□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第315回配信分2010年05月10日発行 ガンの原因は遺伝ではなく生活習慣と環境 〜会社の業績の良し悪しも企業の生活習慣〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●先日といってもだいぶ以前になるが、日経新聞の04月25日の記事にアメリカ での膨大なガンの疫学調査の結果が記載されていた。問題意識としては、ガン は遺伝するのか?ということなのだが、アメリカで死亡した700万のデータを 集め、原因を分析した研究が発表された。それによると、原因のほとんどは生 活習慣と環境にあると断言できるようだ。従って、家系がガンの系統だとか、 両親やそのまた親にガンの系統がないから安心だというのは、どうも妄想に過 ぎないことが証明されたようだ。 ●ガンの原因のワースト9は次の通りだ。 (1)たばこ (2)野菜や果物の摂取不足 (3)塩分の取りすぎ (4) ウィルス (5)運動不足 (6)肥満 (7)アルコール (8)空気汚染  (9)医療行為として行われるレントゲン検査や薬剤の副作用 遺伝することが証明されているガンは全体の5%に過ぎないという。つまり、 ガンになるかならないかは、ライフスタイル=生活習慣によるということが、 ほとんど100%証明された。 ●ガン対策としては、早期発見早期治療が原則なのは言うまでもないが、この 上記の9つの原因を見ると、これは確かに明らかに生活習慣であることが分か る。というか、いかに現代人はこのガンになり易い環境に身を置いているかが わかる。仕事の環境や住宅の環境は、そう簡単に変えられるものではないかも しれないが、個人の生活習慣は心がけ次第で変えることはできるだろう。やる か、やらないかは本人次第だが、心がけと意思の強さで、かなりの部分は改善 されるのではなかろうか。 <それぞれの原因を解説すると> ●まず、たばこ。喫煙している人には申し訳ないが、嗜好品だからとやかく言 う筋合いはないが、やはり本人も含め周囲に与えるマイナスの影響は計り知れ ない。お酒はまだ多少プラス要因はあると思うが、たばこはまず百害あって一 利なし。即刻禁煙を始められたい。禁煙できないのは、意思の弱さの現われ。 次に、野菜や果物の摂取不足。野菜や果物に含まれる抗酸化物というガンを予 防する成分が足りなくなると、ガンは21%増加するという研究データが明らか にされた。 ●第3位は塩分の取りすぎ。日本を含む東アジア圏に胃がんが多いのは、この 塩分の取りすぎが原因という。ラーメンの最後の汁を全部飲むなどは論外。塩 分の摂取を減らすだけで、胃がんの14%を減らすことができるという研究成果 もあるくらいだ。第4位のがんウィルスの代表は肝臓ガンと子宮頸がん。がん 全体の1割を占める。第5位の運動不足。運動不足とガンは関係ないと思って いる方も多いが、大腸がん、乳がん、子宮ガン、肺がんなどは運動量が落ちる と増える。死亡原因の9%が運動不足。 ●第6位は肥満。肥満は解説は要らないだろう。メタボと同義語だ。第7位は アルコール。飲みすぎは一瞬にしてハイリスクのガン原因になる。口腔ガン、 食道がん、乳がんの原因になるという。第8位は空気感染。空中に漂う煙、ほ こり、スプレー噴霧などがすべて肺がんの原因になる。第9位は医療行為のレ ントゲンや薬物の副作用。これは少々原因のルーツが異なるので、今回は除外 して考えないといけない。以上見てきたように、ガンの原因はほとんどが本人 の生活習慣だ。決して遺伝ではない。 <会社の悪い生活習慣が業績悪化ガンの原因> ●このように見てくると、人間も会社もガンの原因は同じだ。まず、第1位の たばこだのように止めようとして止められない習慣はないか。社長がそういう 習慣だから、みんな目をつぶっていることはないか。ダメなものはダメとはっ きりするべきではないか。喫煙、食生活、運動不足、肥満、アルコールなどを 列挙されると、これらはすべて生活習慣だ。あと、これに睡眠、ストレスなど が加われば、これはもう立派に毎日の生活習慣そのものだ。10年、20年経つと これが全部ガンの原因になる。 ●昔は、成人病と言っていた時期がある。これを生活習慣病と言い方を変えた のは、そんなに昔ではないが、ガン以外の病気もその原因はほとんど生活習慣 病だ。振り返って、あなたの会社や企業、組織の生活習慣病は何か? 企業に お勤めの方なら1年に1回くらいは健康診断をして、医者の所見を一応は聞く 機会があるだろう。自由業や商売をしている方は、自主的に健康診断を受けな いといけない。なかなか足が医療機関に向かないが、やはり年に1回は受診し たほうがいい。 ●自分たちは気が付いていないが、他人や外部から見たら変だな、おかしいな ということが結構ある。それが企業の生活習慣病なのだ。時間を守らない。会 議の開始はいつも5分か10分遅れる。誰かが遅刻してくる。揃わない。みんな 待っている。職位が上位の人ほど遅れてくる。それがもう当然のことのように なっている。●●時間というニックネームが付くくらい、会議が定刻に始まら ないのが慢性化している。朝の朝礼も何となく揃わない。みんなだるい感じで メリハリがない。そんな朝礼は意味がない。 <トップの意識ひとつで生活習慣は変わる> ●肥満やアルコールの取りすぎ、運動不足なども日頃の心がけ次第だ。小生も アルコールは大好きで、タバコは何とか15年前に止めたが、アルコールは毎晩 お世話になっている。これは止められない。しかし、取りすぎはよくない。度 を越せば悪いのは分かっているが、どうしてもついオーバーになる。翌日もし んどいし、何もいいことはないが、どうもつい調子に乗ってしまう。肥満も運 動不足も、根本の原因は同じだ。運動不足と感じたら、地下鉄のエスカレー ターを止めて階段で上ることだ。 ●心がけひとつで随分と変わるものだ。小生も3階までは必ず階段で上がるよ うにしている。ただし、他人と一緒ではそこまで強制できない。阪急の梅田駅 の階段などは、相当大変だ。弊社オフィスに近い地下鉄の仏光寺側の階段は50 段以上あるが、これを少し早く2段飛ばしで上がると結構いい運動になる。何 も、毎日朝早く起きてやらなくても、少しの工夫でカバーできる。なるべく自 動車を使わない。荷物が少なく、天気がいいなら20分から30分あるくのは大し て苦にならない。 ●そんなトップの背中をみんな見ている。会社の業績の良し悪しは、トップの 会社での生活習慣で決まる。トップの生活習慣が悪いと、ルーズだと、必ず会 社もそうなる。そうなると悪い生活習慣に染まり、業績は悪化の一途を辿る。 生活習慣を変えるには、相当な決心と時間がかかる。しかし、ためらっていて はできない。気が付いたら、一歩でも足を前に出す。たとえ全員が反対して も、これだけは頑固にやり通すという気迫、気概が大切だ。病気とは「気」の 「病」と書くから、本人の意識と気持ちの持ちようで、劇的に変わる。