□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第348回配信分2010年12月27日発行 2010年最終配信のご挨拶 〜来年も頑張ろうのエールをこめて〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●2010年最後の配信号となった。この1年間52回何とか毎週の配信はキープで きた。毎週はやってみるとなかなか大変な作業だ。日曜日の午前中に配信する ことを原則にしている。それで、ほとんどの方には月曜日朝一番に開いたとき に着信しているという風になっている。この月曜日一番に着信しているという ことが大事だと思っている。月曜日の配信だから、月曜日何時でも月曜日だと いう理屈はあるが、それは屁理屈というものだ。どうせやるなら朝一番に着い ているのがいい。 ●いいのは分かっているが、さりとて日曜日も色々と用事や都合がある。早く に移動したり、午前中どうしても外せない用事や会議もある。最近めったにゴ ルフには行かないが、以前はそういうこともあった。出張があって現地のホテ ルに泊まっていると大変だ。必ずしも毎週毎週同じ環境ではないから、これを コンスタントに行うのは、結構難しい。まして、書き溜めておくなどという芸 当は、あまり得意ではない。時節柄のテーマも入れる必要がある。 ●かくして、土曜日に少しイントロまでは書いておかないと、全く白紙の状態 で日曜日の朝を迎えると、時間との戦いになってしまう。そうなると、時間に 追われるから、なかなかいい内容のものは書けない。焦れど、焦れど、気持ち が焦るだけで、なかなか筆は進まない。いや、キーボードは滑らかに打てな い。ここ2年くらいは、出来るだけ土曜日に時間がある限り書いておくように している。半分くらい書いておくと、非常に楽だ。楽をしようとは思わない が、品質を維持することが大事だ。 <2010年は回復期待も実現せず> ●2009年は一昨年のリーマン大ショックが大きく尾を引いて、非常に暗いイ メージで終わった。そして2010年は回復期待もあり、政権も変わり、期待値は 高かった。確かにいろいろな施策の効果もあり、また、アジア圏の活性化の好 影響もあり、一部の業種、業界では非常に好調な業績が達成できたところもあ る。事実、設備投資も活発で、忙しい会社も見てきた。しかし、それはほんの 一部の特定の業種であり、成岡の周囲ではまだまだ青息吐息のところがほとん どだ。 ●それは、社会全体が成長軌道に乗っていないからだ。そもそもの仕組みが旧 態依然としたまま、何とかしないといけないから、傷口に絆創膏を張って、と りあえずの辻褄あわせをしただけだ。基本の構造が何も変わっていないから、 効果があっても全体に与える影響は非常に少ないし、軽微なものになってしま う。事実、やはり企業の海外進出は止まらず、成岡の知っている企業でもどん どんアジア経済圏に進出していった。もう、この流れは止まりそうにない。 ●大学を卒業して就職した大手繊維メーカーで従事したポリエステル製造事業 も、日本での製造に終止符が打たれた。愛知県豊橋市の製造プラントが稼動停 止になり、他の生産設備に転用するか、廃棄になる。事業は、東アジアの某国 での製造に移転することとなった。30年前に後進国と思っていた技術指導に派 遣された国で、立派に製造ができるようになった。もう、日本国内では太刀打 ちできない。これで国内景気が回復するはずがない。 <雇用環境が依然厳しい> ●大学生の就職が難しい。内定が出ない学生が大勢いて、就職浪人が溢れてい る。正月も返上で就職活動に走り回る学生もいるという。本人にしてみれば、 とても正月どころではない。中小企業は優秀な新卒の採用チャンスだが、中小 企業で新卒をきちんと一定人数採用できる企業は、まだ少ない。チャンスだが 指をくわえて見ているしかない。現状の足元の経営状態が厳しいのに、新卒採 用などのんびりしたことは言っている場合ではないというのが本音だろう。 ●昇給もそんなに業績が良くないから、大盤振る舞いはできない。ごく僅かの 昇給しかできないのが現実だろう。賞与は業績の上下で調整できるが、昇給は ずっと尾を引くからおいそれとはできない。かくして、給料は上がらない、学 生は仕事がないという状態が解消できない。法人税が5%下がったから、簡単 に雇用環境が改善されるとは思えない。内部留保が激増するとは思えないが、 小出しにすると効果が薄い。お金を出すのはタイミングが要る。恐る恐るだか ら効果が少ない。 ●雇用を拡大するというのは、事業が発展するからだ。昔は事業が発展する と、必ず雇用者が増加した。工場も増設され、支店も増え、営業社員も増員す るから、雇用者が増えたのだ。ところが、最近は事業が発展拡大しても、日本 国内の雇用者は増えない。中国からの留学生がそのまま新卒採用で増加して も、日本人の新卒学生を採用する企業は一向に増えない。工場は海外に新設さ れ、日本国内に増えない。成岡の長男の在籍する企業も、天津に新工場を建設 中で、海外に赴任して戻ってこない。 <政治をあてにせず自力で頑張る> ●民主党も政権を取ってみて、初めて厳しい環境が理解できた。つい最近閣議 決定された来年度予算もそんなに大きな経済効果を生むとは思えない。自民党 に変わったら何とかなるというものでもないだろう。構造的な課題が何ら解決 していないから、どこがやっても大同小異だろう。夢も希望もないように思え るが、しかし、そうは言っても自分の企業は生き残らないといけない。地域経 済にも貢献しているし、従業員の生活の安定も経営者の義務だ。 ●苦しい環境だろうが、他の企業もすべて同じだ。何もあなたの企業だけが苦 しいのではない。しかし、過去もずいぶん苦しい状況を克服してきた。オイル ショック、ニクソンショック、バブル崩壊などパニックになりそうな状況を克 服してきた。言えることは、決して過去のいい時代にはもう戻らないと覚悟す ることだ。まず、この前提から出発することだ。いつかは、また暖かい春が来 ると思ってはいけない。7割の売上で利益の出る体質に転換することだ。い や、業種によっては5割かもしれない。 ●日本企業の平均的な損益分岐点は80%だから、7割になると従来の方式では 確実に営業赤字になるだろう。さあ、そこで何とか知恵を出さないといけな い。知恵を出して、やり方を変えて、実行して、結果を出さないといけない。 たいそうに考えるより、少しでも改革できるところはないか、毎日毎日苦しん で考えることだ。人間苦しいと知恵が出るものだ。改善より改革に取り組む。 やりかたを変える、方法を変える、基本的なところに手をつける。必ず出来る と信じてやることだ。自力で頑張る企業には光が差し込むはずだ。