□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第369回配信分2011年05月23日発行 家電店・酒販店生き残り大作戦 〜昔ながらのお店は生き残れるか?〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●最近、07月からの地デジ対応で、まずオフィスのテレビを更新した。どれく らい値段が違うものかと思い、量販店のチラシを数種類ゲットして比較してみ た。また、昔ながらの住宅地のど真ん中にある実家と永年懇意の某メーカー家 電店からも見積りを取ってみた。なるほど、いろいろなことが何となく理解で きた。今後、街中のお店の生き残りは本当に厳しいものだと実感した。今回は そのお話しを。また、同様に永年懇意にしている酒屋さんの宅配新作戦も参考 になった。 ●京都市内も京都駅前に大型の家電量販店が2軒出店し、業界地図は様変わ り。また、その少し前に京都駅の南にこれも関西資本の大型の量販店がオープ ンした。京都駅近辺に3軒の量販店が開店し、従来家電街であった寺町は、い までは見る影もない。少し前に寺町を歩いてみたが、大半の家電店は閉店し、 飲食のお店になっていた。数件の家電店は残っていたが、お客さんはほとんど 入っていない。おそらく、数年内にはほとんどの家電店が廃業か閉店されるの ではなかろうか。 ●15年前に成岡が始めて会社で本格的にIT化を始めたときに、まずは寺町のJ 店に行って、当時のデスクトップパソコンを買った。たしか、15インチのブラ ウン管で、本体とモニターで40万円近かったのを覚えている。それと、重かっ たこととかさばったこと。車の後部座席に入らなかったので、ライトバンで買 いに行った。そして、会社の2階に持ち上げるのも一苦労だった。その寺町 が、いまや見る影もない。、京都駅周辺の量販店の賑わいとは対照的だ。商売 の悲哀を感じる光景だ。 <地域密着家電店のどぶ板作戦> ●成岡の実家は京都市の北区の住宅街。古い住宅が立ち並び、住民もどんどん 高齢化している。東隣の家は、とうとう高齢のご主人が亡くなり、いまや空き 家になった。西隣の家は、某有名な会社の経営者の方の実家だが、ここも数年 前から空き家になっている。両隣が空き家で、物騒なことこのうえない。さ て、85歳の母の一人住まいでは、蛍光灯がひとつ切れても変えられない。先日 は、ブレーカーが飛んだけど、天井に近いところにあるブレーカーに脚立に乗 れないから届かない。 ●かくて、蛍光灯1本変えるにも、電気店の若い人に来てもらわないと変えら れない。ちょっとしたことでも、難しい。電気関係のトラブルは、いますぐに 直さないといけない。かくて、近くのお店のお世話になる。電話1本ですぐに 飛んで来てくれるのが、非常に有難い。また、そうでないと暮らせない。非常 に頼りになる存在が近くの電気屋さんなのだ。何でもありで、何でもやってく れる。ちょっと電気と関係ないことでも、用事をしてくれる。かくて、テレビ の買い替えやエアコンの買い替えはご用達となる。 ●少々高くても、そんなことではびくともしない。量販店で買えば、32インチ のテレビが32,000円くらいの超安値のものが、搬入、据付、調整、引き取りど 全部込みだと、おおよそ倍くらいの金額に見積もりはなった。これではダメだ と思ったが、これで商売が成り立つユーザーもある。市場とはそんなこのだろ う。すべてのお客さんが量販店に車を運転して行って、自分で持ち帰って、自 分でセットして、古い重たいテレビをまた引き取ってもらうことなど、できな い。そんなお客さんばかりではない。 <酒販店の徹底コンパクト作戦> ●3kmほど離れたところに、もう50年以上お付き合いしている酒屋さんがあ る。ここのお店は非常に狭い。昔から、お店を大きくしようという発想がな い。実際のお店は狭くていいのだという哲学が感じられるくらい、手狭だ。し かし、このお店のカタログ通販、宅配は非常に素晴らしい。手作りのチラシが 毎週配られる。それも、若い奥さんが実際自分で作って、自分で編集して、自 分で印刷している。商品の配達に合わせてポストに入れていく。そのまた掲載 している商品がバラエティーに富んでいる。 ●酒屋さんだからお酒ばかりではない。むしろお酒の広告は少ない。ビールや 日本酒を掲載しても、値段との競争になるとこれも量販店との競争では勝てな い。近所に大手資本の量販店が進出してきている。戸建の住宅にお住まいの方 は、量販店にお酒やビールを買いに行かれる。また、数年前に法改正があっ て、一般のスーパーやコンビニでもアルコールが扱えるようになった。こうな ると、便利で安いところに注文が流れるのは必然だ。しかし、この環境におい ても俄然このお店は異彩を放っている。 ●まず、お酒以外の商品の品揃えが素晴らしい。住宅地の特性、地域の特性を よく考えて構成してある。もしかしたら、チラシの配達先に応じて、チラシの 構成内容を変えているかもしれない。高齢者の一人暮らしの家、若い人と同居 している家、お仕事が労働者風なのか、ホワイトカラーなのか、それによって も異なる。さすがに、そこまで細かくないかもしれないが、食べ物が分かると 家族構成も分かるだろう。そんな細かいマネジメントがこれからは必要なの だ。 <生き残るには変わること> ●よく講演でお話しするが、恐竜はなぜ滅亡したのか。地球の天候の異変、変 化に適応できなかった。ずうたいが大きいから生き残れたわけではない。むし ろ大きいことが足かせだった。機敏に適応、対応できなかった。それは、会社 の経営にも同じ。環境の変化に機敏に適応できないといけない。この機敏にと いうのが、なかなか難しい。あまりに早く急いでやると、状況を見誤り失敗す る。あまり時間をかけていると、周囲に先を越される。その微妙なタイミング を見て、果敢に打って出る。勇気もいる。 ●しかし、原則は巧遅より拙速だ。ビジネスはやってみないとわからないこと が多くある。机上のプランでは分からないことが多くある。確かに、きちんと シュミレーションはしないといけない。しかし、条件を完璧に想定しても実際 に現実に起こることは違う。そこで、どうするかだ。こんなことは事前に考え ていなかったことが、多く起こる。そこで、おたおたせずに、じっくり考えて 果敢に行動する。やってみて、反省して、改善して、また前に進む。日常の PDCAサイクルなのだ。難しく考えないほうがいい。 ●地域密着の家電店も、酒屋さんも生き残りに必死に知恵を絞っている。規模 の大小に関係ない。これからの難しい時代に、今までと同じようにやっていた のでは生き残れない。座していれば死を待つのみ。一説によれば、何もマーケ ティング活動をしないと16%くらい売上、受注が減るという説がある。本当か どうか分からないが、生き残るには変わることだ。それも闇雲に変わることで はない。地域の特性をよく考え、地元に密着した商売に徹することだ。真剣に 悩めば、自ずと答えはおぼろげに見えてくる。