□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第371回配信分2011年06月06日発行 永田町の体たらくを反面教師に 〜他人のマイナスを自らの反省材料に〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●先日の民主党のドタバタ劇を見て、みなさんそれぞれ色々と感じられたと思 う。それくらいあのドタバタは不細工の一語に尽きるお粗末だった。みんな口 をあんぐり開けてびっくりしていたのではなかろうか。まさに、この大震災の 復興の時期になにをやってるんだと、怒りを通り越して呆れてものが言えない という状態だった。日本の国も本当のリーダーがいないんだという恥をさらし た状態を、世界に向けて発信してしまったようなものだ。珍しくオフィスに午 後戻ってしばらくTVでじっくり見ていた。 ●言った言わないの茶番劇の第二幕は夜の総理の記者会見。一定の目処とはい つのことかという質問に、はぐらかしてきちんと答えない。どうも話しを総合 すると、だいぶ先のように思える。それを聞いて、説得に乗り出し調停した鳩 山が怒って、ペテン師とまで一国の総理をののしった。もう、何をかいわんや である。これを国民が。特に被災地の首長が見て聞いて、情けないと嘆いてい た。当たり前だ。もし、これが会社の社長がこういうことをしたら、いっぺん に信用をなくして、明日から従業員がいっせいに辞めるだろう。 ●それくらい今回のドタバタ劇で日本国は信用をなくした。震災から何とか立 ち上がろうとしている被災地の方々、特に中小企業の経営者の方は本当に大変 だと思う。当方は義援金の拠出以外何もして差し上げれないが、今回のこの無 様な茶番劇はモティベーションを一気に押し下げた。もう、政治とは決別して 自分たちでやらないといけないと感じた人は多かったはずだ。それくらい、今 回は政治不信を助長させた。また、みんながもういい加減にしろと民主党を見 切っただろう。自滅だ。 <もしかしたら茶番劇かも> ●慢性疾患の病気ではないが、症状と兆候はずいぶん前からあった。例えば、 訪米してオバマ大統領との会談が何かの事情で9月まで延期された。本当は6 月を予定していたそうだが、だいぶ先に先送りになった。これはアメリカもい まの政権が持たないことを読んでいたのかもしれない。もし、そうだとしたら 相当したたかだ。外交では、日本もずいぶんと置いていかれている。北方領土 ではロシアに出し抜かれ、アメリカにはちょっと待てと言われている。四面楚 歌状態だ。 ●要は日本の総理大臣、首相はころころ変わるから、しばらく様子を見ようと いうことだろう。今の政権と約束しても、またいつ何時トップが変わるかもし れない。そんな国とうまくやっていこうとは誰も思わない。世間から馬鹿にさ れているようなものだ。これを何とかするのが政治であり、政治家の務めだ。 しかし、みんな選挙で当選することが最大の眼目で、日本の国のグランドデザ インを描くものは誰もいない。いい悪いは別にして昔の政治家にはそういう リーダーシップを持った人がいた。今は小粒だ。 ●もし今回のドタバタ劇が民主党が分裂を回避し、政権の延命のために仕組ま れたシナリオなら、これは相当なものだ。始めは分裂の様相を呈しておいて、 最後の最後土壇場で仲直り。不信任案の投票で否決回避し、その直後から実は そうではないんだという大転換をする。そこで鳩山が怒る。これすべて出来 レースなら、このシナリオを書いた人は最高に役者であり、脚本家として素晴 らしい。そこまで大芝居を打てるほど器量のある政治家がいないだろうから、 あくまでも想像の域を出ないが。 <永田町をあなたの会社の反面教師に> ●しかし、冷静に自社を振り返ってみると、意外とトップがこれに似たことを やっていないか?人のやったことはわかりやすいが、意外と分からないのが自 分の足下だ。正直言うと、本当に自分の会社が一番分からないというのが実感 だ。分からないと言うか、事実を事実として見たくない、思いたくない、そん なはずはないと決め込む。そういう癖がないだろうか? 起こったことは全部 これ事実だから、それから目を反らしてはいけない。人の振り見て自分を戒め るとは、昔の人は上手に言ったものだ。 ●トップの方針がころころ変わる。商売、ビジネスだから環境の変化には機敏 に対応しないといけない。しかし、グランドデザイン的な方針がころころ変わ るようでは、会社は運営できないはずだ。チェンジは変化、変革だが無節操に 何でも変化すればいいというわけではない。熟慮断行して決めないといけない のだが、決めた後に説明がない。またそれを密室でやってはいけない。最後の 決断は孤独に自分で決めないといけないが、取調べではないが、その決定のプ ロセスの情報開示が必要だ。 ●期限や時期があいまいなことが一番よろしくない。いつまでに、という期限 を明確にすることは必須条件だ。それによって工程表もずいぶん変わる。ま た、かけるエネルギー、投入する人材、調達する資金も大きく影響を受ける。 それを今回曖昧な玉虫色の決着を図った。当然、時期に対して疑心暗鬼になっ てしまう。みんな自分に都合のいい解釈をする。そして、自分のところさえよ ければいいという部分最適の判断に陥る。明確な方針を決めて、分かりやすい 言葉で伝える。それがトップの仕事だ。 <説得はできないが十分な説明を> ●以前にも書いたと思うが、周囲に対し説得を一生懸命努力される方がいらっ しゃる。間違いではないが、説得は正直なかなか難しい場合が多い。説得より 説明を十分にすることが望ましい。意を尽くして説明し、理解不足と思ったら 繰り返し繰り返し面倒がらずに、何回でも説明をする。質問には丁寧に答え る。別に経営だから環境の変化には適応することが求められるので、変化変更 することは構わない。その説明を十分にすることが大切だ。特にトップ自らが 説明の任に当たらないといけない。 ●それを、自分は人前でうまく話せないからという理由で他人に依頼するトッ プの方もいらっしゃる。しかし、そんなことをしていては絶対に解決にならな い。話すのが少々うまくなくても一生懸命にやれば、意図は自ずと伝わる。今 回総理はきちんと説明していると本人は思っているが、肝心なところは終始 「薮の中」状態だ。これでは、誰も理解しない。しかし、会議で決まったこ と、役員会で決まったこと、部門で決まったことなど、社内でたったこれだけ のことと思うが、意外ときちんと伝わない。まして、伝言ゲームでやるとなる と大変だ。 ●今回のドタバタ劇をそれだけで終わらしてはもったいない。世界に信用をな くしたと大袈裟に思っているが、腹の中ではみんなそう思っているだろう。一 杯食わされたと感じている人も多い。しかし、よく似たことはあなたの会社の 中でもよく起こっているはずだ。それを意外と気が付いていないかもしれな い。ひとつ、ここは謙虚になり、今回の無様な体たらくを反面教師にすればい い。目の前にこれほどいい学ぶべき事例が出現した。今回のドタバタ劇から学 ぶべき点はたくさんある。その気になって見ればだが。