□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第353回配信分2011年01月31日発行 京都でものづくりして東京で発信する 〜成功裏に終わった東京ビッグサイト出展〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●ここ数ヶ月かかわり出した「京都カーボンテキスタイルプロジェクト」。そ のプロジェクトの初のお披露目とでもいうべきか、東京ビッグサイトでのIFF のイベントに3日間ブースでの出展を行った。26日(水)〜28日(金)の3日 間、東京ビッグサイトの1階と4階の展示場での開催だった。当方のブースは 1階のC-511ブース。小さなブースだったが、赤と黒との色の配合が絶妙で、 狭かったにも関わらず非常に目立った、目を引いたブースだった。 ●小生は、27日(木)の2日目の午後からと3日目の金曜日終日ブースに張り 付いた。当初、初めての出展でもあるし、どれくらいの反応がありどれくらい の来場者が見込めるか、正直そんなに自信があったわけではなかった。場合に よっては、大きな空振りに終わるかもしれないとの覚悟もあったくらいだ。と にかく、西陣織の技術の活かした炭素繊維の織物、それを活かしていろいろな バッグ、名刺入れ、はては紳士靴まで展示した。生地の見本織りは8種類用意 した。 ●前日の25日(火)に先発隊の方が入ってブースの設営をしてもらった。その 機材やサンプル、その他いろいろなものを準備するだけで関係者の方々は大変 だった。なにせプロジェクトだから寄り合い所帯なので、いろいろなことが起 こる。今回もサンプルの生地の小片(ピース)を送ったはずなのに、どこかに 紛れてなくなった。また、これでてんてこ舞い。どうしてもこういうイベント は、ハプニングやトラブルは付き物だ。それは覚悟しておかないといけない。 <初日の情報ではかなりいけそうだと> ●3日間の初日は先発隊のスタッフに数名が当日合流していただいた。そし て、初日のレポートがその晩早速メンバーに配信される。本当にこの情報社会 のすごさはこういうところで遺憾なく発揮される。その夜に、既に初日の情報 がメンバー全員に共有化されている。それによると、狭いブースでありなが ら、非常に来場者が想像以上に多く、結構忙しい初日であったということだっ た。これは、望外の成果で非常に翌日からに向けて元気をもらった。 ●2日目の午後から小生はブースに張り付いた。木曜日の午後ということでも あったのが影響したのか、しばしの中断はあるものの、結構人目を引くブース でもあり、展示している製品、商品の目新しさからか、ブースへの来場者が絶 えない。不思議なもので、一人二人と立ち止まって見てくれると、それにつら れて次から次へと他の来場者が立ち止まる。なるほど、繁昌して店の前に客が 並びだすと、自然にお客さんは増えるものだと実感した。 ●小生も以前に在籍していた出版社で何度となく美術品の展示販売などを行っ た。デパートの催事場を借りて終日立って販売をしたこともあるが、全く売れ なかったということも、ままあった。そのときの消耗たるや大変なものだ。売 上がなかったという落胆より、お客さんが来てくれないこの暇な時間が非常に 苦痛なのだ。しかも、終日立ちっぱなしという条件で。適当に忙しいと、非常 に時間の経つのが早い。暇なときは、時間が全く止まってしまう。 <真剣な方は30分くらい話し込む> ●百貨店のバイヤーさん、生地のメーカー、カバンのメーカー、デザイン会社 の担当者、インテリアデザイナーなど、それは多くの業種、職種の方に来場い ただいた。面談の記録はさっと簡単にレポートすることに取り決めていたが、 2人3人と連続して面談すると、最初の会話の内容が薄れてくる。なかなか思 い出せない。身なり風采に特徴のあった方は比較的記憶できているが、そうで ない場合は乏しい記憶から蘇らせないといけない。 ●さすが東京だと思ったのは、京都では考えられないくらいの数の来場者が あったこと。想定外の職種の方からの反応、そして対象が東京、首都圏を飛び 越えて世界が市場だという反応。こういう空気は、なかなか京都では感じられ ない。いまやインターネットが発達したから、世界中のどこでも情報はゲット できる。しかし、ビジネスは最後は人と人とのつながりだ。だから、こういう 場でフェースツーフェースでビジネスの会話ができると、また全然イメージが 違ってくる。 ●その場でいきなり商談に近い内容まで突っ込んでお話しいただいた方も結構 いらっしゃった。先方も真剣だし、当方も一生懸命対応する。狭いブースだか ら2名から3名くらい中でたまると、非常に混雑した感じがする。それが効果 的だったのか、また新しい来場者の方が寄っていただく。中には初日に来てい ただいて、これは面白いと評価いただいた。そして2日目もまた別の方を連れ ての来場。そして、最終日にもまた来ていただいた方もあった。本当にありが たいことだ。 <京都発ものづくりで東京で発信> ●今回のプロジェクトは、京都の数社の企業の連合艦隊。それを京都市の財団 や色々な方が支援いただいている。国の経済産業省のお墨付きをいただいたプ ロジェクトでもある。京都という土地柄自体がブランドなのだから、これは今 回の大きなポイントなのだ。これを強調して、伝統産業と新素材のコラボレー ションによる新しい素材開発、新しい用途開発の結果、一定のビジネス、事業 にすることが目的なのだ。なので、みんな真剣そのもの。 ●京都の伝統のものづくり技術。特に今回は伝統産業である西陣織の製造技術 を駆使し、新しい炭素繊維という注目の素材を活用し、新しい付加価値を創造 することが主目的だ。しかし、きちんとビジネスモデルにしないといけない。 ビジネスモデルとは、ひらたく言えば「もうかる仕組み」だ。もうかるとは 少々音感が悪いが、事業としてきちんと成り立つことだ。成岡達のよく使うフ レーズでは「事業性がある」ということだ。心配していたが、これは十分クリ アーできた。 ●ものづくりはブランドを活かして京都で。伝統産業の技術を駆使して、高付 加価値の商品を開発する。そして東京から全国へ、いや世界に発信することが できそうだ。いままで関係者が苦労してようやくここまで来た。ここまで来た からには、これからは東京を中心に情報発信が重要だ。残念ながら市場の規 模、変化のスピード、ボリューム、情報の集積など、逆立ちしても勝てない。 ならば、京都発ものづくり、東京発情報発信でいいではないか。2日間立って 見て感じた結論は、これだった。 ※プロジェクトの詳細は下記のURLにてご覧いただけます http://kyoto-carbontextile.com/