□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第354回配信分2011年02月07日発行 見えない次の一手をどうするか 〜小さな予期せぬ成功の連続を積み上げる〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●「予期せぬ成功を続けなさい」とは、かの有名な亡くなったドラッカー教授 の名言なのだ。この「予期せぬ」という偶然に似た状況での成功を、どうやっ て「予期せぬ」から「予期された」成功に結びつけるのか。それが最大の経営 の課題なのだ。そんなことの答えが簡単に分かったら、教えて欲しいくらい だ。みんな、それが分からないから、右往左往しているのだ。試験の答案が事 前に分かっていて、試験を受けるみたいなものだ。そんな簡単なことなら、誰 もが成功する。 ●日本には企業というものが数百万社、200万から300万社あって、東証一部に 上場している企業は3,000社なのだ。その確率たるや1000分の1なのだ。つま り、0.1%。千社に一社が上場できた計算になる。厳密な計算は別にして、だ いたいそれくらいの確率と思っていたほうがいい。ということは、社長が1000 人いて、上場できる社長は1人なのだ。それくらい、企業の成長には高い関門 とハードルが待ち受けている。ならば、やってやろうじゃないかと思う人は偉 い。 ●大きな上場という成功はステージが違うが、経営の現場で日々行われている ことは、もっと小さなできごとだ。初めての得意先の開拓。新商品の発売。新 しい社員の採用と教育。金融機関への融資の申込。特許の申請などなど・・・ ・。これが毎日の経営の業務なのだ。ここには、3年先、5年先の中期計画も なければ、経営理念の再構築もない。あるのは、日々の毎日の業務が円滑に、 かつ、順調に行われているということが大事なのだ。継続が経営の最大のテー マだ。 <小さな成功を積み上げる> ●失礼ながら中小企業でいきなり大きなビッグチャンスをものにして、全国区 になった事例はあるだろうが、そんなに多くはない。むしろ、探すほうが困難 だろう。だから、成功の鍵は小さな成功体験の継続なのだ。小さなというのは 規模でも、金額でも、人数でも、なんでもいい。とにかく、それを継続でき る、継続する仕組み、体制、組織、風土、空気などを醸成することだ。一発逆 転満塁ホームランを狙うのではなく、間違いない方向でコツコツ成功を積み上 げる。 ●当初は小さくてもいい。しかし、ちりも積もれば何とやらで、3年間辛抱し て続ければ結果意外と大きな果実がゲットできる。まして、5年間続ければ もっと大きな結果が期待できる。大事なことは、方向性が間違っていないこ と、トップの信念がそこにあること、諦めないで継続すること、成功するまで 続けること、だろう。それができるような、会社の体力、時間的な余裕、金銭 的な支援、人材の活用など、要素は山のごとくある。一番大事なのは成功する まで継続することだ。 ●人間誰しも途中で諦めたくなる。うまくいかないと、投げやりになる。出口 が見えないと我慢の限界に来る。そんなときには、思い切り愚痴を誰かに聞い てもらう。人に愚痴を聞いてもらうと楽になるものだ。社長は、トップは社外 に愚痴を聞いてもらえる存在を持つべきだ。くれぐれも、ゆめゆめ社内で愚痴 らないことだ。社長の社内での愚痴は最悪だから。社員は黙って聞いている が、腹の中ではその社長をとことん馬鹿にしている。そして、すぐに辞める。 <遠い未来は見にくいが近いところは見える> ●会社というものは足元が見えないものだ。また、自分の会社ほど足元が見え ない。いやいや、そんなことはない。自分が一番よく会社のことを分かってい ると自負しているトップの方は、気をつけたほうがいい。意外と現在の真の姿 は見えないものだ。真の姿は、外部からは意外とよく見えるものだ。血液検 査、レントゲン、NMR、CT、エコーなどの検査をしてみると、意外な患部が浮 かび上がる。ガンが見つかることもある。そんなものだと思うことだ。 ●近い見えるところで、その方向を間違わず、小さな成功体験を積み重ねる。 成功するということは、もちろんその企業の努力もあるが、世間様が結果を評 価して認めたということだ。だから、売上が立ち、代金が振り込まれ、利益が 上がる。認められなければ上がらない。売上がジリ貧という企業は、事業の価 値が世間で認められなくなったということだと、真摯に受け止めたほうがい い。それを他人のせいにするから、話しがおかしくなる。謙虚な社長ほど立ち 直りは早い。 ●大事なことは方向性がずれていないことだ。世間はこちらの方向に進んでい るのに、自分が気に入らないだけで、少しずれた方に走ってしまう。単にそれ は社長が気に入らないだけだ。過去の成功体験に合っていないだけだ。思い込 みや先入観に邪魔されて、受け入れられないだけだ。もしかしたら、社内で社 長だけが浮いているかもしれない。社員や幹部はみんな気が付いている。しか し、裸の王様になったトップは、意外と現在の状況が分からない。そんなもの だ。 <遠くを見ながら目先の小さな成功を積み上げる> ●本当のプロのゴルファーは、グリーンのどこにオンさせるかを先に計算して から第一打のティーショットを打つ。我々アマチュアはとにかく真っ直ぐ前に 飛べば上出来だ。そこに大きな違いがある。計算して、少しでもベストの位置 に落とそうと打った打球と、とりあえず真っ直ぐ飛べばいいと打った打球は、 結果は同じでも内容に雲泥の差がある。なので、打つときはやはり遠くを見て から打たないといけない。遠くの目標をしっかりイメージすることだ。 ●そして、一打一打確実にいい打球を積み上げる。我々アマがパーを取れるの は、4打全部が完璧でないと取れない。完璧でなくてもいいが、目先の一打一 打の成功を積み重ねる。それが最終的にいいスコアで上がれる一番のポイント なのだ。いまの時代、確かに遠くの目標は決めにくい。何が起こるかわからな い。天候の不順も多い。しかし、だからといって何もしなければ、衰退しか 待っていない。過去の高度成長時代のように、みんなが一緒に上昇気流に乗っ た時代ではない。 ●では、不確実な未来に向けてどうすればいいのか。未来は不確実だから、3 年先くらいの少し遠くを見て目先目先の小さな成功体験を積み上げる。業績が 悪くなると、一発逆転を考えるが、いまの時代それは非常に難しいと思うべき だ。それより、予期せぬ小さな成功をどうやって継続できるか。なぜ、予期せ ぬ成功があったのか。その背景、理由、原因をとことん突き詰めて考える。お のずと見えるものが変わってくる。それくらい真剣に悩み、考えると、出口が おぼろげに見えてくる。