□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第370回配信分2011年05月30日発行 サマータイムや輪番休日の実施が現実に 〜あなたのビジネスに影響必至!〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●数回以前にサマータイムのお話しを書いたと思うが、実際にいくつかの企業 では今年の夏の節電対策で、実際にサマータイムを導入しているという新聞記 事が先日掲載されていた。時間を1時間早めるのだから、いまの朝6時が5時 になる。夕方の17時が16時になる。今から夏至に向かって一番明け方が早くな り、日没が遅くなるから、昼の時間が長くなる。そこを利用して時計を一斉に 1時間早めるのがサマータイムだ。ヨーロッパではかなり以前から実施されて いる制度だ。成岡も1980年に海外に行ったときに体験した。 ●そのときは、10月だったから逆に時間を1時間戻すことを経験した。確か10 月10日だったと記憶しているが、一斉に各国が時間を1時間遅らせた。あらゆ るシステムがそれに追随して、列車の時刻も、飛行機の離着陸も、すべての時 刻が一斉に変わるのは非常に驚きだった。果たしてどういう効果があるのか、 よく分からなかったが、ヨーロッパは基本的に緯度が高いから夏になるべく長 い時間太陽に当たることが健康に重要との意識があるのだろう。特に北欧では 限られた日照時間だから、夏の日光を大事にする。 ●さて、既に今年の夏の節電を見越して早々とサマータイムを導入している企 業がいくつかある。始業を1時間早めているわけだ。終業も1時間早めるか ら、17時30分に終業の会社は、サマータイムを導入すると16時30分に終わるこ とになる。実際にそれで直ぐに帰れるかといえば無理だろうが、退社が1時間 早くなることは間違いない。退社してからの時間が1時間長いから、それは有 効に使えば非常に意味がある。また、帰りに一杯ビールを飲んで帰る癖のある 人は、まだ明るいから飲みに行かなくなる。 <輪番休日の実施> ●果たしてどれくらい節電の効果があるか定量的に予測するのは難しいが、間 接的な効果はあるようだ。何より出勤が1時間早くなる。電車は空いている し、何より都会では通勤が楽だ。電車で座れるし本も読める。語学の勉強もで きる。体力的にも消耗が少ない。確かに1時間早く起きるには、夜の就寝も早 くなる。おっつけ夜更かしもしない。酒量も減るだろう。健康には非常にいい かもしれない。得意先にも自慢すればいい。先進的な試みをやっていますと。 ご協力くださいと言えば理解できるのではないか。 ●自動車産業全体が輪番休日を実施する。平日の木曜日、金曜日を休みにして 電力の余裕のある土曜日、日曜日に稼動する。24時間365日の連続操業ではな いから、こういうことが可能なのだ。さて、こうなるといろいろなことが変 わってくる。自動車産業は非常に裾野が広いから、対象になる直接の人数だけ でも200万人と言われているが、実際に影響を受ける人は、もっともっと多い はずだ。平日が休みになり、週末の休日に稼動する。学校も、スーパーも、鉄 道も、何もかもが影響を大なり小なり受けるだろう。 ●部品を納品している一次下請け、二次下請け、三次下請け企業にまで大きな 影響が及ぶことは必至だ。また、部品を流通するための運輸業、倉庫業なども 影響は大きい。派遣会社、企業周辺のお店、ホテル、デパートなどにまで影響 は及ぶだろう。これをけしからん、東電が悪いと言うのは簡単だ。しかし、こ れは必ず起こることだ。怒っていても仕方ない。ある企業では、既に着々とこ の輪番休業に対して準備を始めている。早く始めるに越したことはない。のん びり構えていてはビジネスチャンスを逃す。 <いろいろなビジネスモデルが変わる> ●保育園、幼稚園、学校、学習塾も変わるだろう。ビアガーデンも影響は必至 だ。居酒屋、周辺の食べ物や、飲食店、社内食堂の業者、そこに食材を卸して いる企業、その物流業者・・・・、などなど枚挙に暇ない。どうビジネスモデ ルが変わるか、なかなか予測が難しい。そんなに影響がないという人もいれ ば、大きな影響が出ると言う人もいる。やってみないとわからないが、準備は 抜かりなくやりたい。これをプラスにどう考えるかだ。ビジネスチャンスとと らえればいい。 ●その昔、アフリカに飛行機で降り立った靴メーカーの二人の営業社員の話し は有名だ。一人の営業社員はアフリカ原住民がみな裸足で歩いているのを見 て、これはあかん直ぐに帰ろうと思ったそうだ。もう一人の営業社員は、全員 が裸足なのを見て、狂喜乱舞して本社に至急電報を打ち、工場の大増産を指示 したという。これくらい考え方に差があるものなのだ。その後この話しはどう 展開したか知らないが、未知のものへ挑戦すると考えるか、保守的に考える か、大きな差が生まれる。 ●スポーツクラブは平日会員が増える。ゴルフ場も前向きに考えている。旅行 業界、ホテル、旅館、タクシー、駅前のみやげ物屋・・・、などなど直接間接 はあるが大きな影響があるだろう。前代未聞の節電15%だから、影響は大き い。早く準備をしたところにビジネスの女神は微笑むのだろう。関西の人間は 他人事と思っていたら、どうも風向きが怪しくなってきた。福井県にある10基 以上の関西電力の原発が、もし半分しか稼動しないなら、全部稼動しないな ら、などという仮設に信憑性が出てきた。 <あなたのビジネスにどういう影響があるか> ●関東、東北だけのことかと思いきや、さにあらず。福井県知事が原発再稼動 をしぶると、関西の夏にも大きな影響が出るだろう。野球の話しで恐縮だが、 夏の甲子園の第一試合の開始時刻は確実に1時間は早くなるだろう。4試合で 長引いてナイターになるのはまずいから。第一試合の開始が7時30分になる と、TVもラジオもいろいろなところに影響が出る。電車のダイヤも変わる。マ グドナルドの開店時刻も早くなる可能性が高い。スタバ始め喫茶店も影響を受 ける。納入業者も対応に追われる。 ●とにかく、サマータイムで1時間早まると仮定して、自分のビジネスにどう いう影響が出るかを真剣に考える。本当にこれは真剣に考えないといけない。 社長が誰かに、検討を指示するような性格のものではない。自らが脳みそに汗 を一杯かいて、本当に真剣に考える。諸事万端抜かりがないか。あれもこれも 準備したか。そのときになって慌てることがないように、十分検討し準備した か。それでも想定外のことが発生する。その想定外に対する準備も少しはして いるか。 ●しかし、おそらくやってみないと分からないことは多い。いや、事前に分 かっていることのほうが少ない。しかし、そこで起こったこと、発生したこと はすべて事実だ。素直にそれを認めて、遅ればせながら追いかけることだ。誰 に文句を言っていても仕方ない。目前で起こったことは事実なのだから、まず それを受容してそこから新しく考えればいい。準備が足りなかったら、反省す る。二度とそういう間違いがないように、そこからリカバーすればいい。まず はいったん受け入れて、そこから考える。早く準備を始めるのに越したことは ない。