□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ・・・・・経営の現場から・・・・・ 【成岡マネジメントレター】(毎週月曜日発行) 第381回配信分2011年08月15日発行 事業が立ち直るかどうかは社長の本気度 〜洋服に身体を合わすことができるか〜 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ <はじめに> ●最近の経済状況は本当に今後の見通しを暗くさせる話題ばかりだ。止まらな い円高、株価の下落、デフレの継続、震災からの立ち遅れる復興、政治のゴタ ゴタ。加えて、アメリカ経済とEUがどうも先行きの見通しがさっぱりだ。消去 法で円が高くなっている。迷惑な話しだが、これが現実だから致し方ない。ど こまでこのトレンドが続くのか分からないが、経営は環境適応業だから、当分 続くこのトレンドに的確に対応しないといけない。人のせいにしていては、い つかは自分の企業が危うくなる。 ●しかし、一般論だが業績が低迷していたり向上しない企業は、だいたいトッ プがのんきだ。どうも周囲に切迫感が感じられない。もちろん従業員がいらっ しゃるので、毎日毎日悲観的なことを言ったりはできないだろうが、それにし てもお目にかかっていても、何とかしたい、何とかしようという気迫が感じら れない。スポーツの根性論ではないが、とにかくトップがこれは何とかしない といけないと思わないと、何も改善、改革は始まらない。特に、業績を急いで 立て直さないといけないときは、改善では進まない。 ●かなり大胆な改革がないと、そんなに簡単に業績は良くならない。たとえ なっても、一過性のラッキーで終わってしまう。それを継続した業績の改善に つなげるには、並大抵の努力では届かない。今まで10年以上にわたって業績が ジリ貧状態になってきた企業が、少し努力、改善しただけで永続的に業績がめ いきめき良くなるほど、世の中は甘くない。その程度でできているなら、とっ くに企業の業績は良くなり、世の中もっとハッピーになっているはずだ。そん なに甘いものではない。 <社長の目の色が変わること> ●業績の早急な改善、改革の計画と実行にお付き合いするときに、成岡が一番 大事にするのはトップの本気度。周囲がいくら心配しようが、成岡がいくら一 生懸命になろうが、それは所詮周辺がやきもきしているだけだ。とにかく、当 事者が、特にトップがその気になってもらわないと、何もことは始まらない。 いくら、役員諸氏が、我々サポーターが一生懸命、目を吊り上げて必死になろ うと、当のご本人がのんきではとても実現はおぼつかない。意外とそのような 企業さんが多いことに最近気が付いた。 ●そういう企業の傾向として言えることは、だいたい原因が他人のせいであ る。自分自身の企業の構造的な問題だと喝破する社長さんは、皆無だ。また、 そういうことが自分自身の問題だと見抜ける人は、自分で改善、改革が自主的 にできる人なのだ。見抜けることができないで、いつまでも他人のせいにする から、自社の内部の課題を見つけられない。また課題を抽出することだできな い。確かにみんな不満を持ちながら、ひたすらコツコツ努力している。それで も簡単には報われない。 ●そういう環境では従来通りの普段の努力では難しい。大きくメスを入れるな り、大きく方針を変更、転換するなり、何か痛みを伴う大きな戦略を打ち出さ ないといけない。なにせ、長い時間かかってどんどん業績がジリ貧になってき たのだ。そんなに簡単にちょこちょこっと組織図をなぶって済む問題ではな い。しかし、改革を行おうと痛みを伴う。何かいやなこと、不本意なこと、し たくないことに突っ込まないといけない。その勇気と本気度がないと、途中で 腰砕けになる。前に進まない。 <まずは覚悟を決める> ●まず、改革を行い社内の空気雰囲気を一掃し、自分が先頭に立って会社の空 気、風土を変える覚悟を決めることだ。腹をくくって本気を見せないと、社員 には伝わらない。表面的には、周囲のスタッフがきれいな様式の改善計画書を 作ったり、金融機関に提出するために、非常に心地よい言葉がならんだ書きも のを作ることがある。読めばなるほどと説得力もあり、周囲には非常にいい が、本当にそれを実行し結果を出す企業自体が覚悟を決めていないと、とても 結果は出てこない。 ●計画を作った人と実行する人は微妙に違うことも多いから、最後になって 作った人の想いと実行する人との想いとが一致しないことがある。本当はそれ ではいけないのだが、往々にしてそうなる事態も発生する。作ったほうはそれ なりに実行するときの困難さを考え、いろいろと考えをめぐらして、ああでも ないこうでもないと苦労して計画の内容を固める。しかし、結果的にはやって なんぼの世界なのだ。特に、失礼ながら金融機関の方々は将来の絵よりも、実 績を重んじる傾向が強い。 ●今後がどんなにばら色でも、実際の結果を見せてくださいというのが、本音 なのだ。計画は仮説だから、極端に言えばいかようにでも書ける。実現可能性 が高いとは、本当にできる内容でないといけない。高いとは何%と言われると 難しいが、最低80%は実現できる内容でないといけない。出来もしない耳障り のいい美辞麗句を並べても、それは所詮絵に描いた餅になる。餅を絵に描くの はいかようにでも描ける。しかし、実業の世界は結果が重んじられる。結果を 出さないといけない。 <洋服に身体を合わす> ●だいたい、今まで業績がジリ貧になってきたということは、決して業界は明 るくないし、将来の見通しも普通では厳しいはずだ。そこに立ち向かって何ら かの結果を残そうと思うと、今まで100やってきたのを300やらないといけない のと同じだ。甲子園の常連学校が本当に努力して栄冠をつかむのだから、老舗 の学校や新興の学校は数倍努力しないといけない。それは何も時間を数倍かけ るということではなく、中味を濃くして数倍の内容に高めないといけない。の んびりやっている暇はない。 ●まず、実行あるのみと言う覚悟を決める。最近、親しい金融機関のスタッフ の方が、「洋服に身体を合わして欲しい」という非常に感心する発言をされた が、まさに至言。しかし、洋服に身体を合わすためには、当然身体をとことん 絞って絞って、皮下脂肪を燃焼し尽くし、体重を身長に合ったBMI値にまで落 とさないといけない。しかも体力をきちんとつけながら、適正体重にもってい かないといけない。今まで運動も適当にやってきたトップにとっては、非常に 厳しいトレーニングを積むことになる。 ●日頃訓練していない身体には、いきなり厳しいトレーニングは出来ない。い つも言うせりふだが、そこそこ走っていない人がいきなりフルマラソンは走れ ない。まず、最低10Km、次にハーフマラソン、そしてフルマラソン。何でもも のは順番だ。しかし、時間をそう長くかけているわけには行かない。周囲の利 害関係者が快く待ってくれるわけではない。時間との戦い、結果を出さないと いけないプレッシャー。そして、厳しいトレーニングをして洋服に身体を合わ す。社長が本気にならないと全部できないことばかりだ。