□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第329回配信分2010年08月16日発行 ONOFFの切替をはっきりする 〜やるときはやって、やらないときはやらない〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●先週号で8割の資料が要らないと書いたら、ある方からそれはショッキング だと返事をいただいた。8割とは保存して置いてある資料のうち、8割くらい は不要だという意味だった。だいたい、ロッカーやキャビネットに収納されて いる資料では、生きているのは2割で8割は特段必要ないと思える。もし、仮 に必要なら書いた人間に頼めば入手できるだろう。なので、これは誰が書いた か分からないし、入手不可能なものは取っておく。それ以外は、おそらく誰か に頼めば手にはいる。そういうものは捨てる。 ●どうしようと迷ったものは、捨てることにしている。ぱっと見た感覚で、要 るか要らないか、だいたい区別がつくものだ。過去にはその時点では必要で も、時間が経過すれば必要性が低くなる。そういうものは思い切って捨てる。 捨てる勇気が必要だ。いつまでも、未練たらしく引き出しに収納していても、 結局要らないことが多い。もしかしたら必要になるかもしれないというリスク は分かるが、そんなことを考えていたら、いつまで経っても捨てられない。そ れと、成岡のように度々転職したり移転したりしていると、そうなる。 ●特に、広いところから狭いところに移転した経験のある方は、整理と収納が うまい。狭いところから広いところしか引っ越していない人は、整理と片づけ が下手だ。何でも持って行こうとする。狭いところに移転するときは、半分以 上捨てていかないといけない。そういうことを経験していないと分からない。 移転と転職を数回経験すると分かる。嫁入り道具は、極力少ないほうがいい。 荷物は自然と増えていくものだ。嫁入り道具が多いと、そもそも置く場所がな い。探す時間ももったいない。合理的でない。 <休むときは休む> ●お盆休みの方も多いだろうから、あまり肩の凝る話しは良くないから、今回 は気楽な話題にした。このお盆休みはみなさんどうされただろうか。一日は整 理に充てて欲しいと書いたが、なかなか俗世の用事も多く、ままならない方が 多いようだ。それはそれで仕方ない。お墓参りも必要だろうし、田舎に行くこ とも要るだろう。それはそれで仕方ない。割りきりが肝心だ。そういうときに は、ビジネスをあまり引きずらないほうがいい。休むときは休むと、気持ちを しっかり切替えた方が、身体にもいい。 ●休養は必要なのだ。睡眠も休養のひとつだが、本当に頭を解放して、日常の ストレスから開放することも必要だ。総理大臣でも軽井沢に休養に行くのだ。 経営者の方が、しばしリラックスすることは悪いことではない。問題はその方 法、やり方だろう。何となくけじめのつかない休み方より、はっきり休むなら 完全に休養したほうがいい。そして、日頃できなかったまとまった時間で、や りたいことをやればいい。読書でも、音楽鑑賞でも、植木の手入れでも、ゴル フでも。とにかく自分が納得できる方法で休養する。 ●海外の人は、こういう休みの取り方が非常に明確だし、ある意味上手だ。過 去からの歴史的な経過や国民性にもよるだろうが、そもそも人間は働くことと 休むことのバランスをうまく取らないといけない。それがどうも日本人は下手 らしい。とにかく時間を長く、結構だらだらと長く働く習慣がある。労働時間 が長いというのが、非常に評価された時代があった。いや、いまでもそうかも しれないが。時間と付加価値の生産性は、必ずしも比例しない。むしろ、長い 時間働くと、一定の時間以降は低下する。 <生産性の低い人は切替がうまくない> ●用事がさほどないのに、何となく会社に残るという悪しき習慣がある。社長 が帰らないから帰れないという組織もある。上司が仕事しているのに、部下が 帰りづらいというのも、よくある話しだ。そういう企業や組織は、えてして生 産性が高くないだろう。短時間に集中的にやれば、生産性は上がるものだ。そ れが、なかなか集中できない。無駄な時間が多い。段取りが悪い。ものを探し ている時間が長い。準備に手間取る。必要なものが決まった場所にない。勝手 にいろいろことが行われている。 ●手際がいい人の仕事の段取りには、学ぶべきことが多い。その人なりの手順 やノウハウがある。こだわりがある。そういう人は、休みもうまく取る。計画 的に仕事が進む。だから休みを取るのもできるのだ。出会い頭の仕事の仕方を していると、計画的に休みも取れない。製造業では、一年間の年間休日カレン ダーを作って、事前に休日を設定している。ホワイトカラーの事務職系の方々 は、割とそういうことがうまくない。まあ、工場のように時間単位でできない 仕事も多いから、仕方ない面もある。 ●特に、営業系の方々は、休みを取るのが難しいという。しかし、果たしてそ うだろうか。確かに顧客最優先というのは分かるが、365日24時間態勢で、い つもスタンバイしていないといけないわけではない。消防や警察ではあるまい し、それが不可能なことは顧客も理解できるだろう。納期の関係で休むのが難 しいかもしれないが、それは日頃の段取りが悪いからだ。先の先を読んで、準 備8割当日2割の精神で、日常の仕事をやっておけば、そんなにばたばたしな くてもいいはずだ。切替がうまくないからだ。 <ONOFFの切替をはっきりする> ●会議でもそうだが、終わりの時刻を設定して会議はするものだ。2時間と決 めれば、2時間で終わる。社長が一人で長い演説を始めたら、2時間で終わら ない。結局社長の独演会で終わる会議が多い。切替がうまくないことは、生産 性の低下を招く。大勢で会議をして、生産性が上がらなかったら、非常に大き なコストの損失になる。祇園で一杯飲んだくらいでは済まない。だいたい、会 議は2時間以内、理想的には1時間半くらいがちょうどいい。それ以上長い時 間の会議は、疲れるだけだ。 ●日頃からONOFFの切替の下手な会社ほど、会議の時間が長い。これはすべて の仕事の段取りに言える事だ。朝礼も、何が目的の朝礼か分からないまま、15 分、20分と経過する。それも、始業時刻を過ぎてから朝礼が始まる。そして トップは顧客第一とスローガンを掲げる。始業時刻を過ぎてやっている朝礼 が、どうして顧客第一になるのだろうか。しかし、それを指摘するとうちは ずっとこれで今までやってきたからと、当然のごとく思い込んでいる。頭の切 替ができていない。 ●まずは、トップが率先してONOFFの切替を明確にして、何事にもけじめをつ けることだ。逆説的に言えば、うまく休む人は生産性も高いはずだ。休みをう まく活用できない人は、休みの翌日にもその後遺症を引きずる。月曜日の生産 性が悪いとか、月曜日によくトラブルや事故が起こるとか、月曜日一番の段取 りが悪い企業は、この切替がうまくいっていない。OFFモードからONモードへ の切替をどうやってスムースに行うのか。これがきちんとできている会社は、 業績も必然的にいいはずだ。