する> ●出張が多いトップならそうはいかないという理屈もある。しかし、昨今どこ のホテルに泊まってもインターネットの環境は整備されている。なので、メー ルの送受信くらい、世界中どこにいても可能だ。端末を持ち歩き、どんな場所 でも双方向の情報共有と交換はできる。空港の時間待ちでも、可能だ。要はや る気があるか、ないかだ。確かに成岡もいつも端末を持ち歩いているが、重た いと感じるときは多い。それに移動中の仕事の資料がある。特に、朝出かけて から、数件の案件が連続してある日などは、4件分くらいの紙の資料も持ち歩 く。 ●結構大変なのだが、慣れれば苦にならない。それと、データはUSBに抜いて 持ち歩く。あの数グラムのUSBに貴重な大量の情報が詰まっている。よく、数 日出張でメールの連絡がぷっつんする社長さんがいらっしゃるが、長時間外部 に出られるときには、かならず端末を携帯して欲しい。いまや、世界中で24時 間365日ビジネスは動きいている。外部との情報が数字も遮断していては、と ても仕事にならない。とにかく、トップがそういう行動をするんだということ を、内外に宣言する。 ●宣言すれば、否応なくやらざるを得ない。意思の弱い方には、ぜひこの「宣 言方法」をお薦めする。禁煙も周囲に宣言すればいい。自分ひとりひっそりや るから、途中で挫折する。トップの宣言は、会社の意思だからこれを途中で挫 折するわけには行かない。とにかくやるんだという意思が明確になれば、周囲 からも分かれば、会社の空気は確実に変わる。水は高きから低きに流れる。朝 早く、一人のオフィスで効率的にルーティンワークを片付ける。それから、会 社のトップとしての一日が始まる。そう、心がけるべきだ。