□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第379回配信分2011年08月01日発行 オフィス移転は組織活性化のチャンス 〜せっかくの機会を逃さない〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●既にお知らせのように、このたびオフィスを移転することとした。事情はい ろいろあったが、今回の移転に関する原則として、 (1)面積あたりの賃料単価が下がること (2)烏丸四条に近くなること (3)電話番号が変わらないこと (4)来客用のスペースが分離して設置できること 以上の4つを満足する物件を探していた。 しかし、ことはそう簡単ではなかった。なかなか、探せども条件にぴったりく る物件は簡単には見つからなかった。 ●事態が急に進みだしたのは、6月末。ダメもとで行ってみた不動産屋さんの 担当者が、ひとつの物件を見せてくれた。今までオフィステナントばかりを探 していたが、それは住居用に建てられたマンションだが、各階の一番端の部屋 は大きく設計してあり、オフィス用にも転用可能とのことだった。それも、現 在借りている東京の企業が、6月末で退去するという。何たる偶然。ラッキー とはこのことで、直ぐに契約した。平面図をちらっと見ただけで、その場で即 断即決した。 ●その後、7月になり実際の場所を確認。内部を見せてもらったが、少し提示 の平面図と異なる箇所もあったが、小さいことには目をつぶり移転を決意。そ れからが、大変。電話番号は変わらないとはいえ、現状はADSLだったのでこれ をフレッツ光に変更依頼。もともと住居用のマンションなので、電話回線が複 数引けるかどうか現場を見ないと分からないとか。来客用を予定しているス ペースにエアコンがないとか。とにかく、実際のことになると色々と大変だっ た。 <移転のコツ> ●筆者は過去に限りなくたくさんのオフィスの移転を仕切ってやった経験があ る。自慢することではないが、オフィスの移転は結構大変なことが多い。ま ず、通常の業務に出来る限り支障がないようにしないといけない。だいたい、 土曜日に移転し、日曜日にセッティングし、月曜日には通常業務が出来るよう にするのが普通である。以前に在籍していた出版社で、東京地区の6箇所の小 さなオフィスを水道橋の新オフィス一箇所に集中する移転をしたが、それは大 変だった。 ●まず、Xデーを決める。だいたい、月末近くの週末が多い。テナントの家賃 は月額払いであり、退去時点では日割り計算してくれない。入居の場合は日割 り計算してくれる。二重の家賃を極力少なくするには、月末に限りなく近いほ うがいい。しかし、本当の月末になると棚卸や月次の締めの作業があり、それ は難しい。よって、だいたい月末近い週末になる。それと退去の通知を何ヶ月 前にしないといけないかということも、重要なポイントだ。場合によっては 6ヶ月前という条件の場合もある。 ●とにかく、いつ移転するのか、まずそれを出来る限り早く決める。そして、 Xデーから逆算して、いつくらいまでに何を決定しないといけない項目を全部 挙げてみる。しかし、たいてい見落としがある。何か抜けていることがある。 それもたいしたことでなければいいが、重要な事項なら移転そのものを延期し ないといけないことが多い。それは大変な事態になる。とにかく、無事に行っ て当たり前だから、水も漏らさぬ万全の体制をひいて準備当たる。段取りがき ちんとできていれば、当日は結構簡単なのだ。 <移転後から通常の業務へ円滑に> ●一番トラブルのは通信関係だ。今回も、ADSLからフレッツ光に移行したが、 それが最後までトラぶった。まだ、この時点でプリンターのIPアドレスの設定 などに不具合がある。デスクや什器の移動も、慣れていないとトラブルにな る。一度キャビネットを横倒しに運んだときに、勝手にロックがかかって鍵を 中に入れていたため、業務開始時点で開かないで難儀したことがある。また、 予定の図面では配置できるはずだが、実際に置いてみると、わずかづつずれて 置けないということもある。 ●デスクの配置に文句を言う人も出てくる。誰の横はいやだとか、コピー機の 隣はうるさいのでいやだとか。とにかく各人のわがままを聞いていたらとても セッティングできない。ここは、全権を委任してもらって権力を集中してこと にあたらないといけない。当社のようにスタッフが僅かならいいが、大人数の 移転ではレイアウトが非常に問題になる。最近は無線LANが主流だが、少し前 までは有線のLANケーブルやPCの電源などの取り合いを考えると、非常に複雑 な方程式を解かないといけない。 ●とにかく、無事に什器を納めて、通信回線と電話工事を行い、テストをして トラブルのないことを確認し、それからダンボールの中味を開けることにな る。これを日曜日の午後または月曜日の早朝から行い、通常業務に支障がない ようにする。しかし、ここで何かトラブルが起こることが多い。ダンボールが 迷子になってないとか、勝手に事前の取り決め以外のことをしたり、とにかく 数日は後始末に奔走することになる。一度、あまりに疲労が激しく、数日後に 十二指腸潰瘍がうずいて数日休んだこともあった。 <オフィス移転が組織に与えるメリットは> ●今回予想外だったのは、前述したがADSLから光への切り替え。ルーターの設 定がうまくいかなかったことと、NTT側に問題があり、土曜日午後で解決せ ず、日曜日の夕方までずれ込んだ。かくて、このメールマガジンも日曜日の午 前中配信のはずが、この時間まで遅れてしまった。次に、成岡のメインのデス クトップPCの電源が入らないという異常が発生。これは移転とは関係ないが、 少し前から何となく心配だったのが、的中してしまった。しかし、何とか運良 く偶然にも復旧した。 ●トラブルもあるがオフィスの移転で一番のメリットは、 (1)日常の業務を見直し、周辺の整理をすることで業務の効率化が図れる (2)レイアウトを変えることで組織が目指すものが、より具体的に表現でき る (3)デスクの配置を変えることで組織の活性化につながる (4)共有スペースを広くして情報交換が円滑に進むようにできる など、挙げれば多くある。確かに力仕事だし、コストはかかるが、組織にイン パクトを与えるのは間違いない。 ●住所地が変われば封筒などを印刷し直すロスは確かにある。しかし、それを 理由に好条件の移転案件を面倒と言う一言で決断しない経営者もいらっしゃ る。移転を機会にオフィス内にフリースペースを作り、全社員が集える場所を 作ったことで、社員全員からの意見がどんどん出てくるようになり、まさに起 死回生のオフィス移転というドラマチックな企業もある。とにかく、経営者が 経営姿勢を見せる格好の機会なのだ。単に力仕事だと思っているうちは、それ はコストの無駄遣いになる。