□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第373回配信分2011年06月20日発行 ビジネスの基本はスピード 〜とりあえずの初動反応を速くする〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●いつも思うことだが、何か用事があったり仕事のことで誰かとビジネス上の お付き合いをするときに、反応の速さが全然人によって違うことがある。おそ らく皆さんもそういう経験はお持ちだろう。何かお願いをしたとき、何か反応 が欲しいとき、何かアクションを起こして欲しいとき、何か依頼ごとをしたと き、相手によって対応の速さが全然違うことがある。メールを送っても、電話 をしても、とにかく何らか当方からボールを投げても、いっこうにそのボール が返ってこないことがある。非常にやきもきし、ストレスがたまる。 ●ビジネスの基本は内容もあるが、まずは反応の速さだ。同じ案件を複数に投 げても、まず最初に反応したところの印象が強い。確かに内容が一番問題なの だが、その次には反応の速さだろう。確かに締め切り期日はあるが、ぎりぎり に反応、対応してくる人と、素早く反応してくる人では、当方に与える印象や 感じる意気込みが違う。最近ではビジネスの連絡をメールでやりとりすること が多くなったが、締め切りぎりぎりに対応してくる人より、真っ先に問い合わ せをしたり、反応する人の覚えが目出度い。 ●速く反応するには、その案件が投げかけられてから準備をしていたのでは、 遅い。日頃から何なりとその案件に近いことに対して、準備段取りをしておか ないといけない。何か投げられたときに、さっとイメージが沸いて、どのス イッチを押せばどういう答えが出てくるのかということが、日常の活動の中で アレンジされていないといけない。新しい得意先にさあ今から行こうというと きに、それからやおら地図を調べる人はいないだろう。先回りし、先方の住所 から地図を調べアクセスを検討しておくのは常識だ。 <どのボタンを押せば何が出てくるか> ●最近ではよく使うホームページは「お気に入り」にブックマークとして登録 しておく。そうすると、いちいち探さなくてもいい。それもばらばらにせず に、分野やカテゴリーごとにフォルダーを作りその中に収納する。ブックマー クの整理整頓がきちんと日頃から出来ているか。速度を要求される場面では、 そういう日頃の行いから差がつく。こういう情報はこのサイトから探せば、す ぐに出てくるということがきちんと出来ているか。これは、なかなか一朝一夕 には出来ないことだ。日頃の心がけがものを言う。 ●周辺の人脈も同じだ。誰に何を聞けばすぐに答えが出てくるか。やはり、人 には得意不得意がある。日常接触していないと、誰がどういうことが得意なの か分からない。何か案件が発生してから人脈をたどって探すのは時間がかか る。反応の速度が大事なときに、そこでもたもたしていたのではいけない。案 件の内容によって、すぐにどこにどういうオーダーを出せばいいのかが、すぐ に分からないといけない。どのボタンを押せばいいのかがイメージできないと いけない。すべては日頃からの心がけがものを言う。 ●準備していてもムダになることも多い。しかし、その準備は決して将来全く ムダにはならない。むしろ、どれくらい無駄なことを一生懸命したかが重要な ときもある。目先日常の仕事のことだけをしていたのでは、仕事や人脈、事業 の拡がりがない。無意味な拡大は避けるべきだが、建設的な将来への投資、一 見費用が先行して発生してもったいないように見えるが、事業には健全な赤字 部門も必要なのだ。日常の生活と同じで、ぎりぎりでやっていたのでは、いつ かは手詰まりになる。 <速度を出すには選択と集中、そして整理と整頓> ●人間の体重と同じで、人には適正な体重というものがある。企業経営も全く 同じで、その企業、会社、事業に適切な体重=資産と負債というものがある。 やたら大食いで体重が水ぶくれでも走れないし、あまり粗食でエネルギーが沸 かないのも成長が持続できない。少しやってみて、どうもうまくいかないもの を止めて、可能性のあるものに集中さす。あるいは、いまはどうもうまく行か ないが、将来のことを考えると必ずこの分野は成長するだろうから、いまは我 慢して継続する。社長の意思決定は重たい。 ●一度舵取りを間違うと、3年から5年くらい修正、修復にかかるだろう。し かし、ビジネスはやったことが全部成功するわけではない。永年、歯を食いし ばってやっていても、うまく行かないこともある。成功するまで続ければいい のだが、何らかのやんごとなき理由でギブアップすることもある。今日始め て、明日成功するわけではない。何十年とかかってようやく事業が黒字になっ たサントリーのビール事業だってある。創業家だからこそできた決断だろう が、多くの学びがそこにある。 ●再度書いて申し訳ないが、速度を上げるには整理と整頓が欠かせない。整理 とは不要なものを捨てることであり、整頓とは必要なものが直ぐに出てくる、 利用できる状態にあるということが、トヨタの定義である。不要なものを捨て るには勇気と決断が要るが、その根本は将来へ向けたビジョンやイメージがき ちんとできているかだ。何をやるのか明確でない事業ほど、資料がやたら多く 捨てるに捨てられない。捨てられないと必然的に体重が重たくなり、スピード アップして走れない。 <まずは速く反応する、そこから詳細を考える> ●エネルギーは加速度の二乗に比例し、運動量は速度×質量なのだ。これは物 理の大原則だ。となると、速度を上げるとは加速度をつけることであるから、 加速度をつけるには相当なエネルギーが必要となる。そのエネルギーを必要に なったから、さあやおら補おうとしても、それは難しい。日頃から心がけて十 分情報収集を行い、将来に対する備えのイメージを持っていれば、その案件が ぱっと発生してもすぐに対応ができる。誰に聞けば答えのヒントが取れそう か、たちどころに分かる。 ●とにかく、メールでも何でも速く反応することだ。まずはメールを受け取っ たと言う返信をする。本当の答えを書くには相当まだ時間が要りそうなら、と りあえず受け取った、見た、検討するということだけでもいい。メールのまず いところは受け取ったのか受け取っていないのかが、分からないことがほとん どだ。勿論、開封確認メールと言う返事の仕方もあるが、あまりお勧めではな い。まずは、ざっと見た印象で、だいたいの方向の返事をする。正式にはいつ くらいにちゃんと返事ができるということも付け加えておく。 ●そうすると送信したほうは、少し安心する。ああ見てくれている、検討して くれる、返事をいつくらいまでにもらえる。そういうビジネスでは相手とイ メージを共有できることが大事だ。これができる人とは一緒に仕事ができる が、このイメージが共有できない人と一緒に仕事をするとすごいストレスがた まる。そうなると、もう縁が切れたのも同じになる。たった、少しの初動の速 度の違いでこれくらい大きな差がつくことが多い。問題なのは、本人がそのこ とに気づいていないことだ。周囲からきちんと言ってあげないといけない。そ して自分で正しく自覚することだ。そうすると、次から少しずつ修正できる。 それが大事なのだ。